【映画】「マーズ・エクスプレス」感想・レビュー・解説
というわけで、今日2本目の映画。上映時間の間隔が15分しかなく、別の映画館だったので、渋谷をダッシュしましたわ。
さて、本作はフランス発のアニメ映画で、『AKIRA』『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『パプリカ』といったいわゆる「ジャパニメーション」のSF作品にインスピレーションを得て作られた作品らしい。なるほど確かに、ちょっと前に観たからというのもあるが、本作を観て僕は『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を連想した。かなりSF的な設定の物語なので、近い系譜にあるなと思う。
のだけど、本作を観ながら「日本のアニメとは違うよなぁ」と感じたのが「キャラクターの個性」だ。本作『マーズ・エクスプレス』は、個々のキャラクターが日本のアニメと比べると弱い感じがする。「アンドロイドと、元人間のアンドロイドが火星で共存している」というかなり特異な設定の物語なので、そういう物語性に引きずられるような形で多少の個性は出ているものの、全体的に「個」が弱いなと思う。
もちろん、「リアリティを追求した」みたいな捉え方は可能かもしれないが、「別にだったら実写でやれば良くない?」とも思う。僕が日本のアニメに慣れているだけかもしれないが、「アニメでやるなら、アニメでやるなりの必然性」みたいなものはあっていいし、その1つに「キャラクターの個性」を挙げることが出来るはずだ。
ストーリー的にはかなり緻密(というか複雑?)で、物語性みたいな部分で惹きつける力のある作品だとは思う(ただ「難しさ」みたいな部分が際立ってあまり楽しめないという人もいるかもしれない)。けど、いかんせんキャラクターが弱く、作品全体としてはどうしても「凄く良かった」とは言い難いなぁ。せめて1人ぐらい「強烈な個性」を持つ登場人物がいればまた違ったかもしれないが、ちょっとそこは残念だったなと思う。
というわけで、まずは内容の紹介をしよう。
物語は23世紀の地球から始まる。私立探偵のアリーヌは、「アンドロイドの脱獄」に関与した人物を追うため、相棒のアンドロイド・カルロスと共に火星から地球にやってきていた。「アンドロイドの脱獄」とは、アンドロイドに対する制約である「アンドロイド法」の一切を無視するように出来る改造のことで、「脱獄」されたアンドロイドは制約なく自由な活動が行える。当然これは違法行為なのだが、何らかの目的を持ってこの「脱獄」を行う者が一定数いるようだ。
そうしてアリーヌは、地球での仕事を終え火星に戻ってきたものの、結果としてその仕事は徒労に終わってしまった。まあ仕方ない。切り替えよう。
次にやってきたのが、娘が失踪したという父親だった。火星の首都であるノクティスで最高の大学であるチューリング大学でサイバネティックスを学んでいるジュンの行方が分からないというのだ。同室だったドミニクも行方知れずとのことで、アリーヌは大学まで出向いて調査を開始する。学長からジュンが映った最後の防犯カメラ映像を見せてもらうと、そこには「脱獄されたアンドロイドが逃亡するシーン」が映っていた。そしてアリーヌは、ドミニクの死体を見つけてしまう。
アリーヌとカルロスは、「ジュンが大金を両親に送金していた」という話を入手するが、ドミニクの両親からは「ジュンの父親が高い学費を払えるとは思えない」という疑問が出てくる。何にせよ、ジュンが送金した大金はどこからやってきたのか? その後アリーヌらは、その謎を解くジュンの事情を理解するのだが……。
女子大生の失踪事件を発端に、アンドロイドとの共存に大きな亀裂をもたらすとある大企業の陰謀が明らかになり、アリーヌらは巨大な渦に巻き込まれていく……。
冒頭から、設定や状況がほとんど説明されないまま物語が進んでいくので、物語の展開と共に少しずつ「なるほど、そういうことなのね」と理解していくみたいな感じである。そしてその中でもややこしいのが、「アンドロイドはどうも、元人間のようだ」ということだ。
「作中に登場するすべてのアンドロイドが元人間」かどうかは分からない。しかし、少なくともカルロスは元人間のようだ。「元妻との間に娘がいる」という設定だからだ。何らかの理由で命を落とし、記憶を保ったまま身体がアンドロイドになったという感じなのだろう。恐らくだが、「首が浮いてるのが元人間のアンドロイド」ということなんじゃないかと思う。
で、よく分からないのが「アンドロイドの立ち位置」。冒頭は地球上のシーンなのだけど、アリーヌがある人物を追っている中、市民は「ロボットはぶっ壊せ」「人間優位の世界を」とシュプレヒコールを上げていた。地球ではアンドロイドは嫌われているようだ。しかし、火星ではどうもそうではなさそうである。そして、その辺りの背景的な事情がよく分からない。
本作では最終的に、言うなれば「人間 VS アンドロイド」的な展開になるのだけど、しかし、「人間社会の中でアンドロイドがどのように扱われているのか」という点がイマイチ判然としないので、最後の展開についても「ふーむ、そうですか」みたいな感じになってしまう。
これが『エヴァンゲリオン』みたいな「何もかも意味不明」みたいな物語ならまた違った受け取り方が出来るのだけど、本作は、「ストーリーは割とちゃんと分かるように伝えようとしている」という雰囲気があるので、その上で「背景となる社会情勢がイマイチ理解できない」というのは、少しもったいないような気がした。本作の展開だと、ちょっとラストの流れが唐突というか、ちょっと繋がってる感じがしないというか、そんな印象だった。
ただ、「観客を置き去りにしてでもスピーディに物語を展開する」みたいな感じは決して悪い印象ではなかったし、「むしろそういう展開が好き」みたいな人もいるだろうから好みの問題かなとは思う。
でもやっぱり、冒頭で書いたように、「キャラクターの個性が弱い問題」は結構クリティカルかなと思ってて、全体的にはそこまで面白くは感じられなかった。
あと、最後「ここで終わるん?」って感じだった。正直なところ、「そこからの展開こそ、一番興味深いところじゃない?」という気がしたし、中途半端な感じがしたなぁ。
というわけで、ちょっと微妙だったかな。
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