金融商品化するクルマとどう距離を置くのか@クルマを1台減らして豊かな生活を手に入れよう外伝その4
プロローグ
アメリカで自動車向けのサブプライムローン会社が不正の疑いをかけられたと思ったら破綻と言うニュースが出てきました。
blog版はこちらです。
アメリカサブプライムローン(会社)破綻再び
テキサス州のサブプライム(信用力の低い個人向け)自動車ローン会社が突然破綻し、その衝撃は地元の自動車ディーラーから、JPモルガン・チェースやブラックロックといったウォール街の大手金融機関を巻き込むまでに広がった。数百億ドル規模に成長した自動車ローン証券化市場で、痛みが本格化し始めているとの懸念が生じている。~中略~
トライカラー・ホールディングスに不正の疑いがかけられているとの報道が出たのは9日夜。同社はその数時間後に連邦破産法第7条による清算手続きを申請した。金利の急上昇と雇用市場の軟化という向かい風が吹く高リスク融資ビジネスにとって、著しい痛みを伴う打撃となった。事情に詳しい関係者によると、連邦検察当局は詐欺疑惑の捜査を開始した。
何年にもわたり、投資家はサブプライム自動車ローン市場に多額を投資してきた。ウォール街の金融商品では享受できない高金利が資金を引き寄せ、その規模は約800億ドル(約11兆7700億円)にまで膨れ上がった。
さてサブプライムローンと言うと、私のような古い人間は住宅のそれとその破綻による恐慌を思い出してしまいますが、現段階で証券化市場の規模は数百億ドルと恐慌を起こす規模ではないようです。この証券化の背景には住宅同様、クルマと言うアメリカでは低所得者でも無理をしてでも購入する必要があるものを購入するためのローンであり、高金利かつ相対的にリスクの低い魅力な金融証券であり、それ故にその規模を拡大してきたという事なのでしょう。しかし金利の急上昇と雇用市場の軟化という向かい風が吹いた事で厳しくなる債務者が増えた事で今回のような事態が起きたのでしょう。
日本で流行る残クレアルファード揶揄ソング
一方日本では残価設定ローンで高価なアルファードを購入した人を揶揄する所謂「残クレアルファード」動画が大流行りしました。
残価設定ローンと言うのは上のリンクにある様に最終回の支払いまでの期間最終回の支払い分を除いた残価を返済していくというもので、返済額が小さくなることで限られた所得で高価な車を保有するものです。その一方で使用時に傷をつける等クルマの価値を下げる行為があると最終支払いで追加費用が発生するので例えば上で取り上げられていた動画ではアルファードの持ち主が子供たちに注意する様子が描かれています。言って見れば所得が低い人が無理して高級車を買う際に出て来る様々な光景を揶揄し、また共感する事で流行ったのでしょう。
金融商品化するクルマとその近づきつつある限界
言って見れば日米双方で車が工業製品から、金融商品に変わり、そしてその限界が近づいてきつつあるという事なのでしょう。金融商品化でこれまでではとても購入が出来なかった所得でクルマそのものが購入出来たり、あるいは高級車が購入できるようになった反面、あくまでディスカウントではなく、リスクの高さを高い金利とローンの長期化、あるいは下取りによって足りない分を回収するスキームと言う事で、対象である低所得者層はむしろ相対的に高い所得の人よりも負担は重い。アメリカではサブプライム層の延滞率が過去最高となっていて、それに伴いサブプライムローン会社が破綻したという事でしょう。言って見ればアメリカで起こったのは失業などでの所得減少あるいは物価高騰などちょっとしたきっかけで生活必須品であるクルマを手放す低所得者層が増えてきているという事です。また日本でも明らかに低所得者による無茶な高級車保有と言う例が増えてきたのが残クレアルファード動画があぶりだしてきているのかもしれません。
都心に増える駅近億ションと地方や郊外不動産の苦戦が示すもの
そして残クレアルファードを揶揄する日本で今進んでいるのは少しずつお金や仕事などを持つものが「クルマが無ければ生きていけない」と言う場所からから離れていく光景、都心部の駅近のマンションの価格が青天井とも言える上昇を続いていく反面、クルマがないと生きづらい郊外や地方から人口が流出しています。しかし、それも持つものだけの動きとも言えます。
宇都宮LRTの成功と持たざる者が金融商品化した車から距離を置く手段
ことしの地価調査の結果が公表され、県全体では33年連続の下落となりました。 一方、宇都宮市のLRTの沿線では、住宅地・商業地ともに上昇が続いています。
しかしある意味で当事者である低所得者などの「持たざる者」は相変わらず金融化したクルマと距離が置けないという側面も見て取れます。また何よりも低所得でもα―どのような高級車を持つというのは彼ら自身の選択でもあります。ただ都心の駅近タワマンを買える高所得者以外でも金融化したクルマと距離が置く選択肢を広げていく必要もあると思われます。
その際に「公共交通に投資を行う」と言うのも有効な選択ではないかと思われます。宇都宮でLRTが成功したと言われる事は多いですがこれは単に利用者が多いだけでなく沿線に移住する人の多さも理由です。言って見ればクルマ社会の地方でも「使える公共交通」が出来た事で、金融化したクルマと距離が置く選択する人が出て来たと言う事でしょう。
滋賀県は、2020年の国勢調査による県内の概要を発表した。人口は141万3610人(女性71万6181人、男性69万7429人)で全国26位だった。国勢調査は5年ごとに行われており、前回の15年よりも694人(0・05%)増えた。全国では0・75%減少しており、滋賀は関西で唯一、人口が増加した。
日本全体の人口が減るなか、都道府県別で増加したのは8都県のみ。滋賀は微増となり、増加率は全国8位だった。県内の自治体では、特に草津市や守山市などJR東海道線沿線で増加が顕著だった。
また郊外でも大都市への電車が高速化する事で時間距離が縮まり活性化するケースもあります。在来線特急なみのスピードで走る新快速のある滋賀県で関西で一番人口増加が見られたのはそれを証明しています。大都市の駅近だとお金持ちでないと厳しいですが郊外であれば廉価で駅近に住め、通勤が徒歩と電車になる事でクルマが一台減らせるわけです。
当然公共交通への投資だけが手段ではないですが、ただこういった視点も必要なのではないかと思います。
まとめ
如何だったでしょうか?今の日本は所得の低い人が無理な高級車を持つのを揶揄する段階で留まっています。しかしアメリカのクルマのサブプライムローンの問題は「どんなに所得が低くてもクルマ保有のコストを負担しなくてはならない」社会の無理を浮かび上がらせているように感じます。
本文では日本の宇都宮を取り上げましたが、アメリカでは社会の無理が見えているからこそポートランドをはじめとする少なくない都市でLRTを中心とする公共交通の投資を日本以上に活発に行っています。当然地域ごとに事情は違い、公共交通への投資が唯一の選択肢とは思いませんが、ただ個人でできる事をしたら自分の住む地域をどうするかを考えるというのも必要なのではないかと思います。
それではクルマを1台減らして生活を豊かにしていきましょう!!

