0.1秒の逡巡#2:先回りの沈黙 ―― 偽りの現在地
0.1秒の逡巡
Laed:ミライ
教壇の老教授が、言葉に詰まった。
板書の前で視線を宙に泳がせ、次の一文を探している。
その沈黙は、ほんの一瞬。
――0.1秒にも満たない
だが、その「空白」のあいだに、教室後方のリアルタイム字幕モニターには、教授がまだ口にしていない結論が、一言一句違わぬ完璧な文章で表示されていた。
教授は、何事もなかったかのように口を開く。
モニターと同じ言葉を、なぞるように。
誰も笑わない。
誰も違和感を口にしない。
ミライだけが、背中に薄い寒気を覚えていた。
――今のは、どっちが先だった?
授業が終わり、
隣の席の友人を夕食に誘おうと、声をかけようとしたーーその瞬間。
友人のスマホが、短く震えた。
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