テーマ17-2:華やかな文明の陰にはその残滓に匂いを宿す――始まりの街バグダッド #2 ft.サエコ
「妄想旅行記」
「グローバル・レポート」
プレゼンター: サエコ
#2.匂いの輪郭
Day2:17:40 ― シャンルウルファ郊外からの帰路。
風が乾いている。
ギョベクリ・テペで見た、あの石柱の静けさが、まだ皮膚に残っていた。
私は車の窓を少し開け、砂の匂いを胸に吸い込む。
はっきりとした理由はわからない。
けれど、あの場所に漂っていた気配――
そこで生きる人々の「匂い」が、私を覆っている気がした。
眠る気にはなれなかった。
私は、この旅で感じた人々の「匂い」が、どこかで感じたもののような気がして、何度も何度も反芻しては記憶と照らし合わせていた。
バグダッドの生活の匂い。 アグボグブロシーの、甘く、肺に絡みつくような焼けたプラスチックの匂い。 ギョベクリ・テペの、乾いているが、どこか生きている石の匂い。
どれも違う。だが、共通していたのは――
「文明の境界線に立たされた人々」が持つ、極限で生きる熱量だった。
私はベッドに座り、ノートを開く。
「なぜあの匂いに惹かれるのか」
その問いに、ようやく答えが見えた気がした。
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