【映画】「愛はステロイド」感想・レビュー・解説

「うーん、これは面白いのか?」という感じだった。つまらなくはないし、惹き付ける物語だなとも思った。ただ、そこまでポジティブな評価を与えられるような作品にも思えなかったけどなぁ。本作は、一体何が話題になっているんだろう?

そもそも僕は本作のことを公開当日まで知らなかった。公開日にたまたまこの映画を紹介するネットの記事を目にして、それで初めて存在を知ったのだ。映画館にはかなり行っているけど、一度も予告を目にしたことがないし、映画館のチラシ置き場とかもちょいちょい見るけど、少なくとも僕の視界には入らなかった。しかし、今日の劇場はかなり満員に近かったし、なんとなく評価も高そうな印象がある。謎だ。本作のどの辺りが、観る者を惹き付ける要素になっているんだろうか?

物語は、シンプルと言えばシンプルだ。クレーター・ジムというジムの従業員であるルーは、常連客から「筋金入りのレズ」と言われる存在で、そんな彼女を追いかけ回しているらしい女性がジムにやってきたりする(運動をしている気配はないから、ただルーに会いに来ているのだろう)。しかしルーにはベスという姉がいて、この姉の夫・JJがイカれた男であるために、姉の見張り的なことをするのに忙しい。

さてそんなある日。間近に迫ったラスベガスでのボディビルの大会に出場しようと、オクラホマからヒッチハイクでここまでやってきたというジャッキーと仲良くなる。常連の男性客に飲みに誘われた際、ジャッキーが男の内の1人を殴り、そのせいで彼女も殴り返されていたのだ。ルーは一旦締めたジムにジャッキーを招き、少し話をする。そして互いに惹かれ合った2人は、そのまま付き合うことになった。住む場所がなかったジャッキーは、そのままルーと一緒に生活することになったのである。

そのままボディビルの大会の日を迎えられれば良かったのだが、そうはいかなかった。姉のベスが入院したのだ。顔をパンパンに腫らしていて、明らかに夫のJJに殴られている。しかし警察は「状況が分からない」からと、JJを任意で取り調べている段階だという。もう我慢ならん。

そう思っていたのは、父親も同じだったようだ。父親は町外れの射撃場を経営しており、そして町の裏社会を仕切るボス的な存在でもあった。ルーはそんな父親に嫌気が差し、今では絶縁状態なのだが、なんとジャッキーが父の射撃場でアルバイトを始めたというのだ。

さて、そんな父親が「JJは内々で処理しよう」とルーに言ってきたのだが……。

というような話です。

そもそもの話なんだけど、僕は「『愛してる』って口に出して言ったら問題はすべてオールクリア」みたいな状況がしっくり来ない。「ん?」と感じてしまうのだ。そして本作にはそういうシーンが多い。「愛してる」という言葉がまるで魔法の呪文のように働き、メチャクチャ顕在化されていたはずの「問題」を雲散霧消させる、みたいなのがちょっと理解できないのだ。どういうこっちゃねん。愛だとか恋だとかは理屈じゃないんだろうけど、それにしたってあまりにも理屈を度外視したやり取りに感じられるので、「むむむ」となってしまう。

まあそんなわけで、基本的に、ルーとジャッキーの関係はまったく好きになれなかった。大前提として、この点が、本作に上手く乗り切れなかった理由だと思う。

で、ルーはいいんだけど、ジャッキーと、あとルーのことが好きな女性(名前忘れちゃった)がちょっと絶望的に頭が悪い設定で、これもまた僕にとっては絶望的に受け付けられない感じがあった。基本的に「頭が良い人」が好きだけど、ただ、「頭が良くなきゃダメ」とは思ってない。ただ、「頭が悪い」みたいに感じられてしまうと、ちょっとなぁ、途端に興味が失われるんだよなぁ。もっと物語の展開と無関係な頭の悪さだったら全然良かったと思うんだけど、本作の場合、「この2人の女性の頭が悪い」という要素は、割と物語の展開に必要だったりするので、そういう意味でも「むむむ」となってしまった。

最後のあのシーンも、もちろん「ん?」ってなったんだけど、正直、作品に対する違和感がもしこれだけだったら全然許容できた気がする。ただ、本作ではそこまでにも色々と「むむむ」があったので、最後のあのシーンも「なんじゃこりゃ?」となってしまった。まあ、この演出は面白いとは思うけど。ってか、「そんなん、アリなんか!」って感じのぶっ飛んだ感じは決して嫌いじゃない。一応、伏線っぽい描写もあったし。まあ、にしても、って感じはあるけど。

ルー役の女優(クリステン・スチュワートっていうのね)は、「どっかで見たことあるなぁ」と思ったんだけど、『スペンサー ダイアナの決意』の人なのか。イメージが全然違ってビビるな。本作で個人的に良かったのはクリステン・スチュワート(というか、ルー)だけだなぁ。演技の良し悪しはよく分からないけど、少なくとも「人」としては、ルー以外にはあまり興味が持てなかった。

いいなと思ったら応援しよう!

長江貴士 サポートいただけると励みになります!

この記事が参加している募集