土産物屋にがっかり。クロアチア、コルチュラ島。
この文章は世界の街を切り取った旅エッセイです。
題して「見知らぬ異国で、ひとりごつ」
アドリア海に浮かぶ、小さな島。
コルチュラ島。
街は、コンパクトだった。
石畳の道が、迷路のように続いている。
狭い路地。白い壁。赤い屋根。
歩いて、楽しい。
角を曲がるたびに、違う景色。
迷っても、楽しい。
魔女の宅急便の世界。
看板を見つけた。
「マルコ・ポーロの生家」
マルコ・ポーロ。東方見聞録を書いた、旅人。
ヴェネツィアから、中国まで。
何年もかけて、旅をした。
わたしも、旅人だ。
インドから、西へ。
中東を抜けて、アフリカを縦断して、ヨーロッパまで。
マルコ・ポーロほどではない。
だが、長い旅だった。
中世の、石造りの建物。古い。
ドアを開けた。
マグネット。絵葉書。Tシャツ、マグカップ。
やれやれ。
「何か、買いますか?」
「いえ、見るだけです」
マルコ・ポーロの生家は、土産物屋になっていた。
それが、現実。
だが、石畳の町は、美しかった。
迷路のような路地は、楽しかった。
旅は、そういうものなのかもしれない。
期待と、現実。
美しいものと、商業的なもの。
すべてが、混ざっている。
海辺に出る。
アドリア海が、きらきらと光っている。
マルコ・ポーロも、この海を見たのだろうか。
そう思うと、時代の距離がふっと近づいた。
―ああ、またひとつ、見知らぬ異国で、ひとりごつ。
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