ストレスと自尊心 新生活による環境の変化に向けて
4月から新入生や新社会人となる人が多いかと思うが、自尊心に関する資料を見ていたらストレスと自尊心の関連と対処法についての論文があったので紹介しておこう。
[Brown, J. D. (1993). Self-Esteem and Self-Evaluations Feeling is Believing. In J. Suls (Ed.), Psychological Perspectives on the Self (Vol. 4, pp. 27-58). Hillsdale, NJ Erlbaum Press. - References - Scientific Research Publishing (scirp.org)]
ストレスと自尊心の関連について
この論文では発表当時の過去5年間の他の論文を精査して、ストレスと自尊心がどのような関連があるか、影響しあうか、またストレスに対処するためにはどうしたらよいかをまとめている。
ストレスとは
ストレスとは『脅威が認識されるあるいは脅威が訪れると予想される状況での心理的反応』または、『自身と周囲との関係から、周囲から要求される能力やスキルが足りないと感じる状況で感じるもの』とのこと。
(論文ではストレス反応による身体の化学反応なども記述があるが割愛。)
ストレスを感じるには2段階の評価があるらしい。
1段階目で環境や状況が自分にとってストレスフル(対処できない、予測が難しい状況)と感じるかどうか。
2段階目でそれに対応するための自分のリソース(社会的、心理的、物質的リソース)があるかを評価する。
結果、脅威と感じるとそれに対処しようと身体の防御機能や資源を使う処理が働く。(この資源の一つにも自尊心があるらしい)
自尊心とは
一方の自尊心とは『他者からみて自分自身はどう見えているかという感情的、あるいは評価的な構成要素を持つ自己概念』(Leary & Baumeister, 2000)とのこと。その時の客観的な知識やスキルなどの要素とは違い、主観的な自己評価の感情とのこと。
高い自尊心がある人はスキルとか知識に関わらず「自分は大丈夫だ、問題ない」と考える傾向があり、個人の幸福度や対人関係の問題が少なく、安定して成果を出すことができるとのこと。
(人生をポジティブに考える人は自尊心と正の相関があるとのこと。)
一方自尊心が低いと自己不信や低い自己評価と合わせて不健康になりやすい。
ストレスと自尊心の関係
高齢になるとコルチゾール(うつ病の原因となるホルモン)の分泌が増え、自尊心が低下する。するとストレスに対処するリソースが減り苦痛を感じたりうつ病になりやすくなるらしい。
逆に高齢でも自尊心を高めれば苦痛やうつ病の発症率を下げられるとのこと。
また子供のころにストレスを感じていた子供ほど自尊心や親との健全な絆が減っていたらしい。相関がみられたものに、虐待、親の病気や死、親の病的な行動など。これらによって不安感が強く回避行動をとりやすくなったそうな。
ストレスフルな環境で育ったの子供は自尊心が低く、うつの症状をもつ可能性が高くなり、ストレス反応が出やすいとのこと。(あと海馬の容量も減っていた)
またその後ストレスを感じたときの食生活も不健康になりやすいとのこと。
あと関連として、ストレスを感じると不安となり、不安がたまるとうつ病となることから、自尊心が低い人はうつ病の可能性が高かったそうな。
低い自尊心の負のスパイラル
自尊心が低い状態だとストレスに対処できないので、何か行うときに失敗するのではないかと先に考えてしまう(脅威の予想)。その状態で失敗すると自己評価が下がる。すると自尊心が下がりさらにストレスに弱くなる。という悪い循環におちいりやすい。
(自尊心が高い人は失敗してももともとの自己評価が高いので影響が少ないらしい。)
また一度失敗すると失敗の予測を強めてしまうため、さらに失敗したときのことを考えてしまうとのこと。
特に自分がコントロールできない状況でこの状態におちいりやすいとのこと。
入学と入社のストレス
人生で自尊心に影響するイベントとして、新しい学校や新しい職場への適応があげられている。(いわゆる大学デビューとか職場デビュー)
コントロールできない、予測できない環境変化への適用や、他人の自己評価の変化はストレスフルな状態となるため自尊心を低下させるらしい。
(女性では高校生活の学校生活もストレスが多いとのこと)
そのため、新入生を向かえる学校や上級生、職場の先輩などは、このストレスが大きく自尊心が欠損しやすい時期があるということを理解したうえで対応する必要があるとのことで注意しましょう。
また燃え尽き症候群の関連として、常にストレスフルな仕事があげられている。
特に男性は直接仕事のストレスとの関連が、女性は評価されないことによるストレスとの関連が高かったとのこと。
(結局は慢性的なストレス環境は体にも自尊心にも悪いらしいよ)
ストレスへの対処し自尊心を上げる方法
この論文ではストレスを減らすと自尊心が上がることが確認されている。
その方法として、『ヨガ』、『瞑想』、『呼吸のコントロール』などを挙げていた。
(ヨガとかの自分の体の状態に目を向けるようにすることがいいらしい。また瞑想はストレスの解消や感情的になるのを抑制することに効果があるとのこと。)
あと自己強化型ユーモア(人生や周囲の状況を面白く考えてみること)があげられている。これをすると自尊心が上がるらしい。
一方、自虐的なユーモアは不安感やうつ傾向がある人が使いがちなのでやめた方が良いよとのこと。
まとめ
というわけでストレスと自尊心についての論文をざっと紹介してみた。
自尊心が低いと感じている人も、実は自分がそう思っているだけという部分が大きいと理解してもらえればいいかなと思い紹介しました。
もし知識やスキルが足りなくてストレスを感じた場合は、その場ではどうしようもないことなので無理せず諦めたらいいんじゃない。
(社会人の得意な言葉は「持ち帰って検討させていただきます!」)
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