終わりそうで終わらないブルックナー
例えば、ブルックナー交響曲2番第4楽章フィナーレ。「そろそろ終わりそうだなと思っても終わらない」というのが2シークエンスくらいある。そろそろ終わりますよ的な合図というか、雰囲気っていうのがあると思うんです。それを音楽的に説明できないのがもどかしいのだが。普通の作曲家であれば、その合図によってクライマックスまで一直線って感じだと思うんだけど、ブルックナーの場合は、それが何度もある。少なくとも私の知っている他の作曲家では、そんな曲は聴いたことがない。
私は、その終わりそうで終わらないという「奇妙さ」に惹かれているんだと思う。それに、「あー、もう終わってしまうのか」と思っても終わらないので、お得な気分になる。ずっとブルックナーサウンドに浸っていたいので、永遠に終わらなくても良いくらい。
でも、ブルックナーが苦手な人って、もしかしたら、その辺の「奇妙さ」が苦手なんじゃないか?とも思う。しつこいと感じてしまうとか。そこの波長が合うかどうかが、好き嫌いの分かれ目なのかもしれない。
全休止からじわじわ盛り上がり小さな頂点に達してから、また急に静かになり、別のフレーズを挟んだりして、またじわじわ盛り上がり、今度は前回の盛り上がりを超えてくるけど、また静かになり、そして本当に最後の最後のとてつもない盛り上がりを経て、壮大なコーダに突入!そのコーダで全てを解放し、それまでの伏線を回収する。その究極が、交響曲5番。あのフィナーレのコーダに入った瞬間に涙腺が超崩壊する。あんな音楽を他に知らない。知らないだけで、他にもあるのかもしれないけど、別に知らなくていい。
私がブルックナーの曲を映画音楽っぽいと思っている理由は、メロディやハーモニーだけではなく、ストーリーが感じられるからなんです。60~80分の壮大な物語だ。
「よく1時間以上も音楽聴いていられるよね」と言われることもありますが、「だってみんな2時間の映画は普通に観ますよね。それと同じですよ。音楽にもストーリーがあるんです」と答えても、なかなか理解してくれないけど。
そして、ブルックナーの音楽から感じ取れるストーリーが、私にとって、この上なく心地よいのだ。
