ドラクエのダンジョンと、深夜特急の呪縛。
この文章は世界の街を切り取った旅エッセイです。
題して「見知らぬ異国で、ひとりごつ」
リスボンに泊まり、電車に乗ってシントラへと向かった。
目指すは、おとぎ話に出てきそうなペーナ宮殿。久しぶりに、かっつりと観光をする気分だ。宮殿は、赤と黄色のコントラストが鮮やかで、まるで大きなレゴブロックを積み上げたような、可愛らしい見た目をしていた。
宮殿の中に入ると、外観とはまた違う豪華さに息をのむ。
異世界転生漫画でしか見たことがないような、貴族の食卓がドンッと目の前に現れた。ただの廊下や階段も、もう上流階級気分。きらびやかな装飾品や、豪華な調度品に囲まれ、まるで別世界に迷い込んだかのような錯覚に陥った。
次に、レガレイア宮殿へと足を伸ばす。
だが、ここまでは割と歩くので、ハァハァと息があがり、少ししんどい。こちらは、宮殿よりも、広大な庭園の探索が、何倍も楽しかった。まるで、ドラゴンクエストのダンジョンを歩いている気分。狭い隠し部屋や、底の見えない深い井戸、苔むした古代遺跡。冒険心がムクムクと湧き上がり、わたしは、子供のようにウロウロと、次の仕掛けを探した。
---
この宮殿にたどり着くまでの旅の道中、わたしは一つのことで悩んでいた。
アジアからずっと西進しヨーロッパのはじっこまでたどりついた。尊敬する沢木耕太郎の『深夜特急』では、ここから北上してロンドンで旅が終わる。では、わたしはどうするべきだろうか。物価も高いし、ロンドンや北欧にはあまり興味がない。好奇心は、少しずつ枯れてきている。
「日本に戻るべきか。それとも、アメリカへ飛んでみるか。」
ヨーロッパの最西端で、広大な大西洋を前に、わたしはぼんやりと、この先の旅路について思いを馳せる。ゲームならラスボスを倒せばクリアなのに、現実の旅には明確な終わりがない。果たして、この旅はどこで、どんな風に終わるのだろうか。
---
―ああ、またひとつ、見知らぬ異国で、ひとりごつ。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!