【映画】「おくびょう鳥が歌うほうへ」感想・レビュー・解説

凄く良かったわけではないけど、じんわりと何かが伝わってくる作品だった。ただ、時系列が凄まじくあちこちに飛ぶので、小説でも映画でも物語を追うのは慣れてる僕でもなかなか全体像を捉えるのがハードだった。まあ、公式HPによると、「時系列があちこち飛んでる」ように見えてるシーンは、主人公・ロナが過去の記憶に苛まれているみたいな感じらしいのだけど。まあいずれにしても、物語はあっちこっちに飛ぶ。時系列を判断する基準はたぶん、彼女の髪の色だろうなぁ。最初は真っ青だったけど、あるシーンでは青い髪が下半分ぐらい、そしてさらに別のシーンでは毛先が少し青くなっている、そしてその後は完全なブロンド、みたいな感じになる。きっとこれで時系列を判断するといいんだろうなと思う。

ロンドンで生物学を学んでいたロナは、29歳の時に10年ぶりに故郷に戻った。スコットランド・オークニー諸島にある島だ。羊を育てている父の手伝いをしながら、冷たい海と荒れ狂う風と共に日々を過ごしている。

ロナはアルコール依存症になった。昔から浴びるように酒を飲んでおり、そのためにトラブルも日常茶飯事。恋人のデイニンにもずっと迷惑を掛けていた。しかし彼女は、「お酒が飲みたい」という欲求を抑えきれない。結局、恋人からも別れを告げられてしまった。

そのため彼女は自ら、居住型の依存症施設への入所を決める。厳しいことで知られていて、成し遂げられる者は10%もいないと言われていたが、彼女は90日間のプログラムを乗り越えた。

しかしだからと言って、彼女の生活が好転するわけではない。愛した恋人とは長く連絡を取っていない。家族や友人からは蔑まれたり気を遣われたりしている感じがする。無職の状態をどうにかしようと色々な職に応募するが、断られてしまう。

そんな中彼女は、母親から勧められた鳥類保護の団体で働くことにする。生息数が減っているウズラクイナ(滅多に姿を現さないからだろう、「おくびょう鳥」と呼ばれているらしい)の調査を任され、その調査も兼ねてだろう、彼女は実家を出て1人で暮らし始める……。

というような話です。

正直、「ここが良かった」みたいなポイントは特にないのだけど、全体を通して観ると「割と良かった」みたいな感じになった。とにかくロナは、「酒への誘惑」と闘い、「過去の記憶」に苦しみ、「積み上げていくべき毎日」を必死で歩んでいく。そしてその姿を、ロナを演じた女優(シアーシャ・ローナンというらしい)が実に素敵に演じている。

あと、時々語られる「オークニー諸島に伝わる伝説」みたいな話も面白かった。「波にさらわれた人間はアザラシになると言われている。そして満月の夜、そのアザラシは皮を脱いで人間の姿になるが、人間にその姿を見られるとアザラシには戻れなくなり、不幸になる」とか「ヘザー・ブレサー島は霧の中にだけ見つかると言われている」など、それぞれが物語の端緒になりそうな感じがある。

というわけで、正直書くことはあまり思いつかないのだが、決して悪くはなかった。「雄大な自然」みたいなものは僕はあんまり興味がないけど、でもそういう部分に惹かれる人もいるだろうし、「なんか良かったな」みたいになる人は結構いるんじゃないかなって映画だった。

あと、僕は依存症とかないし、周りにもいない(たぶん)けど、なっちゃうと大変だよなぁ、って思った。たぶん基本的には「脳が変質しちゃってる」から、自分の意志ではどうにもならないんだよね。大変だ。


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