【映画】「アット・ザ・ベンチ」(2回目)感想・レビュー・解説
というわけで、つい最近観た映画『アット・ザ・ベンチ』を再び観に行ってきました。普段、2回以上映画を観ることはなく、僕が今思い出せるのは、『TENET』と『心が叫びたがってるんだ。』ぐらい。『君の名は。』も2回観たっけ、確か。あともう1作ぐらい何かあったような気がするんだけど、なんだったかな?
まあそんなわけで、実に珍しいんだけど、とにかく1度目の『アット・ザ・ベンチ』があまりにも衝撃すぎたので、「これはもう1回観るしかない」となってしまった。1度目は、どんな役者が出るとか、誰が脚本を書いたとか、そういうことを一切何も知らずに観たわけだけど、2度目はそういうことはすべて分かっているわけだから、1度目とはまた違った見方が出来るだろう、と思ったのだ。
いやーしかし、2回観ても面白い面白い。改めて僕は、「主に脚本にしか興味が持てないんだなぁ」と実感させられもした。いや、その「脚本」を実現する役者の演技にも興味はあるんだけど、例えば「音楽」とか「衣装」とか「照明」とかなんとか、そういうことにはやっぱり全然目が行かない。とにかく「脚本」が面白かったらそれで全然満足出来ちゃう人間である。
なにせ本作は、「だだっ広いところにポツンと置かれたベンチ周辺」でしか物語が動かない。「第1話/第5話」と「第2話」は、基本的にずっと「ベンチで座って喋っているだけ」であり、「喋る」以外の要素もほぼ存在しない。とにかく「脚本一本勝負」という感じの作品で、そしてとにかく楽しくってしょうがなかった。
広瀬すずと仲野太賀が出演する「第1話/第5話」は、やっぱり会話が天才的過ぎる。最初観た時は正直、「義理」に関するやり取りが上手く聞き取れていなかったのだけど、今回はちゃんと捉えられたし、メチャクチャ良い。あの、「えっ?」「えっ?」「えっ?」みたいに言ってる感じ、凄く良いよなぁ。素晴らしいにもほどがある。
あと、1度目の感想でも書いたけど、とにかくこの2人の会話は自然すぎて、「演技をしている」みたいな感じが全然無い。ホントに、どんな風に撮影してるか謎すぎるんだよなぁ。この雰囲気は、「長い長い関係性があります」みたいな土台ありきに感じられるんだけど、それが演技でやれちゃうんだなぁ。ホントびっくりする。
そして、蓮見翔の脚本にたまげた「第2話」は、2度目もやはり面白すぎた。いやホント、何がそんなに面白いんだって思うんだけど、ずっと面白い。岸井ゆきのの「ややこしいことをスラスラ口にする感じ」とか、岡山天音の「押し切られて煮えきらない感じ」とか、そういう役者の雰囲気ももちろんあっての良さなんだけど、でもやっぱり、「よくもまあ、こんなちまちました話を、こんな訳わからん感じにまとめて、最終的に『面白い』って思わせる話にまとめたものだな」と思う。
ただ、「ガワ」の部分はヘンテコなんだけど、核心となっている話題そのものは芯をついているというか、「うわぇ、分かるなぁ」って感じる人は結構いるんじゃないかと思う。たぶん、「第2話」で描かれている話は「まだ名前の付いていない状況」という感じがする。例えば最近だと「風呂キャンセル界隈」なんて言葉があったりするが、これは「めんどくさくて風呂に入りたくない」みたいな「あるあるの状況」に名前が付いた、と言えるだろう。そして世の中にはまだ、「あるあるなんだけど、ズバッと芯を食った名前のない状況」もたくさんあるはずで、蓮見翔は絶妙にそんな状況を切り取って、エンタメに仕上げているという感じがする。
蓮見翔は、「プレバト!!」に出て、俳句でも凄い才能を発揮していたけど、俳句もまた「誰もが気づかないような状況を上手く切り取ること」が評価される感じがあるし、そういうのが得意なんだろうなぁ、と思う。
しかしホント、岸井ゆきのが良い雰囲気を醸し出してたなぁ。「第2話」は、「女性から『別れてみる?』って切り出して、でもすぐに撤回して、何事もなかったかのような関係を続けようとする」みたいなところから、「いやいやそんなのスルー出来ないでしょ」って男が言って訳わからん話になっていくんだけど、岸井ゆきのが絶妙に「そんなことを言いそうな雰囲気」を醸し出すのだ。
この話って、女性の側の振る舞いが「口にしていることが本心である」って受け取られないと成立しない。「口ではこう言ってるけど、本心は別にある」みたいな雰囲気を醸し出すと、会話のやり取りが全然噛み合わないからだ。だから女性の側は「本当のことを言ってますよ」と、彼氏だけではなく観客にも信じてもらえるような振る舞いをしないといけないんだけど、岸井ゆきのはマジでそれに成功していると思う。ホントに上手かった。
で、やっぱりこの2つの話が圧倒的に好きで、「第3話」と「第4話」は「ふむふむ」って感じだった。いや、別に全然悪くはないんだけど、「第1話/第5話」「第2話」があまりにも良すぎて、ちょっと比較にならないという感じだ。
まあそんなわけで、何回でも観たい作品である。1度目の感想でも書いたけど、「第2話」については、音声だけ聴いてても永遠に楽しめると思う。ホント、面白すぎる。
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