【映画】「揺さぶられる正義」感想・レビュー・解説

これは凄いドキュメンタリー映画だった。マジでみんな観た方がいいと思う。恐らく今後は、本作で扱われているような事件(揺さぶられっ子症候群)が社会問題化することはないだろう。しかし、同じような状況が起こることはいくらでもあり得る。そうなったら、無実の罪を着せられるかもしれない。そんな風に考えると、本作でも示唆されるように、「報道」との向き合い方も変わってくるはずだ。

さて、少し違う話をするが、僕は昔から「虐待をした親の親権なんか、公権力がさっさと取り上げればいいのに」と思ってきた。今でも、その基本的な発想は変わらない。ただ本作で指摘されているように、「虐待が本当にあったのか?」の認定において不備が存在することもある。なるほど、これは難しい。本作でも焦点が当てられるが、やはり僕は「冤罪を生むべきではない」と思っているし、だとすれば、「親権は公権力が奪え」という判断も再考せざるを得なくなるだろう。難しいなと思う。

以前『法廷遊戯』という小説・映画で、次のような話を知った。「10人の被告人の内、9人が死刑に値すべき殺人犯で1人が無辜(無実と同じと考えていい)であることが明らかだとして、しかしどう調べても誰が無辜なのか分からない」という状況があったとしよう。この場合、あなたがこの10人を裁く立場にいたらどうするだろうか? 誰が無辜なのか分からない以上、「全員無罪」か「全員死刑」にするしかないだろう。では、どちらを選ぶか。

「全員無罪」にした場合、「9人の殺人犯」が野に放たれることになる。一方で、「全員死刑」の場合には、「1人の無辜が罪もないのに死刑に処される」ことになるというわけだ。『法廷遊戯』の中でこの話をした人物は、「自分は迷わず10人に無罪を宣告する」と言っていた。1人の無辜を救うことが、9人の殺人犯を取り逃すことよりも遥かに重要だ、というわけだ。

さて、皆さんがこの話、どう感じるだろうか? そして本作にはまさに、これと同じような話が出てくる。

というわけで、まずは本作で描かれる「揺さぶられっ子症候群(Shaken Baby Syndrome 通称SBS)」に関する話をまとめることにしよう。

2010年代、「親が子どもを虐待した」として逮捕される事案が相次いだ。それはこのような理屈である。まず、被害者(多くの場合幼い子ども)の脳を調べると、「硬膜下血腫」「眼底出血」「脳浮腫」が見られた。国の「虐待」に関するガイドラインでは、「これら3つ(作中ではよく「3徴候」と呼ばれている)が揃ったら虐待の可能性が高い」とされている。特に(確か欧米の事例だったかな)、「硬膜下血腫は日常的な育児の状況では起こることは稀」とされているようで、そのため「硬膜下血腫があれば、頭部に激しい力が加わった可能性が高い」と判断されることが多いという。

ではその「頭部への激しい力」とはどんなものが想定されているのか? 「3徴候」が発生するケースとして、「1秒間に3~4往復ぐらいの激しい揺さぶり」が行われたはず、とされていた(これもガイドラインに書いてあるんだったかな?)。つまり、「頭部を激しく揺さぶることでSBSが引き起こされた。そして、そんな激しい揺さぶりは日常生活では起こり得ないから、これは虐待である」という理屈が生まれたのである。

これにより、「脳の検査で硬膜下血腫・眼底出血・脳浮腫(3徴候)が発見される」→「SBSと診断される」→「SBSを引き起こす激しい揺さぶりがあったはずだと判断される」→「虐待が行われた」という流れが頻発することになったのだ。こうして、結果として後に無罪判決を得る人も含め、多数の親や祖父母が逮捕・起訴されることになったのだ。そして、この事件を追ったのが、本作監督である、関西テレビの報道記者・上田大輔である。

彼はなかなか異色の経歴の持ち主である。弁護士を目指し司法試験に挑戦するも、ようやく合格したのは30歳の頃。そしてその時には、有罪率99.8%という刑事司法の現実に絶望していた。そのため彼は、司法の道を諦めて企業内弁護士として関西テレビに入社する。しかしその後、一度は諦めた司法の世界と向き合おうと、彼は自ら志願して報道記者へと転身するのだ。37歳の時のことだそうだ。

そして記者になった1年目に社会問題化したのが、このSBSだったのである。彼はこの事件を追うことに決めた。そして8年の歳月を掛けて完成したのが本作『揺さぶれる正義』である。本作は、そんな「弁護士でもあり記者でもある監督」が、「弱い者を助けるために弁護士を目指したのに、そんな自分は今、報道を通じて『冤罪を作る側』になってしまっているのか」という問題意識を持ちながら事件を追っており、事件そのものの推移だけではなく、彼の葛藤もまた非常に興味深いものに感じられた。

さて、SBSが社会問題化したこともあり、「SBS検証プロジェクト」が立ち上がることになった。そのメンバーの1人として、後の裁判でも大活躍するのが秋田真志である(「真実」と「志」なんて、まさに彼のその後を予言しているかのような名前である)。僕が本作を観たのは初日の初回だったのだが、上映後に監督による舞台挨拶があり、そしてその中で、「今日はたまたま秋田真志先生もいらっしゃってます」と、客席から壇上に上がっていた。そしてその後、司会者から「秋田先生が扱ってきた事件の無罪率は86.7%」という衝撃のデータが提示されていた。「有罪率99.8%」の日本において、「無罪率86.7%」というのは何かバグってるとしか思えないデータだろう。彼は、あの有名な「Winny事件」でも主任弁護人を務めた人物であり、他にも数々の事件で無罪を勝ち取っている。彼については本作中でも非常に興味深い話が色々と出てきたので、別途紹介したいと思う。

さて、作中では「SBS検証プロジェクトで担当した事件で無罪判決を得たのが13件」と紹介されていた。総数でどれぐらいの件数を扱ったのかは分からないのでパーセンテージは不明だが、それでも、SBS事件がいかに多くの冤罪を生んでいたかが理解できる数字ではないかと思う。

というわけで、秋田真志についてはまた後で触れるとして、SBSの話に戻ろう。おさらいすると、「3徴候発見→SBS認定→激しい揺さぶり→虐待」という流れで多くの人が逮捕・起訴され、有罪判決も出ていた。そしてその裁判の多くで検察側の証人として出廷していたのが溝口史剛医師である。そして彼がまさに、先程の「10人の内1人無辜」に通じる話をしていた。

彼は虐待に関する鑑定に専門家として関わることが多いそうだ。そしてその中で「シロかもしれない(虐待ではないかもしれない)」という事案に触れることもあるという。しかし、彼曰く、「自分が関わったほとんどの事案でクロだ」と言っていた(これが「クロだという印象を持った」という話なのか、それとも「その後の裁判で有罪判決が出ている」という事実を示しているのかは不明)。

そしてその上で彼は、「冤罪に注目するのか、虐待に注目するのかで立場の差異はあるかもしれないけど、自分は医者だし、最終的には子どもたちの立場に立って判断する」みたいなことを言っていた。つまり、これは要するに、「多少の冤罪には目を瞑ってでも、虐待した親を罰するのが正義」という主張だろう。

まあ、彼の言っていることもまったく理解できないわけではない。確かに、「被告が実際に虐待を行ったかどうか」は、カメラで撮影でもしていなければ永遠に分からない。だから「医学的な所見」から「虐待の有無」を判断するしかない。そしてその際に、「これは99%虐待が疑われるけど、100%と言われると断言できない」みたいなことを言っていたら、虐待している親を取り逃すことになる。この医師は「それよりは、稀に無実の人も引っかかってしまうかもだけど網は大きく張った方がいい」みたいに考えているのだと思う。

さて、この主張の是非はそれぞれで考えてもらうとして、問題は「『稀に』ではなかった」という点にあるだろう。少なくとも「SBS→虐待」みたいに判断された事例には、虐待ではなかったケース(これは要するに「無罪判決が出たケース」という意味だが)が山程存在したのだ。その内のいくつかの事例が作中では詳しく触れられていたが、「心筋炎を患っていたことによる心不全」「静脈洞血栓症の見逃し」「グリコシル化異常症のせいで出血しやすくなっていた」など、「外力ではない、内因性によるもの」であることが示されたのだ。

つまりこういうことだ。ガイドラインでは「3徴候があれば虐待の可能性が高い」「その内の硬膜下血腫は通常の状況ではあまり起こらず、外から強い外力が加わったはずだ」とされていたわけだが、その中には「内因性によって同種の状況が引き起こされていた事例」が存在したのである。

さらに裁判の過程で、なかなか驚きの事実が認定される。そのことを指摘したのは朴永銖という医師である。彼はそもそも「硬膜下血腫は軽微な外力でも起こる」と主張しており(作中で「中村Ⅰ型」と呼ばれていたのがそれらしい)、「3徴候による虐待の判断」に疑義を唱えていた。さらにその上で、「溝口史剛による硬膜下血腫の診断」に疑問を突きつけたのだ。裁判で提示された診断画像(だと思う)を見た朴医師は、「硬膜下血腫が左右対象に映ることなんかありますか? これは横静脈洞が映ってるだけです」みたいなことを言っていたのだ。

つまり、「シンプルな診断ミス」というわけである。「3徴候があるから虐待」以前の「ヒューマンエラー」というわけだ。さすがにそれはちょっと酷すぎるだろう。

SBS裁判においては、溝口史剛が検察側の証人になることが多かったそうで、ということは、同じような判断ミスにより有罪判決が下された人もいるかもしれない、ということになる。しかし、これは上映後のトークの中で指摘されていたことだが、秋田真志は「検察はSBS事件の反省をまったくしていないし、検証も何もしていない」と言っていた。また上田大輔監督は、「多くの人から『1つの映画に4つの事件を盛り込むのは多すぎる』と散々言われたが、それでもこういう構成にしたのは、SBS事件が個別の事件ではなく、同じ基準、同じ医師、同じ構図によって生まれたものだったからだ」みたいな話をしていたのも印象的だった。医師が「硬膜下血腫」だと思い込み、刑事や検察は「医師がそう言っているんだから硬膜下血腫なんだろう」と思い込み、同じような判断を裁判官もしてしまった、というわけだ。秋田真志が関わった裁判では、溝口史剛が「CT読影に誇張があった」ことを認め、それを踏まえて裁判官が「溝口史剛に専門的な知識があるのか疑問」と判決文に記している。すべてではないにせよ、「SBSによる虐待裁判」の多くが、「溝口史剛の勇み足」だと判断されても仕方ないのではないかと思う。

ちなみに、溝口史剛は「虐待の診断ガイド」の作成者の1人でもある。2024年にその診断ガイドは改定されたようだ。しかしトークイベントの中で秋田真志は、「未だにSBS=虐待と考える医師は多くいる」と話していた。診断ガイドが変わっても、医師の認識が変わらなければ状況は同じままかもしれない。

一連の裁判に関連して、作中で秋田真志は「『分からない』というのも真実の1つのはずなのだが、日本の司法は『シロ』か『クロ』かのどちらかに決めたがる」と話していた。そして検察はもちろん「クロ」にしようとするわけで、それで「本来は『分からない』はずの状況にあれこれ説明をつけて『クロ』という判断にしようとする」というわけだ。上映後、上田大輔が秋田真志に「『必ず突き崩します』みたいな強い言葉、先生にしては珍しいんじゃないですか?」みたいに問いかけた際、「やっぱりそこには、判決文に対する怒りがあったと思う」みたいに話していた。被告を有罪にする理屈(判決文)があまりにも酷く、憤っていたというのだ。警察・検察も酷いが、そんな警察・検察の話を鵜呑みにしてるみたいな裁判官もまた酷いのだろうなという気がする。

さて、本作『揺さぶれる正義』では、先程も書いた通り、大きく4つの事件が扱われる。1人だけモザイクと仮名での出演だったが(当然だと思う)、後の3組は顔出しだった。

上映後に監督は、「SBSの被害者にアプローチするのだけど、とにかく断られた」みたいなことを言っていた。もちろん、彼自身それは当然だと思っている。なにせ、関西テレビもご多分に漏れず、彼らの逮捕報道を流しているからだ。そしてそんな関西テレビに所属している上田大輔が歓迎されるはずもない。多くの人から「逮捕報道が酷かった」と言われ、なかなか協力が得られない辛い日々が続いた、みたいなことを言っていた。そういう中でも、最終的に映画化するところまでOKがもらえて中の4組ということなのだろう。

そしてその中でも印象的だったのが、写真家の赤阪さん一家と、「今西事件」として今も裁判が継続している今西貴大である。

赤阪さん一家の場合、子どもは亡くならずに済んだ。しかしだからと言って良かったということにはならない。父親の赤阪氏は逮捕され、5ヶ月勾留された。しかしそれだけならまだ我慢できたかもしれない。なんと、虐待を受けたと疑われた長男は施設に入れられ、家族は会えなくなってしまったのだ。その後、会うことは許可されたが同居は許されず、両親と長女は「施設に会いにいく」という形でしか長男と接触出来なくなってしまったのだ。父親の裁判が始まったのは3年8ヶ月後だったので、恐らくそれぐらいの期間子どもと離れ離れにさせられていたのだろうと思う。

もちろん行政の対応としては仕方ないだろう。だから別に「子どもを取り上げたこと」を責めたいわけではない。そうではなく、「SBSによる虐待疑い」が問題視されなければこんなことになってはいなかったので、警察・検察・医師の慎重さが足りなかったという感じだろう。赤阪さん一家の様子は、特に後半以降度々取り上げられ、その状況が伝えられた。本当に「善良な一家」という風にしか見えなかったので、こんなイカれた不幸に見舞われて、「災難だった」では済まない苦痛を味わわされただろうなと思う。

そして本作の後半のメインとなるのが「今西事件」である。「今西事件」のことは正直覚えていなかったのだが、被告となった今西貴大の顔はなんとなく見覚えがある感じがする。2審の裁判が終わったのが2024年の年の瀬のようなので、つい最近だ。恐らくメディアでも報じられたはずだし、その際に目にしたのだろうと思う。

今西貴大は当初、他の事件と同様「SBSの虐待」と判断されて逮捕された。被害女児は亡くなっている(よく分からないが、この被害女児から見て、今西貴大は「義父」なのだそうだ)。そして、一度保釈されるも、彼は再逮捕された。なんと、わいせつ罪と傷害罪が加わったのだ。肛門への傷と、足の骨折が、今西貴大の虐待によるものと疑われたそうである。

この「今西事件」がどう推移したのかは是非本作を観てほしいが、まず印象的だったのが、本作監督である上田大輔が彼の取材を始めたきっかけである。

この事件も当然、関西テレビで逮捕報道をしており、そしてそれを見て上田大輔は「さすがに無罪ということはないだろう」と考えたそうだ。既にSBSの事件の取材を始め、多くの関係者に取材をしていたわけだが、彼の中で上田大輔がその候補に上がることはなかった。有罪だろうと思っていたからである。

しかしある出来事をきっかけにその考えが大きく変わる。それは、秋田真志からの一言だった。今西貴大と接見した秋田真志が「彼はやってないよ」みたいなことを言ったというのだ。

この点に関しては、今西貴大の弁護を務めた弁護士(というか、「SBS検証プロジェクト」で担当した事件だったのかな)が興味深いことを言っていた。秋田真志がそんなことを言うのを聞いたことがないというのだ。だから相当異例の出来事だと受け止められたという。

秋田真志は作中で、「弁護士は、被告人が『やってない』と言ったら一旦それを信じる」「裏切られることなんて山程ある。実は嘘ついてました、みたいなことはしょっちゅう」「刑事も検察官も裁判官も、みんな『騙されるのが嫌いな人たち』なんです。だから、騙されるのは弁護士の役割」みたいなことを言っていた。そしてそういうスタンスの人物であれば余計に「あの人は無実だよ」みたいなことは言わないような気がするだろう。確かに「一旦信じる」わけだが、「騙されていることが前提」なわけで、そこに確信はないはずだからだ。

にも拘らず、この時秋田真志は「無実だ」と断言したという。逮捕報道を見ていた上田大輔には、にわかには信じがたい話だった。この時点で、逮捕から既に2年の月日が経っていた。上田大輔が今西貴大に密着を始めるのは1審が始まる直前。そしてそこから長い付き合いになっていく。

秋田真志はよほど今西貴大の無実を確信していたのだろう、何かパーティーみたいな場で演説をしている様子が流れるのだが、その中で彼は「今西さんには『ごめんなさい』しかない。こんなに時間が掛かるなんて」みたいに言っていたほどである。というか、もっと印象的なことも言っていた。彼は刑事事件に携わる上で、現実と折り合いをつけるために「他人事である」というスタンスを取り続けてきたそうだが、今西貴大と接見した際に「それは出来ない」と感じたというのだ。よほどの確信と、「無罪を勝ち取らねば」という強い信念を感じさせるエピソードである。

また、この「今西事件」に関しては、監督の上田大輔も大きく向き合わざるを得なくなる。今西貴大はある会見の中で、「自分が逮捕された時の報道を今も見ていない」と発言していた。そして、これはトークイベントの中で監督が言っていたのだが、「ある時今西貴大から『逮捕映像を見たい』と言われた」そうである。今西貴大が自身の逮捕映像を見ている様子は作中に収められているが、そのやり取りの中でも彼は「報道とはどうあるべきか」を考えさせられていた。

しかし彼は結構頑張ってるんじゃないかという気もする。例えば、作中で取り上げられていたある家族は、実は逮捕される前から密着しており、そのことをデスクに伝え、逮捕報道は「匿名」で行うように決まったという。別の事件では、逮捕報道そのものを取りやめたケースもあったみたいだ。もちろん、関西テレビが報じなかったからと言って、他のメディアは報じるわけで、社会的には大きな差はないかもしれない。とはいえ、こういう変化は少しずつしか起こらないものだし、彼のように躊躇して立ち止まる人間はいるべきだと思う。そしてそれはもちろん、報道を受け取る僕らにも言えることだ。「報道されていることなんだから、自分には責任はない」ではなく、「表に出てきた情報と自分はどうか関わるべきか」について考えなければならないだろう。

というわけで最後に、トークイベントで語られていた興味深いエピソードに触れて終わろうと思う。秋田真志は取材などに積極的ではない人として有名だそうで、当初、上田大輔が彼の元に取材に行った際にもかなり乗り気ではない対応だったという。しかしある時点から何故か対応が変わったのだそうだ。監督は「こんな機会だから」と、その理由について秋田真志に尋ねていた。

すると、「かなり偶然なんですよね」と言いながら、こんなエピソードに触れていた。上田大輔が最初に秋田真志の元を訪れたのは2017年の4月だったそうだが、その直後、SBSのシンポジウムか何かでスウェーデンを訪れる機会があったという。SBSは海外でも既に問題になっており、そして秋田真志はそこで「マスコミの人を巻き込まないと問題は解決しない」とアドバイスをもらったのだという。「そして帰国したら、この人がいたから」みたいな言い方を彼はしていた。

秋田真志曰く「上田大輔は厚かましい人」のようで、どんな対応をされてもへこたれずに通い詰めた彼の執念が一番大事だったとは思うが、たまたまスウェーデンでアドバイスを聞いていたからこその変化もあったわけで、確かにこれは「偶然」と言う他ないよな、と思う。

そんなわけで、実に興味深いドキュメンタリー映画だった。医療・司法・報道などあらゆる領域にまたがる複雑な問題であり、秋田真志は「よくもまあこんな難しい話を映画にしたな」と感想を述べていたが、確かにするっと理解できるような話ではないかもしれない。しかし、いつ何時同じような状況がまた起こるか分からないし、そうなれば、誰もが逮捕・起訴される可能性がある。「正義」の難しさを考えさせる作品でもあるし、本当に、これは多くの人が観るべき作品だと私には感じられた。

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