倒れそうな斜塔、と旅。
この文章は世界の街を切り取った旅エッセイです。
題して「見知らぬ異国で、ひとりごつ」
ローマは石の街だったけれど、少し北のフィレンツェに着くと、そこはまるで茶色のケーキでできた街。煉瓦造りの建物が並んでて、散歩するだけで、まるで歴史の教科書の中にいるみたいで目が楽しい。
街を歩けば、あちこちで石の像がにょきにょきと立っている。ミケランジェロのダビデ像だけじゃない。どの像も、まるで「あたしの方が美しいでしょ!」とでも言いたげな、ドヤ顔で仁王立ち。
日本なんてハチ公くらいなのにね。
その日、相部屋の宿で旅人に教えてもらったのが、神様からの贈り物のようなランチ。ワインも、肉も、ペンネもついて、たったの10ユーロ。言葉は通じなくても、「最高かよ!」って気持ちは通じ合える。それが旅の醍醐味だよね。
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翌日、ちょっと足を伸ばしてピサの斜塔を見に行った。写真で見てたけど、まじで傾いてるじゃん!いつ倒れてもおかしくない。
地震が多い日本出身であるわたしは、これが建ったままであることが不安でしかたない。
その姿を見て、ふと自分の旅を思った。健康とお金があれば、まだ続けられるけれど、この旅もいつどこで倒れてもおかしくない。まるで、この斜塔みたい。それでも、わたしは旅を続ける。この街のドヤ顔の像たちがそうであるように、わたしも、わたし自身の旅を、しっかりと胸を張って続けたい。
―ああ、またひとつ、見知らぬ異国で、静かに、ひとりごつ。
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