【乃木坂46】24時間アイドル・堀未央奈
堀未央奈を捉えるのはなかなか難しいなぁ、と思う。個人的な見方としては、本人が敢えてそうしているんだろう、と思っている。以前雑誌のインタビューで読んで、今でも印象的に覚えている秋元真夏とのやり取りがある。
【(真顔で嘘をつきますよね、と言われて)あぁ~。でも、すぐに「嘘なんですけど」と言うことにしています。「これは嘘なんだ」と自分に言い聞かせないと、自分の中で何が本当なのか分からなくなってくるんです。
―想像力がないと話せないですよね。
自分の演技を試したいという瞬間があって、そんな時に目の前にいる人に力を貸していただいて、嘘を信じてもらえると自信がつくんです
真夏 いいように言ってるけど、嘘ついてるだけですよ(笑)】「EX大衆2017年5月号」
秋元真夏のツッコミの通り、「嘘をついてる」と言っているだけの説明なのに、堀未央奈が言うと、なんかそういう次元の話ではないような気がしてしまう。そういう、不思議な感覚をもたらす人だなぁ、という印象をずっと持っていた。
そんな彼女を捉える僕なりのキーワードが、「24時間アイドル」である。
【あと、東京にいると、いつでも気を張って仕事モードでいる感じがするんです。例えば、私はお出かけするときも、ほぼ変装しないんですよ。むしろ、いつ見られても良いようにちゃんとメイクもして、「乃木坂46の堀未央奈」としてお買い物に行ったり、映画を観に行ったりするんです。
―それはすごいですね!
それは家の中でも一緒で、基本的にリラックスはしないで、ずっとブログを書いたり、755をやったり、次の握手会のコーディネートをしたり、写真集を見て写り方を勉強したり…基本は活動に繋がることしかしてないです。
―それはいつ頃からですか?
意識がガラッと変わったのは18歳ぐらいですね。選抜からアンダーに行ったタイミングかな。それまでは自分の中で甘さもあったし、葛藤もあったし、どこかで甘い自分というか強くない自分がいたんです。でも、活動をやめるか続けるかって決断をしたタイミングで、意識もすごい変わりました】「BRODY 2017年12月号」
アイドルを真剣にやっている人は、皆努力家だろうし、努力という点において堀未央奈が他のメンバーを圧倒しているのか、ということは僕には分からない。しかし、意識の向け方として、「常にアイドルである」と考えている人は、なかなかいないように思う。少なくとも、僕がこれまで乃木坂46のインタビューを読んできた限りにおいて、そういう印象をもたらす人は堀未央奈だけだった。
【私は、すべてのことにおいて手を抜きたくない性格で、常に自分に厳しくありたいです。だから、私も現状に満足していないで、もっと自分がやりたいことを見つけて、頑張らないとなって。】「日経エンタテインメント!アイドルSpecial2018春」
「真顔で嘘をつく」というような振る舞いもあって、普段の言動からはなかなか真面目さが伝わらない人だと感じるが、インタビューを読んでいると、その熱さが伝わってくる。彼女は、乃木坂46に入ることが決まったと同時に高校を辞めてしまうなど、アイドルというものに全力を賭けることに躊躇がない人である。
【でも、人は甘やかされるよりも、逆境のほうが強くなれるんです。いいことが続いたら、安心しちゃうじゃないですか。私も、もがいて頑張って、前に進むことを経験しました。選抜落ちして親にも言われました。『チャンスだよ。ずっと選抜にいても、アイドルとして面白みがないでしょ。人間として濃くなるチャンスなんだよ』って】「BRODY 2017年10月号」
【―自分から見た「自分」ってどんな人間だと思いますか?
完璧な人間だと思ってました(笑)。中学時代は学級委員とか生徒会の役員をやってたし、なんでもできる人だと勘違いしていて。だから、乃木坂46に入って周りから「マイペースだね」とか「変わってるね」って言われても、全然気にしてませんでしたね】「乃木坂46×プレイボーイ2017」
これらの発言からも、彼女の強さを感じさせられる。テレビなどで見ていても、堀未央奈が動じた様子を見かけたことはないし、どんな状況でも物怖じせず、自分なりのスタンスを貫いて、「アイドルである堀未央奈はどう振る舞うべきか」と考えて行動出来る人だと思えるし、そういう自分をきちんと徹底して貫いている姿に感心させられる。
しかしそれは、ある意味で虚勢であるようだ。
【―自信はつきましたか?
以前よりは。まだまだそこが課題です。でも、自信がないように見せるのはイヤなんです。アイドルって、自信があるように見えているほうがキラキラしていられると思うから。たとえ自信がなくても、表には出さないでおこうと思っています】「FLASHスペシャル 2018年新春号 グラビアBEST」
たぶん彼女は、「アイドルである堀未央奈はどう振る舞うべきか」という問いに対して「自信があるように見せる」という答えを自分で導き出していて、そういう答えを導き出した以上それを貫こうと決意しているのだろうな、と思う。
【(センターに抜擢された時)『なんでこのコが入ったの?』って思われないようにするために毎日が必死でした。自信がなくても、自信があるように見せていましたね。気が休まる瞬間がなかったので、緊張感がぷつんと切れて、急に泣き出すことがありました。家でも現場でも、いろんな場所で。】「BRODY 2017年10月号」
乃木坂46として活動のスタートがセンターへの抜擢だった、というメンバーは数少ないが、それは成長を促すと同時に、当然であるが、想像もつかないほどの負担を強いることにもなる。堀未央奈のセンター抜擢について、「乃木坂46の歴史の中で一番衝撃的だった」と語るメンバーは少なくないが、そんな雰囲気の中、2期生でたった一人、乃木坂46を作り上げようと奮闘している1期生の選抜メンバーの中に放り込まれ、センターという重圧を経験した彼女は、やはりその時のことに後悔があるという。
【―個人として今後の意気込みは?
何も知らない新人がいきなりセンターに抜擢されるなんて、なかなかない例ですけど、それが自分のターニングポイントだったとは思わないように、納得できるターニングポイントを自分で作っていきたいなと思っています。
―どういうことでしょう?
大好きな乃木坂のセンターに立てたという事実はうれしいことでもあったんですけど、経験もなく、自信もない状況でセンターに立ってしまったことに悔しさがあるんです。本当はもっと経験を積んで自信を持ってセンターを務めたかったのに。でも、頑固なので自分が納得できないと納得いくまでやりたいタイプなんですよ。だから、必ずいつかまたセンターに立ってみたい。あの時の悔しさが、私の活動にはすごく影響しているなって思うんです】「B.L.T. 2019年5月号」
「いきなりのセンター抜擢をターニングポイントだと思いたくない」という決意は、「常に自分に厳しくありたい」と語る彼女らしいと感じる。アイドルという仕事は、才能や努力も大事だろうが、やはり何か運的なものにも左右されるだろう。しかし彼女は、努力を積み上げることで何かを掴み取りたい、と考えている。そこには、アイドルになる前の自分には何もなかった、という想いがあるのだと思う。
【でも、よくよく思い出せば、乃木坂46に入る前はメイクも何もやったことなかったし、洋服もブランド名も何も知らなくていつもジャージ姿で。そこから一転して、人に見てもらう、自分が動かないと始まらないお仕事を始めてからは、私はコンプレックスがほかの人以上にたくさん、内面にも外見にもあるからこそ、自分が動いて研究して、常に時代に遅れないように動いていかないとなと思うようになって。そうしないと私、アイドルとしてくさっちゃうのかな、アイドルとしてつまんない人になっちゃうのかなって、怖かったんだと思います】「BUBKA 2019年1月号」
アイドルには、昔からアイドルになりたくて、それを目指して努力してきました、というタイプの人もいるだろうが、逆に、まったく意識したことがなかったけどたまたま、というタイプの人もいる。堀未央奈は恐らく後者のタイプなのだろう。だから彼女は、アイドルとしての意識の目覚めが他のアイドルより遅かったと自覚していて、それ故に努力し続けなければアイドル然りとしていられないのではないか、という不安が常にあるということだろう。
またコンプレックスについては、こんな発言もしている。
【それと、今まで次世代って言われて来たメンバーが何人かいるけど、そのメンバーって「今があなたの世代ですね」って言ってもらえているかというと微妙というか。そのあやふやさが次世代メンバーのコンプレックスにもなっているんじゃないかなと思うので、自分たちでどんどん踏み出して引っ張っていって、自分たちの世代にしていかないといけないのかな。そういう自覚とか決意みたいなものを持ちたいですね】「BUBKA 2019年1月号」
確かに、乃木坂46を卒業するメンバーが増えた頃から、「次世代」という言葉をよく見かけることになったが、彼女が言うように、「今があなたの世代ですね」という認識がなされることは少ないように思う。これは、非常に面白い指摘だと感じたし、そういうことを敏感に悟って、自分の原動力に変換していく辺りは、アイドルであるということへの意識の高さを感じさせるなぁと思う。
そんな彼女はインタビューアーに「マイペースでいてほしい」と言われて、こんな反応を返している。
【えーっ、嬉しい。私がネガティブになったときは、そう言ってやってください(笑)。やっぱり人に流されたり、誰かと一緒というのが昔から好きじゃないので、そういうのは大事にしていきたいし、常に自分の意見や素直な感情を優先していきたいと思います】「BUBKA 2019年1月号」
2期生の代表として、そして次世代の代表として、常に新しい何かを期待され続けてきた堀未央奈は、人に流されたくない、誰かと一緒になりたくない、という感覚を持ち続けている以上、常に乃木坂46を引っ張る存在で居続けられるのではないかと思う。
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