【映画】「何食わぬ顔」感想・レビュー・解説
シネマリスでやってた濱⼝⻯介監督特集上映《突然、偶然、必然》で鑑賞。濱口竜介が大学時代に8ミリフィルムで撮った映画らしい。ストーリー的にも映像的にも、個人的にはそこまでグッと来るようなものではなかったのだけど、全体的には結構面白かった。何が面白かったのか良く分からないけど。
ただ、先に1つ書いておきたいのが、音声が気持ち悪かったな、ということ。本作はたぶん、セリフを同録じゃなくて吹き替えでやってるんじゃないかと思うんだけど、映像と音声が合ってない(口の動きがどうこうじゃなくて、会話のタイミングとか、音量とか、そういうもろもろがって感じ)という印象がとても強くて、最後の最後まで、この音声の感じは慣れなかったなぁ。なんかメチャクチャ気持ち悪かった。まあ、個人制作では当時の技術的に色々仕方なかったのかもだけど。
さて、冒頭からしばらくは何の話かさっぱり分からない。3人の男たちが競馬場で馬券を買い、その後夜の講演でサッカーをするというのがしばらく続く。で、それから唐突に、「野村の兄貴の遺作を最後まで完成させよう」という話になる。野村自身がその動機を強く持っているわけではなく、野村の兄を敬愛していたらしい上田の発案だ。それで、夜にも拘らず主演女優に電話をし、撮影場所としてホテルを抑え、競馬で勝ったお金でフィルムを買い、映画の続きを撮ることにした。
その撮影の様子(というか、撮影の合間合間の様子、と表現する方が正確だろう)を色々と映し出しながら、男女5人の関係性を描き出す物語である。そして物語の後半では、そんな彼らの映画(というか、野村の兄貴が撮っていた映像にいくつかシーンを足して完成させた映画)が流れる。その映画のタイトルが『何食わぬ顔』である。
というわけで本作では、『何食わぬ顔』という映画の劇中劇的な感じで『何食わぬ顔』という映画が流れる、という構成になっている。ややこしい。ちなみにこれ、映画と演劇という違いはあるけど、以前観た濱口竜介監督作『親密さ』のスタイルと同じだなと思う。
で、さっきも書いたが、ストーリー的には別になってことはない。『何食わぬ顔(本編)』は主に5人の男女が映画を撮っているだけだし、『何食わぬ顔(劇中劇)』は予備校の夏期講習で上京した男が高校時代の同級生に誘われる形で競馬に行くというだけの話だ。別になんつーことはない。けど、そのなんつーことはない世界がなんとなく成立している感じがするのは、やっぱり、独特な雰囲気のある会話が良いからだろうなぁ。なんか、全員芯を外してるみたいな会話をするのだけど、その外し方がなんか良いのかなぁ、よく分かんないけど、噛み合ってる気がしないのに成り立ってる感じがあって良いなと思う。
さて、映像的には、きっと観る人が観れば色々琴線に触れる部分があるんだと思うが、映像自体に対して見識の浅い僕にはそんなにピンと来るような場面はなかったかな。ロングショットが多い印象だったけど、これは「吹き替えの時に口の動きと合わせなくて済むため」って思ってたんだけど、どうなんだろう。最後、辞書を読み上げるシーンはなかなか斬新だった。「夏めくの次はナツメグですよ」ってのは、なんか凄く良いセリフだった。
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