冬の光、恩寵の光♯10-答えは、もうそこにあった
Horizontal Ethics-Pure contemplation
「芽、土、光。――小さな芽が、土を破っていた。」
―― 春を待っていたのは、あなただけではなかった。問いの終わりに。
美咲編、最終話 ――
理を / Pure contemplation/ ただ視つむ
ベランダを見ると、忘れていたチューリップの球根から、小さな緑の芽が出ていた。
「……生きてたんだ」
仕事のこと、恋人のこと、幸せの意味。
答えの出ないまま抱えてきた冬が、そこに息づいている気がした。
でも芽は、そんなことも知らないように、ただそこにある。
目の奥が、熱くなった。
冬の間、土の中で静かに力を蓄えていた命。
美咲は、その小さな芽をただ視つむ。
どこからか、小鳥の声がした。
風が、静かに芽を揺らした。
美咲は、なにも考えずにただ呼吸した。
(完)
同じ冬。同じ別れ。
でも、彼には——与えられた光があった。
―― Vertical Grace ― 恩寵の光 (後編)―
「この冬、もう一つの光がありました。次回、和也編」
