初老のブラジル釣行記|上流下流と場所を変えての巻|Travelogue
クイアバ川の上流編
アウタフロレスタに別れを告げ、一気にクイアバまで夜行バスで戻ってきた。ここでの手札はいくつかあった。そのうちコンタクトを取り続けていたのがラゴマンソ(マンソ湖)でのトゥクナレ釣りで、①3泊2日の釣りで17万円コース(送迎込み)か、②2泊1日の釣りで6万円コースかの間で揺れ動いていた。一度は①くらいの贅沢はしてもいいお年頃なのだが、長年胸中に巣くっているデフレマインドが最後は勝利した。清水の舞台から今回も飛び降りれなかった。トホホ。
では②で決まり……のはずだが、こっちは交通手段に不安を抱えていた。バスターミナルでの聞き込みの結果、1日1本のバスがあるとわかった。でもバス停から最寄りとはいえない場所に宿はある。ブラジルでの携帯キャリアはVivoで、これがMT州の田舎ではほとんどつながらない。グーグルマップのオフラインを使って近くの道路で降り、3キロくらい誰も通らなそうな小道を夕方に歩いて行くしかない。その選択肢に臆病風が吹きまくっていた。
かといってUberを使うと、片道1万円くらいする。帰りは絶対来てくれないから、朝の何時に通るのかよくわからないバスをひたすら待つことになるかもしれない。それに宿のクオリティがどうやら1泊8千円に見合わない可能性が高かった。部屋の写真を送ってほしいとのメッセージを2回無視したオーナーにも全幅の信頼がおけなかった。
できない理由をいろいろ書き連ねたが、ようするに虫の知らせがNoと言ったのだ。
値段や距離や気分でさらに消去法を重ねて、結局残った手札1枚は「クイアバ川上流でのドウラード」というリベンジカードだった。
実はこのプランも以前のクイアバ滞在時に検討していたし、なんなら契約寸前までいってた。今回は2泊を1泊にして費用を浮かせて契約成立。1泊1日の釣りで5万円也だ。ルアーのみでドウラードやピラプタンガを狙う。
初日の午後3時にUberで到着。敷地が広くて予定より走ったので運転手にチップを渡す。オーナーと握手を交わし、一緒にワールドカップ決勝を鑑賞。ちなみにこういうケースはビール飲み放題込みだったりするが、そんなに飲めないよぉ〜


終了後に明日の準備に取り掛かる。週イチで泊まりにくるインフルエンサーが居合わせていたので彼も一緒に(この宿のインスタの一部は彼が投稿)。彼にノットの組み方や針の強度をダメ出しされた。しょぼ~ん。と同時に、釣り宿からWhatsAppで送られてくる「大丈夫、今も絶好調に釣れてるよ」の写真は、こんなプロが釣ってるものかもという灰色の疑念を抱くに至る。
明くる朝、定刻6時きっかりに朝ごはんを食べ、6時半過ぎに出艇。ドウラードが潜んでいる瀬や岸際ではルアーを投げ、移動の際はトローリングとかなり広範囲で釣りをする。この日のガイドのパウロは機関銃のような早口で、何を言ってるのかまったくわからない。けれど自分で釣りはせず、操船に専念するプロ。考えてみたら、この旅でこの手のガイドは彼が二人目だ。


釣れない時間が長く続いて弱気になりかけたが、リベンジを果たす刻がやっときた。小さな瀬の少し後ろ、河岸に倒木が絡んでいる場所で待望のヒット。ルアーはずいぶんと前に中古で買ったマリアのザ・ファーストの小型で、シングルフックに変えていた。そのせいかわからないが、しっかりフッキングできてるようで、ジャンプでも外れない。バラシたくない一心のやや強引なファイトで、ガイドが構えるタモにすっぽり納まった。

やったねとガッチリ握手して記念撮影。じっくり味わう間もなく、早めにリリースした。大型とまではいかないものの、体高もあって十分に胸を張れるサイズだったと思う。
昼ごはんのために宿に戻り、少し休憩して午後の部へ。まずトローリングでクリーンヒット。すぐに巻き始めたけど、ジャンプでバレる。フッキング入れたつもりだけどな。
その後はまた音沙汰ない時間が続く。小さなアタリを2度逃して、おまけにライントラブルや根掛かりが続いてイライラしてる時間帯に、ようやくピラプタンガをかける。逃したくないから速巻きでボートに寄せる。でもガイドがなかなかタモ入れしないからまたイライラ。

結局この2尾で1日が終わる。どちらもルアーでの初物で、ドウラードは人生初(ちょっと大げさな表現)。クイアバ川の上流は、大都市クイアバを流れたあとのバハドアリカあたりよりもずいぶん水質がきれいで(あのときは雨の影響もあったはず)、岩場や瀬も増えて、ドウラード釣りには都合よさそう。アタリは少なかったけどさ。
パラナ川の下流編
フビネイアの話はおぼえているかな。あれはパラナ川の出来事で、トゥクナレを何匹か釣り上げた。そのときは「こいつらはまだ序章に過ぎない」と高を括っていたけど、本命だったテレスピレス川がまったくの不発だったため、事態は急変した。ラゴマンソが前述の理由でお釈迦になったボクの脳裏に、あのときの甘い記憶がめくるめくように蘇る。
だが、「パラナ川でトゥクナレ祭りを!」とまで浮かれなかったのには理由がある。釣り宿KIYOTOから前回、「7月後半は寒くなるから厳しいわよ」との言質を得ていたからだ。転ばぬ先の杖の質問だったが、実際転んで膝を大きく擦りむいたのだからしようがない。行くぞ!
ただ、フビネイアに戻るのはルート的にめんどくさいんだなー、これが。KIYOTOが釣り宿では一番安かったし、ふみえさんにも会いたかったんだけど、やっぱりサンパウロへの復路上にある場所で手を打つことにした。いくつかの候補地から選んだその町の名は、プレシデンチエピタシオという。ピスタチオじゃないよ。「なんのっ」
ここもMT州北部にいる頃から調べ始めていたところで、街から割と近くに宿がある。幹線267号を越えて、チビリサーというなんか沖縄語みたいな響きの居住地を越えて橋を渡り右に曲がると、何件もの宿(Ranchoやchácaraが多い)が並んだ一本道が現れた。その入口に目的地はあった。


経営者はドイツ系移民の子孫で、客もドイツ系が多いそう。実際に同宿もしていた。ボートを10台以上所有していて、その艇庫がまたデカかった。

ここは朝は遅めで、ご飯は7時から。サンパウロ時間に変わったんで1時間早くなったというのもあるが、ここまで南緯が上がると冬の色合いが濃くなる。天気が昨日から崩れていて、夜の雨と気温低下で条件は悪い。ただ心配していた雨が降らなさそうなのは助かる。冷たい雨の中で釣りをする元気はないからね。

ガイドはボクより年上のじっちゃんで、ボートも他のに比べるとガタがきてる感じ。オファーが直前だったんで、調整が間に合わなかったんだと解釈しておこう。
さて実釣。ダムなのか堰なのか知らんが、湖みたいな場所で、立ち木エリアや岸際を撃っていく。葦があったり藻が茂っていたりと、なんだがトゥクナレというよりブラックバスを釣っているかのようなシチュエーションに戸惑う。ここブラジルだよね、って自分に確認する。そして釣れない……



ガイドがピラニアをポツポツ、トゥクナレを1尾釣ったエリアで、ようやくボクにもピラニアが連発する。そして念願のトゥクナレがきたーーー

体色は青みがかってるからアズールだ。上げてみると、50センチ級のクオリティフィッシュだった。正午を過ぎた頃、スタートから4時間以上経ってやっと1尾。昨日、同宿の中学生が「俺トゥクナレ4尾だったよ」とうれしそうに言うのを聞いて、シャバいなあと思った自分を恥じたい。でも50だからね。フビネイラのを合わせても一番デカい。生涯イチだ(再び大げさな表現)。名誉のバス持ち傷もできた。
結局そのあとは河口付近で小さいのを1尾追加しただけ。最後はコルビーナ狙いに切り替えたが、これも不発。てか今日のガイドはハズレだった。言葉が通じないと諦めてるのかコミュニケーションが少ないし、自分の釣りに夢中で客に釣らせようという気持ちが伝わってこない。だいたいミヨシから客より先にいいポイントを撃っちゃいかんでしょ💢
この日の支払いは2泊1日の釣りでおよそ5万円也。ご飯と送迎込みだし、まあまあ割安だと言える(ほどに釣り物価に慣れた)。でもブラジルでネイティブにこだわらない手軽なトゥクナレ釣りを計画してるみなさーん、一番はフビネイアのKIYOTOですよーー(冬場は除く)
ドウラードとトゥクナレ、どちらも貧果、ただし釣れたのは話のネタに十分なクオリティフィッシュだったという今回の釣行結果でした。
