ドーンと響く、心に咲いた夏の花(#虹色創作部)
虹くりっぷさんのテーマに応募します。お題は「夏休み」
7/17まで募集しているそうです!!
夏の夜、浴衣の袖をそっと手で押さえながら、自転車のペダルを踏み出す。
家族みんなで並んで走る道は、昼間よりも少しだけ涼しくて、けれども額にはじっとりとした汗がにじむ。
遠くから聞こえてくるお祭りのざわめきに、胸の奥がふわりと浮かぶような気持ちになる。
自転車のライトが道端の草むらを照らして、虫の声がかすかに重なる。
会場に近づくにつれて、人の声や笑い声が大きくなって、屋台の明かりがぽつぽつと並ぶ。
焼きそばの香ばしい匂い、たこ焼きの湯気、ラムネの瓶の冷たさ。
家族で並んで焼きそばを買い、熱々をほおばる。
口の中が火傷しそうになって、みんなで顔を見合わせて笑う。
その笑い声も、夏の夜の空気に溶けていく。
やがて、空に最初の花火が上がる。
「ドーン」という音が胸に響いて、思わず息を呑む。
夜空に広がる大きな花。
色とりどりの光が、私たちの顔や浴衣を明るく照らす。
花火の音は体の奥まで響いて、夏が来たことを全身で感じる。
その瞬間、家族みんなで顔を見合わせて、「きれいだね」と小さな声で言い合う。
花火の光の中で、家族の笑顔がいっそうやさしく見える。
また、別の年のことも思い出す。
あの年は、家の近くの学校の校庭から、遠くの花火を見上げた。
浴衣姿のまま、家族で歩いて校庭へ。
夜風が少しだけ涼しくて、草の匂いがほんのり漂う。
遠くで上がる花火は、ゆっくりと夜空に広がっていく。
近くで見る迫力とは違うけれど、その分、静かで穏やかな時間が流れる。
校庭のベンチに座って、家族で同じ空を見上げる。
花火の音が少し遅れて届くのも、なんだか心地よい。
浴衣の裾が風に揺れて、草の感触が素足に伝わる。
誰も言葉を発さなくても、みんなが同じ気持ちでいることが、そっと伝わってくる。
どちらの夜も、私の心のアルバムにそっと貼られている。
花火の色も、焼きそばの味も、家族の笑顔も、夏の夜の空気も、全部が「夏休み」の宝物。
あの時感じた胸の高鳴りや、夜空に咲く光の花、浴衣の手触り、家族と過ごした静かな時間。
それらは今も、心の中で色鮮やかに、やさしく咲き続けている。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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