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自分ひとりでは無理──『なぜ人と組織は変われないのか』読書感想文

書籍データ

免疫マップというツールを用いて、チームの意識・行動変革を促すアプローチが具体例とともに書かれます。


免疫マップの効用については、著者ご本人が『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』で語っています。


「自分はこうである」と思い込んでいる固定観念を取っ払い、自分が抱えている不安を明らかにし、メンバーと共有しあい(共有する情報は状況に応じて最適な範囲を判断する)、互いの改善を支え合う。

そのような、精神面に重きを置いた改善のアプローチです。

本書の中に取り上げられる例の中でも「自分で仕事をすべて抱えこんでしまい部下にうまく仕事を振ることができない」デーヴィッドの例は、ビジネスパーソンが非常に共感できる内容なのではないでしょうか(マネジメントあるあるですね)。

デーヴィッドの自己発見や変化の経緯は本書内に任せることにして、
結論だけ言えば、彼は最終的に以前とはまったく異なる自分の価値を見出すことに成功しました。

「私が最も大きな成果を生み出すために必要なのは、細かい仕事を自分自身でおこなうことではないと気づいたのです。それよりも、知恵を絞って計画を立て、現場の状況を正しく理解し、目標達成のためにすべての資源を活用できるように最善の方法を見出すべきなのです」

ある程度歳を重ねたビジネスパーソンに絶対的に必要な気づきですよね。
そして組織からしても、このような変化をしたデーヴィッドが以前と比べてより価値のある人材として認知されるのは自明だと思います。

余談ですが、以前冲方丁さんの『光圀伝』を読んで一番印象に残ったのが、自身も才能に溢れた人間である光圀が、人生のある時点で才能ある人を育てるパトロンに役割を変化させたという部分だったので……ある程度年をとった時に、自分磨きも大事ですが、それ以上に若い才能を育てることにシフトしていくことは、とても大事だし求められているし意味のあることだなと思います。


閑話休題。
免疫マップを成功に導くために必要なのは、下記のような前提であると著者は言います。

  • 心の底から変化を望む

  • 頭で事実を冷静に理解した上で、変革を推し進めても安全だという自信を育む

  • 思考と行動をどちらも変える

どれも実践するのは難しいように思いますが、自分を変えるにはある程度の努力は必要ということですね。
私が本書のアプローチがとても良いなと感じる点は、その"変化"にあたってぶち当たる高いハードルを個人に負わせず、はじめに自分の弱点を曝け出すことで「周囲の人が変化を応援し、支えてくれる土壌をつくる」というところです。

自己開示は非常に繊細なことですし、十分に準備された環境と心の準備といったステップが必須ですが、ビジネスの場において結構重要なことなのかもなと最近とみに思います。

また、私は仕事における成長という文脈で語る時「自分」を主語にしがちなのですが、
他者が何を思い、どう成長したい・どう行動したいと望んでいるかを理解し一緒に考えることが、もしかすると一番自分自身の成長を促す方法なのかもしれないと思いました。

そして仕事の場は、得た知識の格好の実践の場なんですよね。
そう思って取り組むと、直面している仕事がより面白くなる気がします。


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