0.1秒の逡巡 #3:キャンセル・ムーブーー偽りの現在地
0.1秒の逡巡
Laed:ミライ
新宿の駅は、巨大なプリント基板のようだった。
カッ カッ カ…カッカッ カッ…カ…カッ カッ
歩きスマホをしながら交差する無数の人々。 誰一人として、ぶつからない。
それは彼らが周囲を見ているからではなく、デバイスが微細な振動や視覚的サインで、無意識のうちに歩調と軌道を「最適化」しているからだ。
私は、息を止めるようにしてその雑踏を歩いた。
手首の純クォーツ時計が、カチ、カチ、と独立した秒を刻んでいる。 その音だけが、私とこの完璧な同期世界を切り離す唯一の命綱だった。
コンビニに立ち寄った時のことだ。
レジ横に並べられた一番くじの景品。 そこに描かれているアニメのキャラクターを、私は知らなかった。
なんだろう、これ。
純粋な好奇心から、ポケットのスマートフォンを取り出す。 ブラウザを立ち上げ、検索ウィンドウをタップした。
その瞬間。 私の指は、空中で凍りついた。
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