【映画】「リンダリンダリンダ 4K」感想・レビュー・解説
メチャクチャ良い映画だったなぁ。ほぼ何も起こらないと言っていいぐらいの映画なんだけど、とにかく超良かった。いいよなぁ、この感じ。で、エンドロールを観て知ったけど、なるほど山下敦弘監督なのか。彼の作品はたぶん、『水深ゼロメートルから』しか観たことないと思うんだけど、『水深ゼロメートルから』も何も起こらないのに面白い学園物語で、こういうの上手いなぁと思う。
というわけで、まずはざっくり内容紹介を。
高校の文化祭「ひいらぎ祭」を翌日に控えたこの日、文化祭で演奏予定だったガールズバンドの面々はドタバタしていた。ギターを弾くはずだったメンバーが突き指で出られなくなってしまったのだ。さらに、中心メンバーである恵があるメンバーとケンカ(これはいつものことのようだが)、結局5人いたメンバーの内3人しか文化祭には出られそうにない。彼女たちはとりあえず、ブルーハーツをやることに決めたが、ボーカルがいない。最悪、恵がギターボーカルをやるという話になったが、その前に、「次ここを通りかかった人をボーカルにしよう」と言って、韓国からの留学生であるソンを引き入れることになった。
ソンは、話も分からずOKしてしまったのだが、いざ「バンドのボーカル」という話を理解知ると「むりむりむり」と断ろうとした。日本語もまだ上手くないし、まあ仕方ないだろう。ただ、とりあえずブルーハーツを聞いてもらうことにして、それで決めることにしたのだが、何故かソンが泣いている。ブルーハーツが、響いたみたいだ。
こうして、恵、響子、望に加えソンの4人で文化祭に出ることになった。しかし文化祭は翌日から始まる。軽音部の発表は最終日。恵も元々はキーボードで、ギターの経験がなかったこともあり、突貫で仕上げなければならなくなった。彼女たちは徹夜で練習を続けるのだが……。
というような話です。
ストーリー的には、「急遽組むことになったバンドで文化祭に出るために頑張って練習をする(その合間にちょっと恋)」ぐらいなもので、本当に、これと言って何か起こったりしない。バンドメンバーの4人がふざけたり練習したり疲れて死んでたりする様をただ切り取っているだけだ。
ホント、何が面白いんだろうなぁ。
やはり、まずは4人のキャラクターが良い。そして中でもやっぱり僕は、ペ・ドゥナが圧倒的だなと思う。本作のペ・ドゥナ、メチャクチャいいよなぁ。良すぎてびっくりした。
まず先に書いておくと、僕はペ・ドゥナの顔がメチャクチャ好きなんだよなぁ。見る度に凄く「良い顔」という感想になる。これは「綺麗」とか「可愛い」みたいな感覚じゃなくて、「良い顔」としか言いようがない感覚なんだけど、伝わるだろうか? 他の人だと、エマ・ストーンに対しても同じことを思う。「良い顔だなぁ」と。
そもそも僕がペ・ドゥナを知ったのは、たぶん『ベイビー・ブローカー』が最初で、その後『あしたの少女』も観た。どっちも刑事役で、しかもなんか凄く疲れたみたいな表情が凄く良かったんだよなぁ。僕はこの2作を観て「ペ・ドゥナってメッチャ良いな!」と思ったのだけど、もちろん若い頃も良かった。
で、「良い顔」の話はともかくとして、彼女は表情が実に素晴らしかった。色んな場面で、「良い表情するよなぁ」という顔を見せるのだ。一番印象的だったのは、「けいの、もとかれ?」と言ってる時の表情だろう。あれは超良い顔だった。「外国人だから」という要素ももちろんあるが、その時の表情は「凄く失礼なことを聞いているのに、周囲にそうは感じさせない雰囲気」を絶妙に醸し出していて、凄く良かった。あとは、「みんな、ぱんつみえてる!」って笑いながら言ってるシーンとか。これもいいよなぁ。あと、カラオケ店主のやり取りとか。
あと、「おー、松山ケンイチも出てたのか!」と思ったのだけど、ペ・ドゥナと松山ケンイチのシーンも素晴らしかった。「言葉が上手く通じていないから」なのか、あるいは「単にとぼけているだけ」なのかが絶妙に分からないような表情をしていて、思わず笑ってしまうような雰囲気になっている。
で、そういうペ・ドゥナの振る舞いも含めて、作中の色んな場面でずっと「ニヤニヤ」しちゃう感じがあった。そんな「ニヤニヤさせちゃう感じ」が、本作の面白さの根源なんだろうなと思う。
ペ・ドゥナが3~4個入ったニンニクを持ってきたのを望が「多い。1個にして」と突き返したり、恵が元カレと絡んでいる姿を他の3人がニヤニヤ見ていたり、響子が好きなクラスメートの隣でクレープを焼きながらバンドの練習に遅れちゃう感じとか、そういうのがなんか全部凄く良い。
ホントに、1つ1つは些細な、正直「なんてことない描写」なんだけど、それらが「元々のメンバー3人の関係性」とか、「そこに突然入ったソンがもたらす変化」とかを凄く良い感じで描写していて、それらが積み上がっていくことでどんどん「ニヤニヤ」が増していってしまう。ホントに、凄く良かった。
あと、個人的には、ベース担当の望を演じた関根史織が良かったなぁ。僕は、齋藤飛鳥目当てで『ハマスカ放送部』というテレビ番組を観ているのだけど、そこに時々、Base Ball Bearの人として関根史織が出ているのを観ていた。で、「『リンダリンダリンダ』が再上映される」って情報を目にした時に、出演者の名前に「関根史織」ってあって「えっ!?」って感じだったのだ。まさか役者をやっている人だったとは(でも、どうやら映画出演は本作のみらしい)。
で、関根史織さん、可愛いですね。変な表現だと分かってて書くけど、「思いがけず可愛くてビックリした」という感じだった。『リンダリンダリンダ 4K』の公式HPによると、彼女は「Bassを触ったこともないにも関わらずバンドに誘われ加入」「撮影当時、わたしはまだ下北沢でライブし始めたばかりのバンドマン」という感じだったらしく、そう考えると相当異例の起用みたいな感じだったのだろう。
で、彼女は、全体の中でも結構良い雰囲気を醸し出してたんだよなぁ。「演技をしてる」って感じではなかったから、公式HPに書かれていた「ほぼ自分のままでいられるような役に皆で仕立てあげて下さいました」という表現に「なるほど」という感じだったのだけど、メチャクチャ良い存在感だった。本作で描かれる4人は、全体的にテンションが低い感じなのだけど、その「テンションの低い感じ」の重心にいるみたいな存在と言えばいいだろうか。他の3人がはしゃぐ場面があっても、彼女だけは常に「低テンション」に居続けるみたいな感じがあって、本作においてはその雰囲気が凄く良かったと思う。どの程度狙い通りだったのか不明だけど、彼女を起用したことは結果として大正解だったんだろうなと思う。しかし、緊張しただろうな、関根さん。
さて、ストーリーの話で言えば、個人的には、「3日も徹夜なんて、よく家族が許したな」みたいに感じたりした。ただ、本作では、そういう「外側の話」はほとんど描かれないので、「リアリティ」という意味では薄くなるかもしれない。ただ、別にそれが悪いとも思わなかった。本作の場合、そういう「ちょっと現実から浮遊した感じ」も全体の雰囲気に合っていたからだ。屋上で「マンガ喫茶」を開いている生徒(留年生か?)とか、恵が観ていた夢とか、最後のライブシーンでアカペラで場を繋いでいるところとか、それぞれ微妙に「現実からの浮遊感」を感じさせるのだけど、それらが作中で違和感なく存在している。「ドラえもんは実は地面から3mm浮いてる」という設定があるが、同じように、作中の彼女たちも実はちょっと地面から浮いてたりするのかもしれない。
まあそんなわけで、実に実に実に素晴らしい作品だった。こういう安易な言葉はあんまり使いたくないんだけど、これはホント「エモい」なぁ。エモすぎる。自分の人生にこんな青春があったわけじゃないんだけど、それでも「何かを追体験している」みたいな気分にさせられるし、素晴らしかった。そして何よりも、ペ・ドゥナが最高だった。いいなぁ、ペ・ドゥナ。
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