無価値の歩き方 #08「演出魔法」 ――第3章:虚像の見抜き方
Laed:サエコ
演出魔法
列が遅々として進まないまま、すでに一時間近くが経過していた。
風は冷たく、リュックの中の生乾きの服は、じっとりと冷気を背中に伝えてくる。
お腹の虫はとうの昔に鳴き疲れて沈黙していた。
ようやく私の順番が回ってきた。
配膳用テントの真ん前。
真っ白な服を着た教祖のミレイが私に向けて、慈愛の微笑みと手を伸ばそうとした、その時だった。
「うわあああっ!
もう嫌だ!
取られる、全部取られるゥッ!」
突如、悲鳴が空き地を引き裂いた。
列の後方から、錯乱したように一人の青年が暴れながら飛び出してきた。
(……この声って)
私は目を細めた。
すぐさま周囲に控えていた上級信者が飛び出し、流れるような無駄のない動きで青年を地面に制圧した。
「待ちなさい。
手荒な真似をしてはいけない」
ミレイが静かに手を上げると、上級信者たちはサッと身を引いた。
ミレイは暴れる青年の前に跪き、その泥だらけの頬を真っ白な両手で優しく包み込んだ。
「見てみなさい。
これが、国のマイナス課税にすべてを
奪われた魂の末路です」
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