見出し画像

忘れる花と、忘れない花 ― 春の名古屋で見つけた紫

名古屋の名古屋城の周辺には、春になると美しい藤棚が現れます。やわらかな紫の花が垂れ下がり、その下に立つと甘い香りに包まれます。藤は古くから魔除けの意味を持つ花とされ、悪いものを遠ざける存在として親しまれてきました。

名古屋城にある「藤の回廊」

その藤棚から少し歩いた先にあるのが、名城公園フラワープラザ(冒頭の写真)です。大きな施設ではありませんが、丁寧に手入れされた花壇には四季折々の花が咲き、訪れるたびに小さな発見があります。

今回、出迎えてくれたのは、小さい青紫の花が集まって、あざやかな輪を作っていた勿忘草(わすれなぐさ)でした。可愛らしく、目立ちはしませんが、近づくと静かな美しさを感じさせてくれます。

勿忘草には「私を忘れないで」という意味が込められており、遠いヨーロッパの伝説に由来する花です。

藤は、魔を払い、外から守る花。
勿忘草は、記憶を残し、内側にとどめる花。

同じ紫の花でも、その意味はまったく異なります。

華やかな藤の下で香りに包まれたあと、ひっそりと咲く勿忘草に目を向けると、少しだけ見える景色が変わる気がします。

忘れてよいものと、忘れてはいけないもの。
その間に咲いているのが、春の名城公園でした。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集