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BRCA1/2遺伝子に病的バリアントを有する場合、乳癌・卵巣癌・膵癌・前立腺癌に加え頭頸部癌・甲状腺癌・膀胱癌・皮膚癌に罹患するリスクも


BRCA1/2遺伝子に病的バリアントを有する場合、乳癌・卵巣癌・膵癌・前立腺癌に加え頭頸部癌・甲状腺癌・膀胱癌・皮膚癌に罹患するリスクも上昇することが明らかになりました。

今回の発表の解析対象は、バイオバンク・ジャパンが保有している4万2331人の遺伝情報です。そのうち、膀胱癌・骨腫瘍・脳腫瘍・頭頸部癌・肉腫・皮膚癌・精巣腫瘍・甲状腺癌・尿管癌のいずれかの既往歴を自己申告したのが3489人、対照群が3万8842人でした。十分なゲノム解析ができたのは、4万1742人でした。

 BRCA1/2遺伝子の翻訳に関わる1万6111塩基について解析し、BRCA1/2遺伝子変異を解析・評価する国際コンソーシアムENIGMAの基準を用いて、105の病的バリアントを同定しました。

 症例群と対照群でBRCA1/2遺伝子の病的バリアント保持率を比較し、各がん種の疾患リスクを算出しました。BRCA1遺伝子の病的バリアントと有意な関連を示したのは、甲状腺癌(オッズ比:5.25、95%信頼区間[CI]:2.06-13.38)でした。BRCA2遺伝子の病的バリアントと有意な関連を示したのは、頭頸部癌(オッズ比:3.89、95%CI:2.01-7.53)、膀胱癌(オッズ比:4.67、95%CI:2.57-8.47)、皮膚癌(オッズ比:6.13、95%CI:2.47-15.24)でした。有意水準は、P=2.78×10⁻³です。脳腫瘍は、BRCA1/2遺伝子の病的バリアントと有意な関連を認めませんでした。

BRCA1/2遺伝子における病的バリアント保持者の85歳までの推定累積リスクの概要図

BRCA1/2遺伝子は、乳癌・卵巣癌・膵癌・前立腺癌のリスクであるとされてきました。それに加えて頭頸部癌・甲状腺癌・膀胱癌・皮膚癌に罹患するリスクも上昇することが明らかになったということです。

今回の結果はあくまでBRCA1/2遺伝子が新たに4つの癌の疾患リスクと関連するというエビデンスが追加された段階に留まり、明日からの診療をすぐに変えるものではありません。どのようなサーベイランスや治療が適切なのか、そもそもゲノム情報をどう受け止めるべきなのかについて、時間もかかると思いますが、エビデンスを積み重ねつつ社会全体で議論していくことが大切です。

なお、2026年度診療報酬改定では、遺伝性乳癌卵巣癌症候群患者の血縁者(父母・子・兄弟姉妹)で未発症の人に対するBRCA1/2遺伝子検査・遺伝カウンセリングが保険適用となりました。


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