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【新作映画 評論】MERCY / マーシー AI裁判(MERCY)

■オススメ度
🌕🌕🌕🌕🌑

AIが行き着く先は、共存か暴走か。

2029年のロサンゼルス、クリス・プラット演じる主人公のレイヴン刑事が妻を殺害した罪により、擬人化されたAI裁判長(レベッカ・ファーガソン)によるAI裁判を受ける。

90分以内に無実を証明しなくてはならず、そのためにはAIにより裁定された有罪率を92%を下回るように有効な証拠を提示しなければならない。AI裁判は有罪率が80%を超えた容疑者が自動的にAI裁判を受けることとなる。仮に92%を下回ることが出来なければ即刻処刑となる、まさしくディストピアだ。

荒廃したディストピア社会を描いた映画は、過去にも多くあり人口爆発と格差による食糧不足を描いた「ソイレント・グリーン」(1973)、同じく人口爆発を管理するために、30歳を超えた者は殺害されてしまう社会を描いた「2300年未来への旅」(1976)など枚挙にいとまがない。
ただ本作が決定的に影響を受けているように見えるのは、「マイノリティ・リポート」(2002)、「デモリションマン」(1993)であろう。
どちらも共通して犯罪をシステムにより管理するような世界を描いたもので、本作のマーシーも同じ世界線と言ってもよいかもしれない。

本作は主人公は椅子に括り付けられているだけで、与えられるのはAIを使って得ることが出来る情報だけであり、その中から有効な証拠を見つけ出さなければならないのだが、
画面上で繰り広げられる演出が上手く、スリリングな展開の速さに驚かされた。

近年AIの進歩が著しく、その驚異のテクノロジーに対して人々の間に恐怖と不安を感じている現実世界だが、完全にAIに何かを託すことの危うさや、人間がAIに対してどのように向かい合うべきかまで考えさせる一作となっている。
本作の主人公は偶々刑事であったことで、証拠を証明することができたが、
殆どの裁判になれば、処刑されてしまうのだろうと想像すると更に恐ろしい。

ただその反面、AI裁判というものは全く持ってリアリティのある設定だが、
90分の制限時間や、即刻処刑という点は演出上、無理矢理生まれたアイデアのように感じる点は認めざるを得ない。

ただ、サスペンススリラーとして間違いなく楽しめる作品となっていると同時に、我々が向き合わざるを得ないAIについての問いを投げかける。
受け流すだけの世界はもう存在し得ないのかもしれない。

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