Case #4:世界を浸食する魂の共鳴――選択の行方 ft.サエコ
「Case Files――選択の行方」
Lead:サエコ
#1 放送翌日
イスタンブールの空は、今が日中であることを忘れるような、厚い雲に覆われていた。この空が遠く日本につながっていることなど、想像することすら拒んでいるようだった。
前夜収録した「グローバル・レポート17-2」が、YouTubeとnoteに同時公開された。
視聴者の反応は、最初はいつもと同じだった。
けれど、異変は 6時間後 に起きた。
SNSにこんな書き込みが増え始める。
「サエコさんの声…なにこれ、ちゃんと編集したんですか?」
「心に直接語りかけられました。」
「夢に出るんです…ギョベクリ・テペの石柱が…」
スタッフからはバズッた!と歓喜の声が聞こえてきた。
旅情回は感情が入りやすいし、少しスピリチュアル寄りな反応が出ることも珍しくない。
だが、次の書き込みで、サエコは手を止めた。
「光?…なに、このつぶつぶ…」
「声が重なってます。よく聞くと私を呼んでいるんです」
「なんの冗談?ただ黒い映像が流れてるだけでしょ」
……黒。光。声。
「この『黒』って…私の見たあの『黒』のこと…?
もし、そうだとしたら――」
唇が渇き、胸騒ぎをコーヒーで飲み込もうとする。「温かい…あの時と同じ…」
サエコは、自分の無意識を意識してしまうという矛盾した思考に陥ることがあり、そんな自分に辟易していた。
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