【映画】「リライト」感想・レビュー・解説
しかしホント、よくもまあ「タイムトラベル」みたいな使い古された設定から、こんなハチャメチャな物語が作れるものだなと思う。まあ、ありきたりな設定だからこそ普通のパターンは使い尽くされていてハチャメチャにするしかない、みたいな部分もあるとは思うけど、それにしても、「まだこんな発想があり得るんだ」という感じだった。ホント、世の中の「ストーリーテラー」たちは凄いものだなと思う。
しかし、本作は「上田誠脚本」という情報だけで観に行ったのだけど、原作小説があるようだ(いや、エンドロールで著者名を見て、「そうだ、そんな小説あったなぁ」と思い出したのだけど)。しかし上田誠は、タイムトラベルとかタイムリープみたいな物語をよく書いているから脚本を担当するにはピッタリだなと思う。あとエンドロールを見て、「松居大悟なのか」と思ったりした。「上田誠」の名前だけで観に行ったけど、橋本愛が出てたりとかストーリーが斬新だったりと、なかなか満足出来たかなと思う。
というわけで、ざっくり内容を紹介しようと思うが、ネタバレをしないで内容紹介をすると、マジでつまらなそうな作品に感じられるだろうなぁ。僕も正直本作の途中までは、「これ、ここからどう面白くなり得るんだ?」と思いながら観ていた。とはいえ、本作はその斬新なストーリーがやはり肝なので、本質的な部分には触れずに内容を紹介しようと思う。
7月21日。小説家になった美雪は、実家の部屋で”自分”を待っていた。10年前の美雪が、10秒だけ、この部屋にやってくるはずなのだ。
10年前の7月1日、高校3年生だった美雪のクラスに転校生・保彦がやってきた。スタイリッシュな存在感で、すぐに注目の的になる。その後美雪は、図書室で驚きの光景を目にすることになる。なんと、保彦がどこからともなく現れたのだ。「見なかったことには、出来ないよね」と口にした彼は、「2311年からやってきた未来人」であることを明かす。2人は秘密を共有し合った存在であり、さらに美雪は保彦の佇まいに惹かれていく。教室ではツレない保彦だったが、放課後はいつも会う関係になり、2人はどんどん親密になっていく。
そして7月21日、とある事情から美雪は、保彦からもらっていた「10年後に10秒だけタイムトラベル出来る薬」を飲み、未来の自分に会いに行く。そしてそこで、10年後の自分に思いも寄らないことを言われるのだが……。
というような話です。
個人的には、これ以上物語に触れるとちょっとネタバレになるかなという感じなんですけど、これだけだと「なんのこっちゃ」って感じですよね。僕も観ながらそう思っていました。この「10年後の自分に会いに行く」という展開まではかなり早く、スピーディーに進んでいきます。で、そこからは「10年後の物語」になっていくわけですが、その物語もしばらくの間は「まあそういう展開だよね」という感じで、特にどうなるわけでもありません。さっきも書きましたけど、「で、ここからどうなるわけ?」みたいにずっと思っていました。
「ん?」という感じになってくるのが、映画冒頭のシーンと繋がる場面から。ただこれも正直「想定の範囲内」というか、「まあ、ここでそうなっちゃったら話続かないよね」みたいに思ったので別に驚くような感じでもありません。なのでホントに、「物語全体の構造」が理解できるまでにかなり時間が掛かります。その点がちょっと難点と言えるでしょうか。
ただ、その「全体構造」が明らかになるまでに、かなり丁寧に伏線が散りばめられていて、後半以降(というか、結構終盤になってから)の展開を観ながら、「なるほど、あの時のあれはそれでだったのか!」となっていきます。しかもそれらは、「明らかな違和感」を抱かせるものもなくはないけど、ほとんどが「普通に観ている分には違和感を抱かせないシーン」であり、その辺りも凄く上手かったなと思います。
しかも物語の後半は、「えっ? そうか、こいつが実は陰の主人公だったのか!」みたいな人物に焦点が当たるようになるし、さらに、その人物の「奮闘」を想像するとかなり笑けて来る感じもあって(実際に客席から笑い声も上がっていました)、思いがけないキャラクターが重要な存在として浮き上がってくるところも面白かったです。いやしかし、いくら徹夜したところで、その”采配”は無理だろ(笑)
とまあ、その部分はかなり「非現実的」という感じだったのだけど、そもそも「300年先の未来からやってきた」みたいな設定が荒唐無稽なわけで、だから大して気になりません。それでいて、「そんな細かい部分も描いてるんだ」みたいに感じる部分も多く(個人的には「幽霊を見た」って話は、なるほどよく出来てるなぁと感じた)、「大嘘の大枠の中で細かなリアルを追求している」みたいな部分も良かったなと思います。
ちなみに、観ている時には全然気づきませんでしたが、本作の舞台は尾道で(ただ「尾道」というワードがセリフの中に出てくるのは1~2回だったと思う)、しかも「タイムトラベル」がモチーフなわけで、「尾道三部作」として有名な映画『時をかける少女』へのオマージュみたいな感じなんですね(まあそれぐらい、「小説のタイトル」で気づけよ、って感じですけど)。僕は映画『時をかける少女』を観ていないので、本作中にどういうオマージュが含まれているのかよく分かりませんが、僕みたいに『時をかける少女』を観ていない人間でも全然楽しめる作品だと思います。
ただ、個人的にちょっと気になってしまったのが、美雪の夫である章介の演技。僕には、なんか凄く下手に見えてしまったんだけど、そんなことないのかなぁ。作品全体の中で、ちょっとバランスの悪さを感じてしまうぐらい、ちょっとしっくり来ないなぁみたいに思ったりした(まあ、役者の演技にどうこう言えるほど知識はないのだけど)。
まあそんなわけで、観ていない人にはよく分からない感想だと思うけど、個人的にはなかなか楽しめる作品でした。物語が駆動していくのがちょっと遅いので、配信とかで観てたりすると「つまんないからいいや」と思って諦めちゃうかもしれないけど、後半、なかなか怒涛のように面白い展開になっていく作品なので、途中で諦めないことをオススメします。しかしホント、よくもまあこんなぶっ飛んだハチャメチャな物語を思いつくものだよなぁ。
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