【映画】「ジェイコブス・ラダー」感想・レビュー・解説
直前まで別の映画を観る予定だったのだけど、色々考えてそれは止めて、急遽探して本作を観ることにした。だからいつも以上に、事前情報がないまま観た。
本作では、「現実なのか妄想・悪夢なのか区別がつかない映像」が多重構造になっている。だから、ストーリーの展開としてはかなり訳が分からない。とはいえ、観ながら途中で、「この物語をまともな形で終わらせるとしたら、こういうラストになるしかあり得ないよな」と感じたし、そして概ね予想通りに展開した(あくまでもラストの展開についてのみだが)。そういう意味では分かりやすいと言えるかもしれない。
さて、本作はベトナム戦争のシーンから始まる。主人公を含む男たちが戦地で何気ない会話をしている際に襲撃に遭い、部隊が壊滅的な被害を被るのだ。そして本作ではその理由の一端が「LSD」にある、とされている。仲間の内の一部がLSDを吸っているシーンが出てくるのだが、この悪影響によって状況が一層悪化した、というわけだ。
そして本作の最後には、「化学兵器BZガスの製造を、国防省は否定している」みたいな字幕が表記された。ネットで調べてみると、Wikipediaには「本作の背景にある米国陸軍開発による化学兵器BZガス(3-キヌクリジニルベンジラート、通称ゾンビ・ガス)の開発過程における自国軍兵士に対する生体実験についての事実と、本作のテーマであるその被験者達が被った後遺症は実話に基づくとされる」と書かれていた。なるほど、国は否定しているものの、リアリティのある形でその存在が信じられているというわけだ。物語全体としては「シンプルに狂気に彩られた作品」という感じなのだが、先の話を踏まえれば、ある意味ではリアリティのある物語と言えるのかもしれない。
さて、知識的な話をもう1つ。本作のタイトルである「ジェイコブス・ラダー」は、「ジェイコブスの梯子(ヤコブの梯子)」という意味らしく、そしてこれは旧約聖書に書かれているエピソードの名前なのだそうだ。絵画でも何でも「キリスト教の知識がないと分からないもの」というのは多々あるが、本作も恐らくそういう作品なのだろう。まあ、仕方ないことではあるが、ちょっとやっぱり「そうなのかぁ」という感じにはなってしまうな。
ストーリーは、書こうと思えば書けるけど、まとまりのある形で意味のある内容を書くのがちょっと難しいので止めておこう。観客の視点では、「かなり脈絡なく状況が変転していく」という感じなので、紹介が難しい。とにかく、主人公のジェイコブスが、通常ではあり得ない状況に置かれたり、誰かに追われたり、混乱したりしている様子がひたすらに描かれていく感じの物語である。
正直、メチャクチャ面白かったというわけではないのだが、ただ展開の意味不明さの割にはかなり興味を持って観続けられたなと思う。僕は訳わからん映画を観ると寝ちゃう傾向にあるのだが、本作の場合ほとんどそんなことはなく、割とちゃんと観続けられた。どんな要素がそうさせたのかはちょっと何とも言えないが、観ながら何となく「これは理屈で説明がつく状況じゃないな」ということが伝わってくる感じは1つ良かったのかもしれない。
理屈が通りそうな物語の場合は、「どういう物語なのか」が明らかになるまでの期待値が上がっていくような印象があるが(これをどうやって物語として畳むんだろう、みたいな興味ということ)、本作の場合は、割と早い段階から「これはまともな形では理屈を通すことは出来ない」みたいに理解できるため、それでラストの展開に対する期待値が上がらずに済んだ、みたいなところはある気がする。
まあそんなわけで、これぐらいかなぁ、書くことは。観ても観なくても良かったけど、つまらなかったわけではないし、それなりには楽しめた。あと、映画『ホーム・アローン』で有名になる前のマコーレー・カルキンが出てるってのもなかなか面白いポイントだろうか。
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