【映画】「ChaO」感想・レビュー・解説

なかなか面白い映画でした。まあ、変なアニメだったけど。でも、基本的にヘンな話は好きだし、本作の「訳の分からなさ」は結構好きなタイプだった。

舞台は、「人間と人魚が共存する社会」である。どうやら未来世界のようだ。街中には「人魚専用の高速水路」があったりと、共に暮らすための工夫がなされているのだが、しかしやはり問題もある。船のスクリューだ。人魚にとって、船のスクリューはかなりの脅威なようで、船会社の社長と人魚王国の国王がテレビ対談を行ったりしていた。しかしシー社長は表向き「人魚との共生」を謳うものの、裏では「スクリューを止めるわけないだろ」と考えており、溝が埋まる感じはしない。

しかしここで凄まじい出来事が起こる。その中心にいるのが、シー社長の船会社で働く一介のサラリーマン・ステファンである。

なんと、人魚王国のお姫様であるチャオに求婚されたのだ。

人間社会は大盛りあがり。この結婚が実現すれば、人間と人魚の世界は安泰だ。特に、スクリュー問題で人魚王国と揉めているシー社長は大乗り気である。ステファンに「社長じゃない、兄貴だ」と言い、さらに、ステファンが以前提案して却下されたスクリューに代わるシステムの開発にもGOサインが出た。これもすべてチャオのお陰である。

が、ステファンにはそもそも、どうして人魚王国の姫から求婚されたのかさっぱり分からない。チャオからのアプローチは凄まじく、しかも、その口ぶりからはどうやらチャオにはステファンと会った記憶があるらしいのだが、ステファンには人魚王国の姫と会った記憶などない。ステファンはよく分からないまま、しかし周囲の凄まじい期待に後押しされるようにしてチャオとの結婚に踏み切るのだが……。

というような話です。

冒頭からなかなかぶっ飛ばす感じでハチャメチャが展開されていて、割とすぐに「こういう世界なら何でもアリだな」というモードになれる。何せ、まったく説明されないので意味不明なままなのだが、「同じ人間なのに、頭身が全然違う人」がいたりするのだ。『千と千尋の物語』の湯婆婆みたいな2頭身・3頭身みたいなキャラクターが出てきたりするのだ(人魚ではなく、人間だ)。意味が分からない。まあそういう意味不明さは随所にあるのだが、あまりにも多すぎるので「理解しよう」という気にはならない。「そんな感じの世界観なのね、フフフ」みたいな感じである。まあ、そういうモードに入れなかった人的には「???」ってな作品だろう。かなり人を選ぶ映画だろうなとは思う。

ストーリーもあってないようなものって感じで、ラスト付近で一気に色んな情報がブワーって放出される感じがあるけど、作品全体としては「2人が結婚するまでのすったもんだ」「2人が結婚してからのすったもんだ」をすったもんだ描いているという感じである。とにかく、すったもんだしていた。

そしてその「すったもんだ」は、「何故求婚されているのか分からないステファン」と「人間社会の常識が分からないチャオ」という組み合わせによって生まれる。ステファンはとにかくひたすらチャオから愛されまくるのだけど、ステファンにはどうしてそうなったのか理解できない。ステファンの認識では「面識のない人(というか魚)」であり、チャオが「ステファンの傍を一生離れません」みたいに言っている理由が全然分からない。で、分からないのに、周囲の期待もあって「魚なんかと(当初彼はそう思っていた)」結婚しなければならなくなったのだ。

ただまあ、基本的には「良いヤツ」って感じなので、「健気に好いてくれる感じ」とか「ステファンがつれなくて悲しんでいる様子」なんかに絆されてしまったりする。まあそういう「ステファンの右往左往」がまず1つ面白いポイントだろう。

そしてもう1つが、チャオが人間世界を知らないことである。チャオは、家族が住む海を離れて陸で暮らす決意をするほどステファンに惚れ込んでいる。しかしやはり、慣れない生活は大変だ。なにせ、結婚したての頃は「朝食が出来た」と言ってステファンに「水桶の中で泳ぐ電気ウナギ」を見せたぐらいだ。チャオはそれを生のまま丸呑みするが、もちろんステファンにはそんなこと出来ない(感電するし)。それぐらい生活に差があるところから、チャオはどうにか頑張ってステファンとの生活を成り立たせようとするのだ。

でももちろん色々大変なことにもなってしまう。例えば、これは予告編でも使われていた場面だから書いてもいいかなと思うけど、チャオはなんと「大量の打ち上げ花火に室内で火をつける」という暴挙をやってのけるのである(しかし、これもある種の「伏線」になってるのは面白い)。まあそりゃあ、人魚には「花火を室内でやっちゃいけない」なんて分からないよなぁ。

そんな凸凹コンビが織りなすラブファンタジーという感じの作品で、合う合わないが人によってかなり大きいとは思うけど、個人的には結構好きだったかな。さっきも書いたけど、僕は冒頭の時点で、「この世界では何が起こっても良い」みたいな受け取り方をしたので、それで本作を受け入れやすくなったのだと思うけど、そう思えない人には「えっ? 何この展開?」みたいになるかもしれない。制作側は別に「万人受け」なんか狙ってないと思うけど、何にせよやはり「みんなにオススメ」みたいにはちょっと言い難いかなという感じである。

さて、本作の声優には役者やお笑い芸人など色んな人が参加しているのだけど、シー社長の山里亮太はすぐに分かった。もう、山ちゃんでしかない声で、でもそれがあのキャラには合ってるから、絶妙な配役だよなぁ、って感じだった。あと、エンドロールに「くっきー!」ってあったから、「やっぱり! あの訳分かんないカメラマンのおっさんだよな!」と思ったのだけど、違った。あのカメラマンの声、聞いた時に「くっきー!っぽいな」って思ったのになぁ。

まあそんなわけで、アニメを普段観ない僕としては「アニメとしてどうか」みたいな判断は別に出来ないし、絵柄がどうとか声優がなんだとかって話も分からないけど、物語としてはなかなか好きだった。大分好みは割れる作品だと思うけど。

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