「趣味で人と繋がって友だちになることが苦手」な理由
「孤独」や「孤立」が社会問題になっているという話をよく耳にする。若者から高齢者まで、全世代的に問題になっているようだ。特に、中高年(さらに特に男性)の孤独が深刻だという。若者や高齢者は「支援の枠」が存在するが、中高年にはそれがないために、そもそも「実態把握」さえままならない状態らしい。
さて、そういう話を耳にする度に、対策の1つとして「趣味」の話が挙げられる。色んな主張があるが、基本的には「趣味を通じて人と関わりましょう。仕事ではない関係性を持ちましょう」という話に集約されるだろう。
そういう記事や報道を目にする度に、「趣味で人と繋がるのって嫌なんだよなぁ」と感じる。だから僕は、人よりも余計に「友だちを作る」のが難しいと思う。いや、元々そう認識していたけど、改めてそう思わされる機会が多い。
何故「趣味で人と繋がることが嫌」なのか。その理由を端的に伝える良い例を、この前テレビを見て発見したので紹介しよう。
前澤友作が宇宙へ行ったことがニュースで取り上げられる中、「宇宙に行ってみたいか」とコメンテーターに問いかけがなされた。色んな人が色んな答えを返すが、中居正広の答えが「うわぁ、分かるわぁ」というものだった。それが、
「行きたくないですね。だって途中で飽きちゃったら困るじゃないですか」
というものだ。意味が分かるだろうか?
つまり中居くんは、「宇宙に行ったはいいけど、『思ってたほど面白くないな』と飽きてしまってもすぐ帰るわけにはいかないし、そもそも宇宙に行ってるのに『飽きた』とか言えないから、宇宙には行きたくない」と主張していたのだ。
メチャクチャ分かる。「宇宙に行きたいか」という問いに対しては、松本人志の「『火星』とかなら行きたいけど、ただ『宇宙空間』に行くのは『途中』って感じがしちゃうから、あんまりかなぁ」という発言が一番共感できたが、中居くんの「飽きてしまうのが怖い」という感覚は、僕の趣味全般に対する感覚にとても合致する。
例えば僕は、大学時代からメチャクチャ本を読み始め、それから書店員になってまたずっと本を読んできたが、ここ数年はまともに本を読んでいない。それまで年に最低200冊ぐらいは本を読んでいたが、ここ数年は年2冊読めばいい方、という状態だ。
別に、今のところ読書に「飽きた」わけではない。ちょっと色々忙しくて全然時間が取れないだけだ。ただ、感覚としては、「本は読んでも読まなくてもいい」と思ってるし、昔みたいな「本を読みたい!」という感覚は薄れている。
今は、週2で映画館に行って映画を観ている。ただこれも、もっとペースが落ちるかもしれないし、映画を観ることを止める可能性もある。映画をちゃんと観始めたのは32歳ぐらいからで、それまではほとんど観る習慣がなかった。
一時期リアル脱出ゲームをメチャクチャやっていた時期もある。これも、別に「飽きた」わけではない。時間がないし、まだまだやりたい気持ちはある。ただ本と同じように、以前ほどは「どうしてもやりたい」という感覚はなくなっているし、やってもやらなくてもいいかな、という感じだ。
たぶん僕の場合、そもそもが「趣味と呼べるほどのめり込んでいない」ということが問題なのだと思うが、とりあえずそれは置いておこう。38歳の現在に至るまで、何が何でもこれをやりたいと思えるほど熱中できるものに出会えたことはないから、これからもたぶん無理だろうからだ。
で、読書や映画やリアル脱出ゲームを「趣味」と呼ぶとすれば、そういう「趣味」で誰かと繋がってしまうと、その「趣味」を続けなければならない気がしてしまう。
もちろん、何か特定の「趣味」で繋がった後、その「趣味」以外の部分でも感覚が合うことが分かり、「趣味」を外しても関わり続けられる人もいるかもしれない。ただ僕は、「他人に興味を持てるポイント」が激セマなので、その可能性も低いと思ってしまう。
だから「趣味」繋がりたくないなぁ、と考えてしまうのだ。
僕がメチャクチャ本を読んでいたことを知っている人は大体、「最近読んで面白かった本は何?」と聞く。この質問に、「最近全然読んでないんだよね~」と返すのは嫌いじゃないので、そんな風に聞かれることも別に嫌ではないのだけど、「趣味」で人関わるというのは、これがデフォルトになるということだよなぁ、と思う。
僕にとって「趣味」は、何をいつ始めてもいいし、何をいつ止めてもいいものであってほしい。ただ、「趣味で人と繋がる」と、その「趣味」を止めることに抵抗が生まれてしまう。それがめんどくさい。だから「趣味で人と繋がること」は嫌だなぁ、と思ってしまう。
ありがたいことに僕は、趣味とも仕事とも関係ない友だちがいる(と思ってる)。ただそれは運が良かっただけし、普通に考えると、特に今の時代は「趣味以外の形で人と繋がるのが難しい」と思う。
「趣味ではない形で人と繋がりたい」という需要が世の中にどれほどあるのか分からないけど、もう少しそれが実現しやすいといいなぁ、と思う。「趣味がない」は問題として可視化されやすいけど、「趣味はある(と思ってる)けど、趣味で人と関わりたくない」という感覚はなかなか顕在化しにくいから、難しいなぁ。
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