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粘る場所、そこじゃない。ー発達個性の息子高3ー

息子、高校三年生の秋。

四国旅を経て、人の思いやりを知り、四国が大好きになった彼は
「四国の大学に行きたい」と言い出した。

学力?
……追いついていない。
全然。
見事に。

でもオープンキャンパスは、誰でも行っていい。

[そりゃそうだ!]

もしかしたら。
万が一。
奇跡的に。

その大学が気に入り、
そこから天才的に勉強し始めるかもしれない。

[希望を持つのは自由だ。無料だ。]

私は往復の運賃とお昼代を渡し、息子を送り出した。

四国旅をご覧になった方なら、もう想像がつくと思う。

事件は、なぜか彼の周りだけで起きる。

───

「着いた」

このLINEを見ただけで、私は飛び上がるほど喜んだ。

成長してる!
四国へ着いた!
行けた!

───
「これから帰る」

……え!?
帰る連絡まで!?

私はスマホを握りしめた。

人は、ここまで簡単に感動できるのか。

その頃、息子はというと。


終点って何?


バスの前方、顔の上部に
《自宅最寄り駅》の文字を見つけた。

『お、これだ』

深く考えない。
確認もしない。
そのままチケットを渡し、バス後方へ。

俺は一番乗り。

次々と乗ってくる客は、学生風が多い。

島から通ってる人もいるのかなぁ。
俺が受かったら寮生活だなぁ。
早く一人で暮らしてぇぇぇ!!!

(※合格はまだ)

気づけば15人ほどを乗せ、バスは走り出した。

四国旅のときは、
これを自転車で走ったんだよなぁ。

懐かしいなぁ。

……と、感傷に浸った。



1時間ほど走ったバスが、
しまなみ海道を進んでいた。

その瞬間。

「次は大三島。
終点の大三島です。
お忘れ物なきよう。
ご乗車ありがとうございました」


終点って今じゃない

……は?

え?

今、なんて?

終点?

待って待って待って。

まだ半分も来てない。
ていうか、
ここ……

海のど真ん中の島じゃないか!!!

俺は本州の駅までのチケットを買った。
間違いなく。
確実に。

なのに。

どうしたらいい?
どうする?
誰に聞く?

頭はフル回転。
許されるなら、
檻の中のサルのように「違う違うー!」と
キーキー言いながら窓を叩きたい!

俺は大人だからそんなことはしない。

外の景色と、
お客さんの落ち着いた様子を
ただただ見ている。

───終点。

バス停に着いた。

客はゾロゾロ降りていく。
俺が最後。

……よし。

「す、すみません……」

声、裏返る。

「あの……
ぼ、僕……
◯◯までのチケット買ってるんですけど……
これは……
◯◯には……行かないんですか……?」

勇気を総動員して直談判。

運転手さん、無表情。

「行かないよ」

……え。

妖精もいないのに、
なぜかキョロキョロする。

見かねた運転手さんが、
無表情のまま言った。

「着いてきて」

バスを動かし、
着いた先はバス会社の駐車場。

事務所に入ると、
5、6人のおじさんたち。

机に座った60歳くらいの男性に、
運転手さんが事情を説明する。

「お金は持ってないの?」

少しだけ、笑顔。

「はい!持ってないです!」

財布を開き、
小銭80円をジャラッと出す。

札入れ、空っぽ。

「そうかぁ……困ったなぁ」


ドラえもんのポケット、開く

頭の上で手を組み、
椅子をクルクル。

2.3分経ったその時。

✨**ひらめいた!**✨

「あ!!
あります!!!
これがありました!!!」

机に置いたのは、
◯◯ラーメンのポイント券。

「これ、500円になります!」

……。

………。

一生懸命貯めた。
でも帰るには、仕方ない。

……あれ?
ダメ?

ドラえもん!
ポケット!!
出てこい!!!

「あ!!!
これもありました!!!」

今度は
△△ラーメンのポイント券を
花札のようにバンッ!

「あっはっはっは!」

おじさん、大笑い。

「分かった分かった。
それはしまっていいから」

そして。

「ついておいで」

またバスに乗せてもらい、
バス停へ。

「1時間くらいしたらバス来るから。
それに乗って帰り」

そう言って、
手を出された。

手を出すと。

200円。

「ジュースでも飲め」

そう言って、
おじさんは帰っていった。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

実は途中息子は電話してきてます。
事情を説明し、「帰れないかも。」と。

私は笑ったあと、一瞬考え

「あっはっは!
気候もいいし、野宿しなさい。
母さん今日は迎えに行けない。
明日なら行ってあげる」

鬼なんです!笑
これくらいのことは自分で尻拭いできる。

四国旅を経た息子なら、
きっと大丈夫だと。

結局、彼は野宿せず、
四国の人の優しさに助けられて帰ってきました。
——
あの旅とその後の一年が
ちゃんと息子の中に残っていたことを、
私はこの日、知りました。

あ、もちろん四国の大学落ちました!
このネタ掴んだからオッケーです!


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サポ なんと‼️ そんな神みたいな方がいらっしゃるとは😭 いいのですか?😭💦 嬉し過ぎます❣️❣️❣️