【映画】「ハード・コア」感想・レビュー・解説

いやー、不思議な映画だったなぁ。意味不明だったけど、面白かった!ここまでストーリーの展開が予測出来ない物語も、久々だったなぁ。

物語は、右翼(なのかな?よく分かんないけど)の結社の代表に拾われ、恩義を感じている権堂右近という男の日常から始まる。彼は社会にうまく馴染めず、友人もほとんどおらず、女性にもモテない。ハロウィーンで騒いでいる連中に悪態をつき、街宣車の近くでビラを配り、また結社が軍資金として探している「埋蔵金」発掘のために、週に1度群馬の山奥で穴掘りをしている。右近は、同じ結社に所属する、ほとんど喋ることが出来ない牛山と仲が良く、彼といつも一緒にいて、牛山のために何かしてやろうと奮闘している。
右近には、左近という名の優秀な弟がいる。兄とはまったく違い、商社に勤め、女ともよく遊んでいるが、しかし実はそんな生活に倦んでもいる。左近は、酔っ払った兄を引き取ったりと世話を掛けられることを迷惑がっているが、しかし何だかんだ付き合いは細々と続いている。
彼らの生活は、あることによって一変する。しかしその変化は、右近と左近が協力することで生まれた。
きっかけは、牛山だった。彼は、元薬品工場である廃墟で寝泊まりしているのだが、そこで変なロボットを見つけたのだ。ガラクタにしか見えない、外見はお粗末なロボットだったが、あれこれいじっている間に何故か起動、さらに自律的に動き出した。彼らはそのロボットに「ロボオ」と名前をつけ、友人として扱うことにした。
弟の左近は、そのロボットを見て、彼なりに解析することにした。すると、とんでもないことが分かった。ロボオの搭載されているのは「QPU」、つまり「量子プロセッサ」であり、これはNASAやGoogleが大金を掛けて開発しようとしているものなのだ。なんでこんなものがここに?
左近は兄の右近から、ロボオのことを誰かに喋ったら弟であっても殺すと脅され、左近はロボオの存在を表沙汰に出来ないのだが…。
というような話です。

正直、ここからどう展開していくのかさっぱり分からなくて、どうなるんだろうと思いながら見ていました。僕には、「結局左近がロボオのことをバラしちゃうんだろうな」としか思えなかったんだけど、そうはなりません。っていうか、うっそマジでそう展開するわけ?っていうような流れになっていきます。正直、相当にぶっ飛んでるし、普通の物語だったら正直破綻しているレベルなんだけど、この物語は、割と冒頭から破綻してるっていうか、ムチャクチャっていうか、通常の感覚が通用しない世界観で展開されていたんで、観ている側としてはそこまで違和感はないな、という感じがしました。

右近と左近の価値観があまりにも違いすぎる、っていうか、兄の右近があまりにも全時代的すぎる(なんていうと、右近みたいな生き方をしている人には申し訳ないけど)ので、右近と左近はあまりにも相容れません。しかしこの映画の凄いところは、そんな「世間の当たり前から完全に取り残されている右近」の視点で物語が進んでいく、ということです。ごくごく当たり前の感覚からすると、それは物語として成立し無さそうな気がするんだけど、それを右近(山田孝之)と牛山(荒川良々)という異様な存在感の二人が成り立たせている、という感じがしました。正直この映画、山田孝之と荒川良々じゃなかったら、成立しないんじゃないかなぁ。そういう意味で、ちょっと異次元の映画だな、という感じがしました。

さっき書いた、「っていうか、うっそマジでそう展開するわけ?っていうような流れ」の後も、物語がどう転んでいくのか分かんなくて、ずっと不安定さを感じさせる映画でした。それは僕の中では割と新鮮な感じがして、凄く良かったです。最後の最後まで、「なるほど、これからこうなるんだね」と想像させる場面がないというか、最後まで「そうなるんだ!」って感じで、普段映画を観ている感覚とはちょっと違いました。物語が不安定だから、マイナス面もあります。大体物語って、「きっとこうなるんだろうな」という予感が土台にあって、その予感が実現することによって心が動かされる、みたいな部分ってあると思います。けどこの映画の場合は、予感をまったく感じさせないから、心が動かされる感覚が他の映画より弱いと思います。ただ、たぶんそれも計算されているんだと思うんだけど、この映画では、兄の右近も弟の左近も、あるいは牛山も、「共感される存在」としてまったく描かれていないんですね。右近は、いいヤツだけど時代錯誤な結社にいて世間と隔絶している。左近は、世間とはうまくやっているし、たぶん外面はいいんだけど、人間的にはちょっとイヤなやつ。牛山は、喋れないキャラクターだし、何を考えているか分からない人という造形がされているから、そういう意味で共感が入り込む余地がない。だからこそ、「物語が不安定であることによって、共感によって心を動かす前段階である予感を抱かせる」という要素が欠如していても成立するんだろうな、なんて思いました。

まあ、この映画についてはあまりうまく説明できないんで、気になる方は観て下さい(笑)

エンドロールで気になったのは、「特別協力」で「深田恭子」の名前が挙がっていたこと。これが、女優の深田恭子なのか、同姓同名の別人なのかは分からないけど、普段エンドロールの特別協力のところに、女優の名前を見かける機会がないので、気になりました。山田孝之が、俳優のプロデュース的なことをする会社を作った、みたいなニュースを見かけたこともあるんで、もしかしたらそういう絡みもあるかもしれないなと思ったり。

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