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奇岩の秘密基地、気球の夢見地。記憶に残る旅のかたち。

この文章は世界の街を切り取った旅エッセイです。
題して「見知らぬ異国で、ひとりごつ」


トルコのイスタンブールから夜行バスに乗りカッパドキアへと向かった。窓の外に広がる景色は、次第に平凡なものから、奇妙なものへと変わっていく。
朝、バスから降りると、ひんやりとした空気が肌を包み、目の前には、世にも奇妙な形の岩が、まるで巨人の忘れ物のオブジェのようににょきにょきと大地から生えている。

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カッパドキアの奇岩は、自然が長い時間をかけて作り出した芸術。
その掘りやすい岩を利用した洞窟住宅も壮観だ。まるで、巨人の岩に誰かが穴をあけ、住みついたかのような。わたしも、そのうちの一つ、穴ぐらのような宿に泊まる。子どもの頃の秘密基地のような気分で、胸がワクワクと高鳴る。

夕方、歩き疲れて宿に戻ると、わたしは名物のテスティケバブを食べることにした。壺の中でじっくりと煮込まれた肉と野菜は、熱々で湯気がふわーっと立ち上る。壺をコンコンと叩き割ると、スパイシーな香りがブワッと広がり、食欲を刺激する。一口食べると、肉はほろっと崩れ、口いっぱいに旨味が広がる。
旅の疲れを忘れさせてくれる、そんな一皿だった。

夜になると、奇岩群は美しくライトアップされ、昼間とは全く違う、幻想的な姿を見せてくれる。満点の星空の下、ライトアップされた奇岩を眺めていると、自分が地球ではないどこかの星にいるような、不思議な感覚に包まれる。

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翌朝、現実がひと晩で衣替えをしたかのように、鮮やかな風景が広がっていた。
青い空に、色とりどりの気球が無数にふわふわと浮かぶ。それは、まるで、巨大なシャボン玉のようにも見える。その瞬間、世界が一拍、息を止めたかのように感じられた。わざわざ遠くまで旅をしてきてよかった。この景色を見ることができただけでも、この旅は素晴らしいものだった。

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カッパドキアは、わたしの想像をはるかに超える、美しく、不思議な場所。この場所で見た景色、あの眺めは、忘れた頃にふと鳴り出す懐かしい旋律になるだろう。

―ああ、またひとつ、見知らぬ異国で、ひとりごつ。


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