【映画】「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」感想・レビュー・解説
凄かった。映画に限らず、ここ10年で一番泣いた。
ちなみに、同名のアニメが先に存在していた、ということは、映画を観終わってから知った。というぐらいに、この作品について何も知らない。
映画を観ている途中、自分が泣いていることに気づいた。まずそのことに驚いた。
これはつまり、いつどのシーンで自分が泣いたのか覚えていない、ということだ。本当に、いつの間にか、だった。たぶん、始まって1時間も経たないうちのどこかだったと思う。
今振り返ってみても、自分が何に感動し、どうして心を揺さぶられたのか、よく分からない。
その後も、よく分からないまま、ずっと泣き続けていた。奇妙な感覚だった。時折、嗚咽が漏れそうになる場面さえあって、こらえるのに苦労した。映画館で観る映画じゃないな、これ。
最後の最後まで、そんな状態が続いた。今日ほど、マスクをしてて良かったと思えた日はない。
この作品は、普段の僕の好みからすれば、そんなに刺さらないはずの映画だ。というのも僕は、悪意があったり、何かが歪んでいたりする物語に心惹かれるからだ。ストレートな優しさや愛、友情、信頼関係と言ったものは、基本的にあんまり好きじゃないし、感動できないことが多い。
しかしこの作品には、悪意らしい悪意は出てこなければ、歪みらしい歪みも出てこない。いや、歪んでいると言えば歪んでいると言えるのかもしれないが、普段の僕が反応するような歪みじゃない。
だから、驚いた。
作画が綺麗なのは、元々知っていた。しかし、物語ももの凄く綺麗だった。そして、その綺麗さに泣いていた自分に驚いた。
普段なら、映画を観て何を考えたのか、どう感じたのかを言語化したいと思う。思うし、実際に言語化して定着させておく。しかし今日は、おそらく映画を見るようになって始めて、言語化したくないと思った。
何故なら、自分の思考や感情は性格な形では言葉になってくれないからだ。
言語化するというのは、近似するというのと同じだ。言葉の枠内に入らない細部を切り取って、どうにかその言葉に押し込んで表現する。感情はともかく、思考を表に出すには、今のところ言葉に頼る以外にないだろう。普段であれば、多少の近似に対して特に感じることはない。
ただ今回は、なんか嫌だなと思った。初めて、言葉にするのが嫌だな、と思った。たぶん何をどう書いても、「そうじゃないんだよなぁ」という自分のツッコミが入る。
今自分が望んでいるのは、「感情保存機」みたいな機械だ。自分の脳とその機械を接続すると、自分の感情がそのまま記録され、その機械を介することでいつでもその感情を追体験できるような機械。そんな機械があれば、自分の感じたことを言葉にする必要もないし、忘れてしまう不安もなくなる。
人生に何回かあったと思うけど、久々に、今日この感情を忘れたくない、と思った。映画では、もしかしたら初めてかもしれない。
ホントに凄かった。
せめて内容ぐらいは忘れないように記録しておこう。
祖母が亡くなった日、孫娘のデイジーは仕事ばかりしている母親をなじるような言い方をしてしまう。そんな母親から、祖母が曾祖母から毎年誕生日に手紙を受け取っていたという話を聞く。曾祖母は早くになくなったのだが、手紙を代筆してくれるドールという職業がかつて存在していて、50年間祖母に毎年手紙が届くように依頼していたのだ。
デイジーは、祖母が受け取った手紙を読み返していた。すると同じ箱の中に、当時の新聞記事が入っていた。その記事で取り上げられていたのが、曾祖母が手紙の代筆を頼んだドール、当時「自動手記人形」と呼ばれる職業に就いていた、ヴァイオレット・エヴァーガーデンだった。
ヴァイオレットは、手紙の代筆として非常に名が高く、海への感謝祭での栄誉ある手紙の代筆も任されるまでになった。
しかしそんなヴァイオレットは、「願っても叶わない祈り」を長いこと持ち続け、決して届くことのない手紙を毎晩書いてしまうような日々を過ごしていた。
ヴァイオレットはその昔、「武器」だった。孤児だったヴァイオレットは、戦場での「武器」にするためにディートフリートという大佐に拾われたが、その弟であるギルベルトに守られながら育ってきた。しかし、戦争の犠牲は大きく、ギルベルトは行方知れずのまま音信不通、ヴァイオレットも取り戻せない被害を受けた。
戦時中は中佐だったクラウディアが社長を務めるC.H郵便社でトップ自動手記人形として真面目に仕事をするヴァイオレットだが…。
というような話です。
ホントに凄かったなぁ。アニメをなめてるつもりはないし、普段触れる機会こそないものの、特に日本のアニメの凄さはなんとなく知ってたつもりだったけど、こんなに凄いアニメがあるとは。
これは、タイミングが合えば、また観るかもしれん。
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