【映画】「白の花実」感想・レビュー・解説

メチャクチャ良かったというわけではないけど、なんとも言えない少女たちの独特な雰囲気は良かったし、奇妙すぎずでもちょっと普通からズレている感じの全体のバランスも良かったかなと思う。

本作は、「美しくて友達も多くダンスも上手い」という、同級生から憧れられている少女が、ある日突然何の前触れもなく飛び降り自殺してしまう、みたいなところから物語が始まっていく。

で、僕は友達がほぼ全員「年下の異性」と言っていいぐらいで、だから若い女性の話を聞く機会が結構ある。で、割と皆「見た目や振る舞いだけから判断すれば、リア充として無双出来るだろ」という感じの雰囲気なのだけど、実際に話してみると、「毎日しんどい」「自己肯定感が低い」「死にたいってなることが多い」などなど、メチャクチャしんどそうな話が色々と出てくる。

で、割と昔からそういう経験をしてきたので、今では僕は「ちゃんとしているように見える人ほど危ない気がするなぁ」なんて思っている。「この子は大丈夫そう」みたいに見られている人というのは、「大丈夫に見えるように見せているだけ」のこともあって、その場合はかなり無理をしていることになる。でも、例えば容姿に恵まれた人とかだと、誰かに悩みを打ち明けても「贅沢な悩み」みたいな反応になりかねないし、そういう怖さもあって悩みを話せなかったりもする。

みたいなことをよく思うので、僕は普段から「こいつには何を話しても大丈夫そうだ」みたいに思ってもらえるように振る舞っているつもりだ。まあ、上手く出来ているかは分からないけど。

自殺してしまうのは莉花という女の子で、寮で彼女と同室だったのが杏菜である。もちろん杏菜にとっても、莉花の自殺は寝耳に水だった。そして、もし自分が杏菜の立場だったとしたら、メチャクチャ後悔するだろうなと思う。「そうか、喋っても大丈夫な雰囲気には達してなかったか」と。

まあ、「悩みを口に出来るか」は当人の資質によるところが大きいし、だから「話してもらえなかった」と気に病むことはないと頭では理解できるが、きっとそんな風には思えないだろうな。僕は別に、「死にたいんだよね」みたいな話をされた時に「死んじゃダメだよ」「そんなこと言わないで」なんてことは口にしないだろう。僕も死にたいってなってた時期があるから、そういう言葉が嫌なことは分かる。そうじゃなくて、「『死にたい』っていう気持ちをストレスなく吐き出せる雰囲気」が作れていたらいいなと思うし、そういう僕のスタンスが周りの人には伝わっててほしいなといつも考えている。

人間なんて、割とあっさり死んじゃうものだよなと思う。特に、僕は「考えすぎちゃう人」と関わることが多いのだけど、そういう人は日々「生と死のバロメーター」みたいなものがゆらゆら揺れてるみたいなところがあったりすると思う。いつもならある一定の範囲内の振れ幅で収まっていても、ある時ふと何かがあって「死」側に針がギュンって振れちゃうこともあるし、そういう時に駅のホームとか交通量の多い道路にいたりしたら、フッと「死」の方に寄っていっちゃうかもしれない。

だから、理由がはっきりと分かる時以外は「どうして自ら命を断ったのか」なんてことを考えても意味がないよな、と思っている。

なんか、そんなことをあーだこーだ考えさせる映画だった。

杏菜は、あちこちの学校で馴染めなかったようで、母親から「ここがダメだったらもう行くところはない」と言われて、ある寄宿学校へと転校してきた。そして、そこで出会ったのが、3年生になったら披露するダンスの練習で完璧な踊りを見せた莉花だった。2人はルームメイトとなり、教師に反抗を繰り返す問題児の杏菜は、莉花とは上手くやれていた。

しかしある日、何の前触れもなく、莉花が突然展望台から飛び降りて亡くなった。そしてその後、杏菜は莉花が残した日記を見つける。そこには、杏菜の知らなかった莉花がいた。

昔から霊的な存在が見える質だった杏菜は、莉花の日記を来る日も見ている中、青白い魂のようなものが自分の中に入ってきたのが分かった。莉花だろうか。そしてそこから杏菜は、莉花と仲が良かった栞と奇妙なやり取りをすることになるのだが……。

物語は全体的に「莉花の死に戸惑ったり、その死の理由を探ろうとする人たち」と「莉花の死をきっかけに変わった杏菜がそれまであまり関わりのなかった栞と関係を構築していく」という2つが同時に進んでいく感じである。感情らしい感情をほとんど表に出さない少女たちのやり取りは「静謐」みたいな雰囲気を醸し出していて、3人のメイン人物を演じた役者の美しさも相まって、ずっと観ていられるような雰囲気の作品に仕上がっていたなと思う。

個人的には、「魂」的な存在が出てくるのがあんまり好きではなくて(ただ、そこまで重要な要素ではない)、「この要素が無い方がもっと好きになれたかな」という気もしたけど、「女性しかいない寄宿学校」という特殊さの中で展開される奇妙な雰囲気は結構好きで、全体としては良かったかなと思う。

観ながらなんとなく、『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』という映画のことを連想した。舞台設定は大分違うけど、作品全体の雰囲気は結構近いような気がした。

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