EP13:言葉に祝福と暴力を ―― マインツ ft.サエコ
音のある方へ
MC:サエコ
初めに言(ことば)があった。言は神と共にあった。
ライン川の穏やかな水面を滑る風は、
ひどく冷たく、そして静かだった。
ヴィッテンベルクの暗い森で、たった一人の修道士が放った孤独な祈り。
本来なら、あの小さな音は、分厚い教会の壁に吸い込まれ、誰の耳にも届かないまま消え去るはずだった。
けれど、歴史はこの街で、彼に「最悪の魔法」を与えてしまったのだ。
マインツの中心部。
活版印刷博物館の薄暗い展示室で、私は巨大な木と鉄のプレス機の前に立っていた。
ガラスケースの向こうに整然と並ぶ、無数の小さな活字。
その鈍く光る鉛の粒に、そっと視線を落とす――。
静寂な博物館の空気が、不意に濁る――
むせ返るような、油とインクの匂い――
足元から、床を震わせる重い振動が――
響き始める。
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