無価値の歩き方 #07「炊出し広場」 ――第3章:虚像の見抜き方
Laed:サエコ
炊出し広場
カツ丼を食べそこねた胃袋は、
なかなかに厄介だった。
グゥ、と鳴る腹をさすりながら未換価地域の入り口を歩いていると、風に乗って微かに味噌の匂いが漂ってきた。
匂いのする空き地へ向かおうとスクラップの山の脇を通り抜けた時、不穏な気配を感じて足を止めた。
物陰で、黒い作業着を着た数人の男たちが、一人の若い男を壁際に追い詰めている。
「わかった
……わかったからッ!」
一瞬、女性かと思うような、甲高く特徴的な悲鳴が響いた。
チラリと横目で覗くと、黒服の一人が青年の胸ぐらを無言で締め上げ、スタンガンのようなものを顔の横でパチッと鳴らしているところだった。
青年の首元では、恐怖でリム・タグが真っ赤に点滅している。
私は関わり合いにならないよう足早にその場を離れ、味噌の匂いがする空き地へと向かった。
そこには「無料炊き出し」ののぼりと、数十人の列ができていた。
列の脇には数台の長テーブルが並び、受付窓口となっている。
「はい、こちらにリム・タグのIDをお願いします。
次に、EUログの常時共有への同意を……。
ありがとうございます、
これであなたの心は白紙へと近づきました」
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