時をかける三角関係!? 第3話
路上 昼(1994年、綾瀬の回想)
母親に手を繋がれている6歳頃の綾瀬。
周囲には顔もわからない笑顔の大人と綾瀬の母親が井戸端会議をしている。
大人1「愛菜ちゃんはかわいいねぇ」
大人2「大人になったら美人さんになるねぇ」
綾瀬(モノローグ)「小さい頃からかわいいと評判だった」
綾瀬(モノローグ)「次第にみんながかわいいと思う綾瀬愛菜を演じるようになった」
小学校・教室 午後(2000年、綾瀬の回想)
自席で女友達と話している12歳頃の綾瀬。
綾瀬(モノローグ)「小学校高学年にはなんとなくモテていた」
女友達「愛菜ちゃんはどんなタイプの男の子が好きなの?」
綾瀬「面白い人、かな」
綾瀬(モノローグ)「本音ではある。でも・・・」
男子「(胸を寄せながら)だっちゅーの!」
その光景を感情のこもっていない笑顔で眺めている綾瀬。
綾瀬(モノローグ)「私目当てと思われる男子がこぞってテレビのネタをやり出した。そういうことじゃない。死ねばいいのに」
ダンススタジオ 午後(2002年、綾瀬の回想)
『アーチ』のメンバーとして踊っている14歳頃の綾瀬。
綾瀬(モノローグ)「中学からダンスチームに入った。年上と接する機会も増えた。でも、年上好きというわけじゃない」
ダンススタジオ 土曜夕方(2004年、綾瀬の回想)
新たちが『アーチ』のメンバーと顔合わせをした日。
踊っている綾瀬が武田を話している新をちらりと見る。
綾瀬(モノローグ)「人間として面白い人が好きなのだ。興味が引かれる人を好ましく思うのだ」
綾瀬(モノローグ)「それが恋愛感情なのかは、わからない」
高藤高校・教室 月曜午前中(2004年)
教室で授業を受けている新。
隣の席の女子から手紙が回ってくる。
手紙を開くとそこには『今日部活来る? 綾瀬』の文字。
驚いて綾瀬を見ると綾瀬が手を振っている。
頷く新。
嬉しそうに表情が明るくなる綾瀬。
新(モノローグ)「なんだろうな・・・。こんな学生生活したかったってのやってるよなぁ・・・」
新(モノローグ)「初恋相手だもんなぁ・・・。なんで好きだったのかすらよく覚えてないけど」
高藤高校・放送室 月曜放課後(2004年)
部活中の放送部員。
綾瀬「お昼の放送ってしないんですか?」
苦笑いする上級生。
綾瀬「放送部。お昼の放送」
西川「やってないね」
綾瀬「なんでですか?」
北岡「んーなんて言うか・・・」
叶「目立ちたくないからね」
綾瀬「やっちゃダメなんですか?」
北岡「それは問題ないはず」
綾瀬「私、やりたいです」
北岡「いいけど・・・」
叶「顧問の岡本先生に話は通しておいてね」
綾瀬「はい!」
新を見る綾瀬。
綾瀬「やろ!」
新「俺!?」
綾瀬「イヤ?」
新「喋るの? 俺」
綾瀬「それでもいいけど。いてくれると助かる」
佳穂「ダメ!」
佳穂を見る一同。
綾瀬「なんで鈴平さんが反対するの?」
佳穂「・・・じゃなくて。・・・そう、私もやりたい」
綾瀬「そうなの!? 言ってよ~」
嬉しそうに佳穂の手を取る綾瀬。
腑に落ちない顔で見ている新。
新(モノローグ)「こうなったらノーとは言えないわけで」
市川宅・自室 その日の夜(2004年)
自室の机に向かってノートに昼の放送の企画書を書いている新。
新(モノローグ)「その日の夜に突貫で企画書を書き」
高藤高校 職員室 翌日昼休み(2004年)
放送部の顧問にノートを見せて話している新。
その後ろには放送部1年生が並んでいる。
新(モノローグ)「翌日には顧問に話を通し」
高藤高校 放送室 翌週月曜昼休み(2004年)
放送室の中央にある机に向かい合って座っている佳穂と綾瀬。
二人の前にはマイクがセットされている。
二人の間には新が座っているが、新の前にはマイクはない。
少し離れた位置に武田と都が座っており、武田の前の机にはミキサーが設置されている。
新(モノローグ)「学校内での調整を経て、翌週月曜が初回となった」
新(モノローグ)「パーソナリティーが綾瀬さん。音響スタッフが武田。全体サポートとして都さん。ディレクター&企画&構成・・・つまりは何でも屋が俺」
市川宅・自室 前週の夜(2004年の回想)
自室の机に向かっている新。その前にはノートが置かれており、表紙には『昼の放送 構成台本』の文字。
新「どうなんだろーな・・・」
新の部屋 夜(2014年の回想)
26歳の新がパソコンで放送部時代の画像を整理している。
後ろからのぞき込む26歳の佳穂。
佳穂「懐かしいね」
新「そういえば前から気になってたんだけど」
佳穂「なに?」
新「佳穂ってなんで放送部に入ったの?」
佳穂「んー。覚えてない。どして?」
新「なんとなく。Nコンはアナウンスで出てたけど、テレビとかラジオが好きって感じでもなかったし」
佳穂「アナウンサー的なことが特別好きじゃなかったのはその通りだったし、校内で目立ちたいわけじゃなかったけど、部活は楽しかったよ」
ごまかすように後ろから新に抱きつく佳穂。
新「そっか」
市川宅・自室 前週の夜(2004年の回想)
新「『特別好きじゃなかった』か」
ノートを開き、文字を書き始める新。
高藤高校 放送室 月曜昼休み(2004年)
時間になり、放送が始まる。
佳穂と綾瀬が向かい合って座り、その間に新が座っている。
武田はミキサー卓に座っており、その横には顧問の岡本、都が立っている。
綾瀬「お昼の時間にこんにちわ! 放送部の綾瀬です」
佳穂「す、鈴平です」
綾瀬「今日から始まりました。放送部のお昼の放送! ここから20分ほど、私たちのおしゃべりと音楽をお楽しみください」
佳穂「は、始まったね」
綾瀬「始まったね~」
新(モノローグ)「初回のコンセプトは『無難。学校からもらえたのはお昼の20分で、極力トラブルは避けるように言われた」
綾瀬「それでは1曲目。これは私が大好きな曲なんだけど」
新(モノローグ)「それを踏まえ、3曲かけてトークは約5分。トーク内容もほぼ台本に落とし込んだ」
曲が流れ、佳穂は台本をじっと見ている。綾瀬はニコニコと新を見る。
新(モノローグ)「いろいろやりたいらしい綾瀬さんは若干不満そうだったが、慣れるまではこれでいきたいと頼み込んだ」
新(モノローグ)「目立ちたくないであろう佳穂の台詞は少なめにした。佳穂もなんだか不満そうだった。なぜだ」
高藤高校 放送室 月曜昼休み(2004年)
10分後。
綾瀬「じゃあ、最後の曲。放送部の武田君からのリクエストで」
武田がCDプレイヤーを操作し、音楽をかけようとすると『キーン』と大きな不協和音が響きわたる。
慌ててCDの電源を落とす岡本。
綾瀬「っつー・・・」
武田「ごめん! しゃべりで繋いで!!」
綾瀬「ええ!?」
佳穂「あーっと・・・」
ぺらぺらと台本をめくる佳穂。
綾瀬「びっくりしたね」
佳穂「そ、そうね」
綾瀬「あはは・・・」
佳穂「あー・・・」
佳穂の隣に座り、マイクに入る新。
新「はい、どーも。今日のゲストの放送部市川です」
驚く女子二人。
新「音楽じゃなくて僕が入る予定だったんですけどね。ちょっとバタバタしちゃったね」
綾瀬「(察して)ごめんごめん」
新「じゃあ、今日のトークのテーマは『フリー!』 それテーマって言わないっての。何話す?」
綾瀬「恋愛トークはどうかな?」
新「じゃあ・・・綾瀬さんってモテるよね?」
綾瀬「そう・・・かな?」
佳穂「モテるでしょ。たくさん告白されてるみたいだし」
綾瀬「んー。やっぱ好きな人に好きになってほしいっていうか」
佳穂「どんな人が好きなの?」
新「お。綾瀬さんファン必聴の質問だー!」
険しい顔で見ている岡本。
新「顧問の岡本先生の顔は見ちゃいけないー!」
くすりと笑う佳穂。
新(小声で)「イヤなら答えなくていいからね」
綾瀬「そうだね、参考までに・・・」
いたずらめいた笑顔を浮かべる綾瀬。
綾瀬「市川君は私のどこが好き?」
ドキリとする新。
新「その顔・・・」
高藤中学 校舎裏(2002年の回想)
中学2年の綾瀬が男子に告白されているが、綾瀬は即振る。
通りがかる新。いたたまれなくなり、隠れる。
精一杯の強がりを見せ去っていく男子。
にこやかに手を振る綾瀬。
男子が見えなくなると大人びた表情になる。
その表情を見て恋に落ちる新。
高藤高校 放送室 月曜昼休み(2004年)
新「その時折見せる表情が・・・」
音楽がかかる。
武田がスケッチブックに『直った!』と書いて見せる。
会話が止まる。
高藤高校 放送室 月曜昼休み(2004年)
5分後。
綾瀬「ここまでのお相手は綾瀬と」
佳穂「鈴平と」
新「市川でした」
放送が終わる。
武田が駆け込んで来て頭を下げる。
武田「マジごめん!」
都「仕方ないよ」
武田「新、フォローマジ助かった」
佳穂「うん。市川君がいなかったらヤバかった」
岡本「ほらほら。さっさと片づけしてお前等も昼飯食え」
一同「はーい」
マイクを片づけ始める新。
綾瀬「・・・知ってたの?」
新「あー・・・、うん。たまたま見ちゃったことがあって」
新「ただのお嬢様ってわけでもないのかなって思って。そのギャップに、みたいな・・・」
その発言に照れて顔を背ける新。
綾瀬「ふーん」
顔を上げる新。
綾瀬「バレてたんだ」
蠱惑的な笑顔を浮かべる綾瀬。
その表情に打ち抜かれる新。
高藤高校 放送室前 月曜昼休み(2004年)
放送室に鍵をかける岡本。
岡本「じゃあ、お疲れさまでした」
放送部員「お疲れさまでした」
小走りで一人離れる新。
新(モノローグ)「この胸の高鳴りは」
新(モノローグ)「佳穂を好きなのは過去の思い入れ」
新(モノローグ)「じゃあ、初恋だって思い入れなんだろう」
高藤高校 教室 月曜昼休み(2004年)
自席に座って顔を突っ伏している新。
新(モノローグ)「これは初恋のぶり返しだ」
