マラウイ湖のほとりで。甘いマンダジの意外な中身。
この文章は世界の街を切り取った旅エッセイです。
題して「見知らぬ異国で、ひとりごつ」
バスの窓から見える景色が、変わった。
木々が、茂っている。草が、生えている。
これまで旅してきた西アフリカや南部アフリカとは、違う。
マラウイ湖。
この湖があるから、この緑がある。
街に着いた。
人々が、にこにこと挨拶してくれる。
子どもたちが、手を振ってくる。
マラウイは、アフリカでは珍しく、内戦を経験していない国。
周辺の国々は、ほとんどが最近まで内戦をしていた。
だから、この穏やかさがあるのかもしれない。
道端で、食べ物を売っている屋台を見つける。
三角形の揚げ物が、山積みになっている。
「これは?」
「マンダジだよ。食べてみるかい?」
サモサに似ている。
その中に、少し大きくて、丸いものがあった。
「あれは?」
おじさんが、その丸いマンダジを手に取った。
「ひとつ、食べてみろ」
「いいから、食べてみろ」
受け取って、かじる。
外は、サクサク。
そして、中。
白米だ。
白米が、詰まっている。
揚げパンの中に、白米。
甘い。
砂糖が、入っている。
もし、塩気があったら、日本のおにぎりを思い出したかもしれない。
だが、甘い。
もぐもぐと、食べ続ける。
お腹が、膨れた。
米だから、当然だ。
「ありがとう」
マラウイ湖のほとりに座って、湖を眺める。
波が、ぱしゃぱしゃと岸に打ち寄せている。
風が、ふわりと吹いてくる。
漁師が、網を引き上げている。
穏やかだ。
これまで、アフリカを旅してきた。
砂漠、スラム、停電、蚊、恐怖。
疲れた。何度も、疲れた。
だが、ここは、違う。
緑がある。
大きな湖がある。
人々が、優しい。
夕暮れどき、湖は、オレンジ色に染まった。
波が、きらきらと光っている。
マラウイは、「アフリカの温かい心」と呼ばれている。
その意味が、少しわかった気がする。
―ああ、またひとつ、見知らぬ異国で、ひとりごつ。
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