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拝み屋郷内2 花嫁の家|一万分の一、あるいは十万分の一の闘い

 拝み屋でもあり作家でもある郷内心瞳さんの、渾身の二作目、『花嫁の家』の感想です。

 一作目を読んで、近い内に次作も読もうと思っていたのですが、大分時間が空いてしまいました。率直に言って、大変読み応えのある作品でした。一作目のラストで予告されていた内容が、単なる虚仮威しじゃなかったことが分かります。

 それではあらすじをどうぞ。


拝み屋を営む著者が、これまで一度も最後まで語ることも記録に残すことも許されなかった、忌まわしき怪異譚。
“花嫁が必ず死ぬ”と言われる東北の旧家では、これまで代々の花嫁が数年の内に亡くなっていた。
この家に嫁いだ女性から相談を受けた著者は、幾度も不可解な現象に悩まされる――。

あらすじより編集・抜粋

 読み始めて少しして「おや?」と思いました。一作目の中で二作目は確か『人形と花嫁にまつわる話』だとアナウンスされていました。本のタイトルもそんな感じですし。

 しかし読み進めてみると、短い怪談実話の掌編が連続しています。目次に戻って確認してみると、大きく二篇の題があり、その下にサブタイトルのようなものがいくつも記されています。

 これはどういうことなのかと最初首を捻りました。

母様の家、あるいは罪作りの家

 『月に吠える』、『月にまみえる』、『月に歌う』などの月を冠したサブタイトルが同じ人物の物語なのは分かるのですが、なぜ上の見出しにあるような題で括られているのかがまるで分かりませんでした。ですが、怪異はやがて重なり収束していきます。

 郷内さん自身を主人公にしたこのお話が、怪談実話なのかモキュメンタリーなのか単なるフィクションなのかはっきり分かりませんが、とにかく物語として見た時、プロットの組み方が実に見事でした。ホラーとしてもミステリとしても読むことが出来ます。

 恐怖、怒り、悲しみ、カタルシス。エンタメ小説としてもよく出来ています。かなり満足感が高い一編でした。

花嫁の家、あるいは生き人形の家

 しかし、話はこれで終わりません。どういうことでしょうか。登場人物たちそれぞれに重い結末を残しつつも、物語は幕を引いたはずです。これ以上何があるというのでしょうか。本書で重要な花嫁という単語が後半のタイトルに付けられているのが非常に気になります。

 助けを求められ訪れた家で、郷内さんは花嫁姿をしたミイラ、あるいは剥製のような不気味な物を見せられます。いったいこれはなんなのか。

 拝み屋はマンガやアニメのように、悪霊や妖怪を霊力でもって撃退するような存在ではないと作中で繰り返し語られます。

 手に負えない代物には関わらない。時には逃げることも重要。それが拝み屋としての処世術。

『母様の家』に負けず劣らずこちらも壮絶な物語でした。そして本書は確かにこの二篇でひとつとして完成し完結する物語でした。

 作者の郷内さん自身が実際に拝み屋として体験したという体で書かれているこの『拝み屋郷内シリーズ』が、完全なるフィクションであることを願ってやみません。でないとあまりに郷内さんに辛いことが多すぎます。

 しかしそれでも次なる物語を期待している私がいるのもまた事実。シリーズ通読決定です。

 皆さんも、真夏の蒸し暑い夜のお供に本書などはいかがでしょうか。


 それにしても図ったわけでも狙ったわけでもないのに、読むホラージャンルの小説が『花嫁』をテーマにしたもので被るってどういうことなんでしょうか。以前もここで似たようなことがありましたが、私の身になにもないことを祈ります。

 それではまたの感想で。



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