人間と猫の小さな21の物語
ふたりは、いつも後ろ姿。
このシリーズには、いつも同じ「人間と猫」が登場します。
顔は見えません。だけど、だからこそ――
見る人それぞれが想像の中で物語に入り込み、
そっと隣に座ったり、一緒に笑ったりできるのです。
春夏秋冬、季節の風景の中で、
人と猫、どちらが上でも下でもなく、
同じ時代を生きる仲間として、
小さな幸せを重ねていきます。
【新しい年だね】

凧が舞い 富士が光る
元日の朝幸せな一年が ここからスタート
朝日と一緒に そっと願いごと
今日は新しい一歩の日 富士山と一緒に ゆっくり深呼吸
今年もよろしくね
【お揃いの手袋】

白い庭で いつの間にか始まった 小さな冬のイベント
マフラーを巻いて 顔を描いて
気がつけば 雪だるまが笑ってた
雪の中で生まれた 雪だるまは
帽子、マフラー、笑顔つき
雪は冷たいけど 気持ちは温かい
おそろいの手袋が 今日は大活躍
【春風の中で遊んだ日】

「猫はブランコ苦手なんだよ」
なんて誰かが言ってたけど 今日の君は 風より軽やか
春のにおい、揺れる草、跳ねる光 花も一緒に笑ってる
いつもとなりに 誰かがいるって いいなと思う
【緑の風に包まれて】

緑のトンネル くぐり抜けて ふたりの冒険がはじまる
先を走る猫のしっぽは 風になびく旗のよう
笑い声と 木漏れ日を追いかける
ブレーキなんて 今日はいらない
ただ風と一緒に 心のままに走っていく
【ピンクのシャワーを浴びながら】

春の香りに包まれて 空からふわりと ピンクのシャワー
髪にも 肩にも シッポにも・・
ふたりの時間に 花びらが降り積もっていく
笑って のんびりして 花まみれの時間
今日は 最高のお花見日和
【晴れた日は青空の下で音楽会】

風が楽譜をめくり 空が拍手をしてくれる
リズムを合わせ 弾くのは 音符じゃなくて 心
奏でるのは 言葉じゃなくて 想い
小鳥がピアノの屋根で 歌っている
青空の下 人間と猫
今日は小さな音楽会
【楽しくて時を忘れる】

絵の具のかわりに 色とりどりの泡と夢を使って
人間と猫が 大きなキャンバスに 筆を走らせている
魚たちがそっとのぞきこみ
「これは芸術か?それとも遊びか?」と首をかしげている
答えなんて いらないよ
だって今 楽しくて しかたないんだから
ここは誰もが 時を忘れる場所
【ボサノバのリズム潮風に乗って】

静かな浜辺 あたたかな風
猫のドラムが 最初のカウントを取り
浜辺のライブが始まった
鍵盤が歌い ドラムがリズムを刻む
潮風が ボサノバのリズムを運んでゆく
気が付けば 空に大きな虹が
ふたりの音楽に そっと耳をかたむけていた
【雨の日は紫陽花の中で雨と遊ぶ】

ぱらぱら しとしと ぽつりぽつり
人間は「濡れれても平気」なんて笑ってるけど
ぼくのしっぽは 濡れるとテンション下がるんだ。
でもね 今日の雨は なんだかいい匂い
紫陽花も にっこり咲いていて
なんだか 今日は いい一日になりそうな気がする
時間も 言葉も ゆっくりと雨にほどけていく午後
【夜空のステージ】

ほわりと光る 小さなホタルが
手のひらにそっと降りてきた
おそるおそる手を伸ばし そっと受けとめる
一瞬の輝き
風が木々をゆらし 川は音もなく流れていく
あのホタルも きっと今夜のこと覚えていてくれるよね
【波の音って優しいね】

しずかな朝に 波がささやく
「おはよう 今日はいい日になるよ」
雲も風も時間も ここでは少し足を止める
次の瞬間 きらり!ひかる魚が空を飛んだ
「やったー!」
しっぽを振って 猫はニッコリ
【今日一番嬉しかった瞬間】

しんと静まったレーンの先
小さな手から飛び出したボールが
まっすぐ光の中を 転がっていく
次の瞬間 ピンがはじけ飛び
まるで星が笑ったみたい
猫は大きく手を広げて ガッツポーズ
人間は拍手しながら 目をまんまるにしてる
点数なんてどうでもいい
この瞬間が100点だから
【夜空は花ざかり】

丘の上 夜風は少し甘くて
人間と猫が いつものように並んで座る
下には やわらかく光る島々と海に揺れる灯りたち
下には やわらかく光る島々と 海に揺れる灯りたち
空が拍手を打つふたりだけの夏の夜
音も 光も 心にきらりと残る
ひとときの きらきらの思い出
【僕のこと、気付いてくれたかな?】

海の向こうへ フェリーがゆっくりと泳いでいく
その小さな背中を見送る 人間と猫
さっきまで風を切って走っていた自転車が
静かに隣で休憩中
猫がふと、手をあげた
「ばいば~い!」
気づいてくれたかな?
潮風にゆれるしっぽと 笑ったような背中
今日も いい一日だったね
潮風が気持ちよいね
【来年の夏も一緒に来ようね】

空いっぱいに花が咲く夜
どこまでも大きく どこまでも明るく
人間と猫が 仲良く寄り添って見上げていた
猫は知らない
「来年」という言葉の重さを
だけど人間は知っている
この夏が 奇跡のように愛しいことを
あと何回・・
あと何回こうして一緒に 花火を見られるだろう。
来年も…その次も・・と 心の中でそっと祈る
空いっぱいに花が咲く夜
しっぽがふれて 心がふれて
今の時間が空に咲いた
「ドーン ドーン!」
残響のなかで
人間は小さくつぶやく
「来年の夏も一緒に来ようね」
【キッチン音楽隊】

今日は朝から大忙し 友だち呼んでパーティだ
お皿の上に笑い声 鍋の中には ワクワクが煮えはじめ
窓を開ければ 風もクンクンいい匂い
「見た!?完璧だったでしょ?」
猫はしっぽで 得意げにポーズを決める
パーティーは始まっていないけれど
台所ではもう 楽しいコトコトが始まってます
【Fly Me To The Moon】

ここは、地球じゃない
ちょっと笑ったような形の場所…
そう、月にやってきたんだ
宝石みたいな星
花火みたいなロケット そして
どこかで誰かが願った小さな光
「なんて広いんだろう」
宇宙で乾杯
今夜は なにが起こっても不思議じゃない
だってここは 僕たちの銀河なんだから
【秋色セレナーデ】

赤く色づいた木々の中
人間と猫が 秋の音に耳を澄ませている
パリッ、カサッ
葉っぱの音が呼びかけてくる
木の実はキラキラ 風はさらさら
何をするでもなく
ただ一緒にいるだけで楽しい午後
たぶん今
世界でいちばんの特等席
【もみじのダンス】

秋の風が 頬をなでて
赤や金色のもみじが くるくる舞う
猫がカメラを構えて「はい。チーズ!」
ふたつの影が 紅葉に包まれて
シャッターが静かに 今日という日を閉じ込める
写したのは、景色じゃない
木漏れ日と、風とそして
肩を並べる このやさしい時間
【茜色の夕陽に送られ家路をいそぐ】

今日の日を惜しむように
ゆっくりと夕陽が沈んでる
風に揺れる草の音 ころころ笑った声
拾った木の実の重み
いろんな今日を全部 心のなかに詰め込んで
まっすぐに帰る道
空を横切るカラスも どこか急ぎ足
あのこたちも「帰る家」があるんだね
今日が終わって また明日
茜色の夕焼けが 家路を照らしてくれる
ゆっくり歩いて 僕たちの家に帰ろう
【ワイングラスに静かな時が溶け出していく】

「ただいま」の声と同時に 部屋中がぬくもりに包まれていく
薪が ゆっくり燃えて
ワイングラスが やさしい赤色でゆれている
となりに座るのは 今日もいっしょだった相棒
フォークを器用につかう手も ちょっと得意げ
テーブルの上には 手作りのごはんと 笑い声。
窓の外にはひとつ またひとつと星が灯っていく
そっとグラスを重ねて思う
「明日もまた こんな夜が やってきますように」
「人間と猫シリーズ」後ろ姿の21点
楽しんでいただいてありがとうございました。
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*下のURLは、猫の案内による、音楽入り動画です。
