【映画】「ライフ」感想・レビュー・解説
確かにそういうこともあり得るよな、と思った。
地球外生命体とのコンタクトを扱ったSF作品はきっと多いだろう。僕自身はそこまでそういう小説を読んだり映画を見たりすることはないが、様々な物語がそういう題材を取り上げているはずだ。
そして、僕の勝手なイメージでは、そういう作品は、「いかにコンタクトを取るか」、つまり「いかにコミュニケーションを取るか」がメインで描かれているようなイメージがある。
ただこの作品は、そうではない。地球外生命体に意志やコミュニケーション能力などがあるかどうかに関わらず、それと相対する羽目になる者たちを描く。
確かに、それはあり得る話だと思う。
地球外生命体を「コミュニケーションを取ることが出来る相手だ」という前提を持って接することは、科学者の態度としては恐らくあり得ないだろうが、僕ら一般人の感覚としては十分にありえる。地球外生命体も、姿形は地球人と違うかもしれないが、そこまで大きくかけ離れた姿はしておらず(いわゆる「火星人」としてよくイメージで登場する姿も、全体としては「ヒト」の形に似ている)、言語体系もまるで違うだろうが何らかの形でコミュニケーションが取れるはずだ、と思いたくなってしまうだろう。
しかし、そうである保証はどこにもない。
それが「敵意」であるかどうかは別として、その地球外生命体が地球人とのコミュニケーションを拒絶する可能性は常にある。物凄く簡単に言えば、地球外生命体から見て地球人が「食料」に見えてしまえば、コミュニケーションなど成り立つはずはないだろう。
そうであった場合、地球人はどう行動すべきか。
この映画では、まさにその点が問われているのだ。
内容に入ろうと思います。
ISS(国際宇宙ステーション)を拠点に、火星ピルグリム7計画に従事する6人の宇宙飛行士は、宇宙ゴミの衝突というトラブルに直面しつつも、当初のミッションである<火星から物質を持ち帰る>というミッションを成功させた。
その中に、ミドリムシのような、顕微鏡でしか見られない大きさの生命体を発見した。当初死んでいると思われたが、ラボで環境の変化を与えることで蘇生、初の<地球外生命体>の発見となった。地球では大ニュースとして報じられ、やがて<カルビン>と名付けられたその生命体を、宇宙生物学者であるヒューは実に可愛がっていた。
やがて成長し、肉眼でも見られる大きさになったが、ヒューのミスによってラボの酸素濃度が低下、それがきっかけで<カルビン>は動かなくなってしまった。冬眠に入ったと仮説を立て、なんとか起こそうと手を尽くしたところ、電気ショックを与えることで動き出した。しかし、ラボにいるヒューの様子がおかしい。どうやら<カルビン>がヒューの手に巻き付き、さらに怖ろしい力で締め上げているようだ。助けに行こうとする航宙エンジニアであるローリーを、検疫官のミランダが止める。彼女の任務は「隔離」。最悪の事態を常に想定し、謎の地球外生命体を「隔離」する環境を維持することが仕事だ。状況の変化を見て取ったローリーがラボに入りヒューを救うが、逆にローリーが囚われ、命を落とすことになった。
そのままラボ内に隔離できるはずだったが、想定外の状況変化により<カルビン>はラボから脱出、船内のどこかに潜んでいる。船長のキャット、システムエンジニアのショウ、ISSに長期滞在している医師であるデビッドを含めた乗組員で、この未曾有の危機に対応しようとするが…。
というような話です。
いやはや、凄い話だったなぁ。とにかく途中から、ビクビクしっぱなしでした。そんなに怖いもの耐性がない人間ではないと思うんだけど、この映画はメチャクチャ怖かったです。あぁ、もうとにかく止めて、ってずっと思ってました。宇宙空間でも生存出来る最強の地球外生命体が、脱出不可能な船内にいる、という状況が、当事者じゃないのにメチャクチャ怖かったです。
こういう映画って、セオリーで考えれば、最終的に「何らかの倒す方法」があって、どうにか対処する、っていうのが多い気がするんだけど、この映画では最初から、<カルビン>の弱点みたいなものは描かれません。宇宙物理学者であるヒューでさえその生態が理解できないのだから、弱点もそもそも理解できていないだけという状況なのだけど、映画の文法で言えば、登場しない「弱点」を衝いて倒す、という流れはあり得ないわけで、だからこの映画は、<カルビン>を倒す方向には進んでいかないんだろう、と予想できました。
じゃあどうすべきなのか。これは、予告の段階である程度出ていたから書いてもいいと思うんだけど、「いかに地球に<カルビン>を連れて行かないか」ということが大きなミッションになっていきます。彼らはほぼ全員が、自分たちが助かることはないと理解しているだろうと思います。なにせ、何をやったって死なないのだし、状況から船内への侵入口をすべて封鎖することも出来ない。正直言って、為す術がないわけです(まったくないわけではなさそうだけど、殺せるわけではない)。ただ、<カルビン>を地球から引き離すことはまだ可能性が残っている。そのために何が出来るのかを全員が考える。
その状況がとにかく壮絶だなと思います。宇宙飛行士を志願している時点で当然、何らかの形で命を落とす可能性を覚悟しているはずだろうけど、しかしあまりにも予想外過ぎる危機でしょう。命を落とす覚悟を持っていたとしても、あの化物に殺されるのは嫌だよなぁと思います。
そしてラスト。はー、そうなりますかー、という感じで、衝撃的でした。あまり詳しく書けないのが残念ですが。
深く何かを示唆するような映画では全然ないのだけど、パニックモノの映画としては物凄く恐怖を駆り立てる、非常に印象的な映画でした。
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