【映画】「せかいのおきく」感想・レビュー・解説

「うん、そうだよなぁ、こういう感じの映画だよなぁ」という感じの映画だった。

「うんこ」を集めて農家に売る「汚穢屋(おわいや)」と、元武家の娘の話で、時代劇なんかではなかなか描かれない(時代劇をあんまり見ないからよく分からないけど)「汚いリアル」がベースになっている。ほぼ全編が白黒の映像なので、その「汚さ」が全面に出て来ないところが上手い。

「おわいや」はやはり最下層の身分として扱われていたようで、その暮らしはなかなか厳しい。一方、元武家の娘も、「侍」がいなくなった世の中で、それまでとは違う生き方を強いられる。その上、侍の理屈に巻き込まれて声を失ってしまうのだ。

そんな縁遠い男女が惹かれ合う……という話なのだが、「惹かれ合う」までがとても長く、さらに「惹かれ合ってから」の描写が短い。まあ、そういう物語も、良いとは思うのだけど、僕としてはあんまり好みではなかった。やっぱり、中次とおきくの関わりが、もう少し作品のメインになっていても良かったように思う。

ただ、「江戸時代ってこんな感じだったのか」ということが、少し垣間見えるところは興味深かった。

映画を観た後で少しネットで調べると、面白いことが書かれていた。この映画の撮影に際しては、すべての衣装や小道具を「新しいものを一切使用しない」という制約で用意したそうだ。『せかいのおきく』という映画で描かれているものが、「使えるものはすべて使う」という「循環型社会」であるため、それを撮影段階でも体現しようというわけだ。このような取り組みはなかなか面白いと思う。

映画を観終わるまでほぼ意識に上らなかったが、そういえば、佐藤浩市と寛一郎の親子共演だったのか。

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