【映画】「アルキメデスの大戦」感想・レビュー・解説
※このnote全体の索引は以下より
<索引>【乃木坂46】【本】【映画】
https://note.com/bunko_x/n/naf1c72665742
面白かったなぁ。
ただ、僕が感じた「面白さ」の何割かは、「これが実話なんだとしたら凄い」というものだったんで、後で調べて、実話じゃないんだ、ということが分かって、ちょっとがっかりしてしまう部分はありました。
内容に入ろうと思います。
海軍の山本五十六は、これからの戦争には航空母艦が必要だ、と考えていた。しかし、そういう先を見据えた考え方をする者は少なく、未だに海軍内では、優美でカッコいい軍艦を作ることが先決である、という風潮がある。山本は空母の重要性を説くが、会議で平山忠道が出した新たな戦艦の縮尺模型が提示され、フォルムの美しさや帝国海軍の威容を誇るべしというような精神論が多勢を占めるようになってしまう。
山本側は、なんとかして平山案を廃棄しなければならないが、正攻法では戦えそうにない。ある日山本らは、料亭で英気を養うことにしたが、芸者を呼んでも誰もいないという。なんと、元帝大の学生が芸者を独り占めしているというのだ。話をつけに行ってみると、櫂直というその男に興味を惹かれた。ちょっとした誤解で帝大を退学させられたが、彼は100年に1人の数学の天才と言われる男だったのだ。そこで山本は考える。会議の場で、建造費の見積もりが提出されたが、山本側は空母でシンプルであるのに、平山案の方が見積り金額が少なかったのだ。そんな馬鹿げた話はない。そこで山本は、櫂を引き入れ、平山案の見積もりをやり直させることにした。
その期限、2週間。次回の会議まで、それぐらいの日数しかないのだ。しかも困難は日数だけではない。そもそも軍艦の設計図は、軍機として最高度の情報管理がされている。つまり櫂は、平山案の設計図を見ることも、各部品の納入金額なども一切分からないまま、平山案の見積もりをしなければならないのだ。
軍人は嫌いだ、と言ってギリギリまで抵抗していた櫂だったが、やると決めたからには徹底的にやる。しかしさすがの数学の天才にとっても、あまりにハードルの高いミッションだった。僅かな望みにかけてあらゆる方策を検討するが…。
というような話です。
ストーリーの話をする前にまず、冒頭の戦闘シーンの話をしましょう。冒頭は、昭和20年4月7日、坊ノ岬での海戦が描かれています。これがまあ迫力満点!観ながら、どうやってこんなん撮るんだろうなぁ、と思ってしまいました。もちろんほとんどCGでしょうが、CGでは無理な部分もあります。そもそも、構図というのか、その戦場をどういう角度や方向から切り取るのか、みたいなのもカッコいい感じで、一気に引き込まれますね。
で、ストーリーは、ホントに上手く出来てるなぁ、と思いました。なんというのか、確かにこういうことが起こっててもおかしくないような気がするなぁ、と思わせる力があります。「数学で戦争を止めようとした男がいた」みたいな予告を観た記憶があって、どういうことなんだろう?と思ってたんだけど、なるほどまさに数学で戦争を止めようとしているな、という感じです。航空母艦も戦艦(大和)も実際に作られているわけで、そういう意味では史実を基にしているといえるでしょう。そしてその背景に、「もしかしたらこんなことがあったのかもしれない」と思わせる物語の力がありました。
それにしても櫂はちょっと超人過ぎますね(笑)。いくら100年に1人の天才でも、ここまでは無理でしょう。こんな奴いたら、絶望しかない(笑)。まあでも、数学とか物理の本を読んでると、実際、たまにいるんだよなぁ、こういう桁外れの天才が実在するんです。羨ましい。生まれ変わったら天才になりたい。
あと、この物語の見せ場はやはり、「櫂が平山案をいかに阻止するか」という会議の場面なわけですけど、実はその後にも一つ、大きな山場があるんですね。そして僕は、こっちの山場の方がグッときました。櫂の存在がフィクションだとするなら、この最後の山場ももちろんフィクションなんだろうけど、なんだか凄く説得力があるな、と。平山という軍艦の設計者が櫂に滔々と語る未来の話は、もちろん、未来から過去を見ている僕らからすれば「そうだよね」って感じの話ではあるんだけど、その当時の人からすれば斬新極まりないものだっただろうし、「軍艦の建造」に対してそこまでの意味を持たせているのだ、という解釈は凄く好きだなぁ、と思います。
あと、最後にちょっとした疑問を。僕はこの映画を見てて、こういう風に物語を作るのってアリなんだ、って感じました。山本五十六とか平山忠道は、実在した人みたいです。で、櫂直が実在しないのであれば、山本五十六と櫂の会話や、平山忠道と櫂の会話は存在しない、ということになります。つまり、フィクションです。実在する人物の口から、そういうフィクションを語らせる、しかも、実にリアルでフィクションとは思えない物語の中でそれをやる、というのは、セーフなんかなぁ、と思ってしまいました。まあ、そういうノンフィクションノベルって存在するにはするからいいんだろうけど、本書では、山本五十六とか平山忠道が結構自らの価値観を主張している場面があるから、櫂直という存在がいなかったら発しなかっただろうそういうフィクションのセリフを存在させてしまっていいのかなぁ、という疑問は結構ありました。
とはいえ、物語としてはなかなか面白かったです。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートいただけると励みになります!