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【能登半島地震】火葬一時ストップ 被災地、広域で弔う

※文化時報1月23日号に掲載予定の記事です。写真は被災して使用できなくなった珠洲市営斎場(同斎場提供)。

 最大震度7を観測した元日の能登半島地震の被災地で、火葬場が損壊した影響で犠牲者の火葬が一時滞った。石川県内の他の自治体が受け入れる「広域火葬」が功を奏し、ほぼ解消しつつあるが、葬儀社に遺体が安置されたまま弔いができないという憂慮すべき事態となった。(奥山正弘)


火葬場損壊、葬儀断念も

 石川県によると、奥能登の珠洲市、輪島市・穴水町(共同施設)、能登町の火葬場が一部損壊し、火葬炉計8基がほぼ使用できなくなった。唯一稼働した能登町の1基に処理能力を超える遺体が集中。金沢市などに運んで対処したが、火葬まで1週間以上掛かるケースもあったという。

 震源地の半島北端にあり、震度6強の揺れと津波に襲われた珠洲市。17日現在で死者99人(うち災害関連死6人)、安否不明者4人に上る。市内唯一の市営斎場は、地震で2基ある火葬炉が損傷し、使用不能になった。

 加えて道路の寸断や渋滞など厳しい交通事情が遺体の搬送を困難にした。荼毘(だび)に付すことのできない遺体を一時、施設に安置したり、やむなく葬儀を断ったりする葬儀社が相次いだ。

 珠洲市の葬儀社「JAやすらぎ会館すず」は地震後、施設で預かる遺体が増え続け、発生1週間前後のピーク時は約40体に膨らんだ。火葬先は容易に決まらず、ひつぎに入れるドライアイスが不足。2日に1度、往復2時間以上かけて市外で確保したという。

金沢市・小松市に搬送

 この事態を打開するため、石川県は県葬祭業協同組合、全国霊柩(れいきゅう)自動車協会県支部と2010(平成22)年に締結した災害協定に基づき、3日に両団体へ協力を要請。被災地周辺にある自治体の火葬場が遺体の受け入れを行う「広域火葬」を手配した。

 この結果、金沢市や小松市など比較的被害の小さかった県中南部5市町の7カ所で受け入れ可能となり、翌4日から搬送をスタート。10日からは他府県の寝台車を活用した。

 県によると、広域火葬の取り組みと道路状況の改善が相まって、葬儀社などに安置されていた遺体は徐々に減少した。「JAやすらぎ会館すず」の担当者によると、金沢市や七尾市などに搬送したため、17日現在で7体に減ったという。

 県薬事衛生課の新屋直人課長補佐は「県内の他自治体への広域搬送の効果と道路状況の改善で、ご遺体の火葬は徐々に進んでいる。今後もご遺族の意向に沿って速やかな搬送に努める」と話している。

 珠洲市営斎場は15日に停電が解消したため、今後、地震で倒れた分電盤などに通電して配線などをチェックし、稼働するかどうか調査する。同市環境建設課の担当者は「再開に向けた第一歩だが、復旧の見通しはつかない」と話した。

 能登町の火葬場は12日、故障していた火葬炉1基が回復し、3基中2基が使えるようになった。輪島市は17日現在、まだ停止したままで、復旧のめどは立っていない。

炉の全面復旧が急務

 約1万5900人の死者が出た11年の東日本大震災では火葬が追いつかず、宮城県内で2千体以上の遺体が一時的に仮埋葬(土葬)された後、改めて掘り起こして火葬する「改葬」が行われた。

 葬儀業界からは「能登半島地震でも火葬場復旧の見通しが立たず、搬送もままならない状況が続けば、東日本大震災と同じ措置が取られる可能性がある」との指摘があるが、新屋課長補佐は「広域火葬の取り組みで、改葬はないだろう」との見通しを示した。

 能登半島地震の発生から3週間。犠牲者の尊厳を守り、心を込めた「最後の別れ」を送るためにも、火葬場の一刻も早い全面復旧が急務となっている。

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