【映画】「MELT メルト」感想・レビュー・解説
たぶん、良い作品なんだろうな、と思う。「良い映画」という雰囲気は凄く感じた。けど、ちょっと僕には合わなかったなぁ。
いつものように、あらすじも何も知らないまま映画を観に行ったので、冒頭からしばらくの間、「一体なんの話なのか?」がまったく掴めなかった。本作はざっくり、主人公であるエヴァの「今の話」と「子どもの頃の話」を行ったり来たりするような物語なのだが、そのどちらの話も、「何に焦点が当てられようとしているのか」がとにかく掴みにくかった。
「今の話」の方では、「妹とは仲が良いこと」「エヴァは両親を毛嫌いしてるらしいこと」「関係性は不明ながら、ヤンという人物が亡くなっていること」が割と早い段階で描かれる。しかしそれ以降は、とにかく「エヴァの行動」が意味不明すぎて、何をしているんだかさっぱり理解できない。全体の方向性としては、「ヤンの追悼イベントに出席しようとしている」のだけど、デカい氷を作ったり、飼ってるカメを車に載せたりと、「それが何にどう繋がるわけ?」みたいな描写が続く。
そして作品全体としては、「子どもの頃の話」がメインと言っていいだろうか。つまり、「子どもの頃に何かがあり、それが現在のエヴァの行動に何か影響を与えている」みたいな構造というわけだ。
子どもの頃のエヴァは、仲の良い男友達2人と「三銃士」と呼ばれるような関係だった。しかし実際のところはもっと複雑である。初めの内は分からなかったのだが、エヴァはどうやら男友達の1人であるティムに想いを寄せていたようだ。しかしティムは明らかにエヴァのことを「女」としては見ていない。そのことを彼女がどう感じていたのかは、観客が勝手に読み取るしかないが、僕には「恋愛関係になれなくても、こうやって近くにいられるだけで十分」みたいに、少なくとも最初の内は考えていたんじゃないかと思う。「三銃士」の関係性を崩してまで、2人だけの関係にしようとは思っていない、というわけだ。
しかし、日常の中で色んなことが起こったことで、エヴァの内側で色んなことが少しずつ変わっていったのだろう。エヴァの行動原理にはよく分からない部分もあったが、ともかく彼女は何か「変化」を求めて、今までと違うことをやろうとした。ただ、結果としてそのことが、エヴァにとって「最悪」を引き連れることになってしまった。
そして、13歳の時のその「最悪」が、大人になったエヴァを突き動かしているというわけだ。それがどう「デカい氷」と繋がるのかはここでは触れないが、ある場面で「あぁ、なるほど」となった。いや、「完全に理解できた」というほどでもないのだけど、少なくとも「デカい氷」の意味は分かった。そう考えると、タイトルもなるほどという感じである。
じゃあどこがしっくり来なかったのかという話なのだけど、なんだろうなぁ、正直ちゃんとは分からない。ただやはり、「今」も「子ども時代」も、あまりにもエヴァのセリフが少なくて、「今何をどう感じているのか」みたいな部分が「観る人に完全に任されている」みたいな感じだったところに「うーん」と感じたのかもしれない。「色んな受け取り方が可能」みたいな良い面ももちろんあるけど、個人的な好みで言えば、「もう少し見方を絞ってくれても良かったなぁ」と感じられてしまった。いや、この点がクリティカルなポイントだったのかもよく分からないのだけど。
本作には原作小説があるそうで、だとすれば、原作小説では「内面描写」みたいな形でエヴァの心情が結構詳しく描かれているんじゃないかと思う。それを、セリフを極度に排した映像作品で描くのは、ちょっとハードルが高かったのかもしれない。まあすべて予想だけど。
そんなわけで、個人的にはちょっと好きになれない作品だったなぁ。でも、この作品を「良い」と感じる人がいるのは分かるし、単に僕に合わなかっただけだと思う。
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