【演劇】「セザンヌによろしく!」(バストリオ)@浅草九劇
友人の勧めもあって、さらに家からメチャクチャ近いところでやってることもあって、バストリオの『セザンヌによろしく!』という演劇を観に行った。演劇を観たのは、『われわれなりのロマンティック』(いいへんじ)以来だな。普段演劇を観る生活をしていないので、ド素人の感想ということで。
開演前に主催の今野裕一郎が『セザンヌによろしく!』について少し説明していた。毎年少しずつ内容は違うらしいが、『セザンヌによろしく!』の上演は5年目だそうだ。最初は野外で行うものとして企画され、その後劇場で、さらに去年「せんがわ劇場演劇コンクール」で4冠受賞したのだそうだ。今回は、元々別の劇場で上演する予定だったらしいが、色々あって浅草九劇に変更になったらしい。
で、今日は終演後に、「スヌーヌー」という演劇ユニットを主宰している笠木泉という人とのトークイベントもあった、今野裕一郎とは、19年来の付き合いだそうだ。
で、演劇の中身はというと、一言で言うと「カオスオブカオス」だった(笑)。正直なところ、「良く分からなかった」というのがシンプルな感想だ。ただ、「つまらなかった」とは思わなかった。で、たぶんそれは、「演者が楽しそうにやってる」ことが伝わってきたからだと思う。演劇としてどうかよく分からないが、空間としてはとても良かった。ちなみに、アフタートークで笠木泉は「演者の信頼感の強さを感じた」と言っていたが、たぶん似たような感覚じゃないかなと思う。
で、僕が観ながら連想したのが、以前観た『地獄のSE』という映画だ。まあぶっ飛んだ映画で、『地獄のSE』の感想に書いた文章をそのまま抜き出すと、
【さて、僕は本作を観て「面白い」と感じたのだけど、その「面白さ」は一体何なのだろうと自分の中で少し分析してみると、結局のところ、「この作品を世に出そうと考えて作り、実際に世に出してしまう人間がいるのだ」という事実に対して「面白さ」を感じていたように思う。】
という感じである。
で、本作『セザンヌによろしく!』に対しても僕は、まったく同じことを感じた。一言一句、そのまま『セザンヌによろしく!』の感想として使ってもいいぐらいの文章である。
なにせ本作では、「一本満足」を食べる前に踊ってたり、水をバチャバチャぶちまけたり、小麦をこねていたり、バナナを食べて皮を投げ捨てたり、やまびこみたいな演出があったり、拡声器でセリフを口にしたり、延々とドラムスティックの話をしたり、顔を黒く塗ったり白く塗ったり、舞台奥のスクリーンには常に絵が描かれていたり、ロビーから役者の声が聞こえてきたり、「ここまでで1シーンが終わりです。あと40分ぐらいで終わります~」ってセリフがあったり、ドラムの音に合わせてバキバキに踊ったり、サックスみたいなのをずっと吹いてたり、女優の顔で浅草九劇までの道案内をしたりするのだ。
???
僕は観ながら、「コンテンポラリーアート」と「詩の発声」と「演奏」をミックスした異種格闘技戦だなと感じた。それを「演劇」と呼ぶのかはまあ人それぞれ自由という感じだが(M-1のマヂカルラブリーのネタみたいなものか)、「演劇」として提示されているので「演劇」だと受け取りましょうという感覚である。
で、先程の「『この作品を世に出そうと考えて作り、実際に世に出してしまう人間がいるのだ』という事実に対して『面白さ』を感じていた」という感覚は何となく伝わるんじゃないかなと思う。「前衛的な演劇」という表現が褒め言葉になるのか批判になるのかよく分からないが、観ながらずっと「前衛的だなぁ」と思っていた。こういう「非日常」はなかなか日常生活の中で体感できるものではないので、ある種の「異世界転生(転生はしてないが)」的なニュアンスもあったりするかなと思ったりした。
さて、そんなわけで全体像は上手く捉えられなかったが、好きなポイントはある。どちらも、松本一哉という方が関わるシーンだ。アフタートークで笠木泉が「松本さんは役者じゃないのに~~」的なことを言っていて、これまた「???」という感じだった。じゃあなんなんだ? まあ、「31年ドラムを叩いてきた」と言っていたから音楽の人なんだろうけど、じゃあなんでバストリオの演劇に出てるんだろう? これまた謎である。
で、そんな松本さんは、冒頭からしばらく一人語りをする。これが結構良かったんだよなぁ。僕はこれからどんな演劇が始まるのか全然見当もついていなかったので、それもあって、松本さんの「観客にバリバリ話しかけるスタイル」にまずビックリした。「えっ? 我々に話しかけてますよね?」って感じだった。マジでその時点で意味分からんかったもんなぁ。
で、そんな松本さんが話し続けるのが、「ドラムスティック」についてなのだ。この話が、なんか面白かったんだよなぁ。もちろん、松本さんの雰囲気込みでって感じだけど。で、この穏やかな語りから一体どんな話が始まっていくんだ、と思ってたら、カオスオブカオスのごった煮って感じだったので余計に驚いたという感じ(笑)。
で、もう1つが、中條玲という人が松本さんに、「なんか、神さま的な存在そのものって感じの音をちょうだい!」(いや、そんな言い方はしてないんだけど)みたいに言って、松本さんが恐らく即興のドラムソロをやるシーン。笠木泉が「松本さんの人の良さが出てましたよね」みたいに言っていたが、ホントにそうだなと思う。あと、今野裕一郎がアフタートークの中で、「3回目で納得してたかは怪しい。今日は4回目行くのか? とか思ってたけど、まあ上限を3回にしてるんで」みたいに言っていたのも面白かった。
というわけで、全体の感想としては「よく分からなかった」と言うほかないが、空間としては素敵だったし、何なら「この空間に混ざりたいかも」ぐらいに感じたりもしたので、印象としては良かった。いやしかし、マジで意味不明だったなぁ(笑)
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