【映画】「スウィングガールズ」感想・レビュー・解説
「新宿東口映画祭」という、新宿武蔵野館でしかやってない特別上映があり、その中で色々名作がやっているのだが、その中で、時間が合いそうで観たいなと思ったのが『スウィングガールズ』だった。ちなみに、矢口史靖監督の映画って何か観たことあるんだっけ? と調べてみたのだけど、『サバイバルファミリー』って映画だけ観たことあった。
『スウィングガールズ』、面白かったなぁ。最初、方言丸出しのセリフでなかなか面食らったけど。
ちょっと前に『リンダリンダリンダ』のリバイバル上映を観た。テーマや雰囲気は『スウィングガールズ』とちょっと近いものがあるなと思ったけど、『リンダリンダリンダ』の方がリアル寄りかなと思う。『スウィングガールズ』は、絶妙にリアルじゃないというか、現実世界からちょっとだけ浮いてるというか、そういう雰囲気があって、そして本作においてはその雰囲気が凄く良かったなと思う。普段は割と「リアルさ」が結構気になる質で、「実話を元にした作品」が好きだったりするタイプなのだけど、本作『スウィングガールズ』は、現実からの浮き上がり方みたいなのが絶妙な感じがあって、全体的に凄く良かったなと思う。
まあ僕は、「物語を観て元気になる」みたいな効用をあんまり求めてたりはしないので、なので、僕が好きな「現実の凄まじさに圧倒させられる」「色々と深く考えさせられる」みたいな作品と比べれば評価は高くはならない。ただ、「人に勧めやすい映画だなぁ」と思うし、こういう楽しい映画もたまにはいいなと思う。
というわけで、ざっくり内容の紹介をしておこう。
山河高校の夏休み。少なくない生徒たちが暑い中補習を受けていた。もちろん、やる気などない。そんな1人である鈴木友子は、教室から羨望の眼差しでグラウンドのバスを見ていた。野球部の応援へ向かう吹奏楽部の面々だ。しかし、その吹奏楽部のメンバーで、退部届を握りしめながら提出できないでいる中村は、ソワソワしながらあるモノを待っていた。頼んでいた弁当が届かないのだ。顧問の判断で待っている余裕はないと出発することになったのだが、その直後、弁当屋の車がグラウンドへやってきて、途方に暮れていた。
友子はこれをチャンスと捉える。教師に、「吹奏楽部が困っているから私たちで弁当を届けます!」と言って補習を抜け出すことに成功したのだ。しかし彼女たちは、降りるべき駅で降り過ごし、その後電車を避けるために田んぼに突っ込んだりして、弁当をグチャグチャにしてしまう。
どうにかこうにか球場まで弁当を運んだ彼女たちだったが、すぐに大騒動が発生する。彼女たちが運んだ弁当を食べた吹奏楽部の部員と顧問計43人が体調不良により病院に運ばれてしまったのだ。
唯一、中村を除いて。彼は、電車内で友子らが1つ弁当を食べてしまったせいで、運良く(悪く?)難を逃れたのだ。
さて、何はともあれすぐにどうにかしなければならない問題がある。1週間後の野球部の試合だ。吹奏楽部が出られないなんていう事態を招くわけにはいかない。そこで中村は、寄せ集めでもいいから人を募って急造の演奏隊を作ろうと思ったのだが、連絡網で回ってきた話を知ってやってきたのは、リコーダーしか吹けない関口や、バンドが解散したせいでやることがなくなったギターとベース担当ぐらい。こんなんじゃどうにもならないと、中村はちょっと脅しをかけて友子ら補習メンバーを引き入れることにする。
たった1週間で出来ることなどそうはないが、しかし中村は辛抱強く彼女たちを指導し、「どうにかこうにか音を出せる」ぐらいのレベルにまで持っていった。のだが……。
というような話です。
ストーリー的には終始ムチャクチャな話で、「ンなわけあるか!」とツッコミたくなるような感じなのだが、上野樹里(鈴木友子)が醸し出す陽気でちょっと変わった雰囲気や、あとは僕が楽器に詳しくないみたいな要素も相まって(あんなに早く音が出るようになるのか? とか、知識のある人は色々詰まっちゃうところもあるんじゃないかな)、全然楽しめた。しかし冒頭の、「弁当食った奴全員ぶっ倒れて、急造で演奏隊を作らなきゃいけない」なんて設定、よくもまあ企画が通ったものだなと思う。ムチャクチャすぎるだろ(笑)
その後も、「目が悪くてよく見えないけど、実は先生だった」とか「バイトしてたらとある事情で火災報知器を反応させちゃった」とか「イノシシに追いかけられる」とか、「おいおいおい」って展開ばっかりなんだけど、不思議と受け入れられるんだよなぁ。ホント不思議。どんな魔法を使ってるのか知りたいぐらいだ。
で、そういう「おいおいおい」みたいな展開をちゃんと積み重ねているからこそ、個人的には特大の「おいおいおい」シーンも、「ま、いっか」みたいになった。それは、「色々あって数人だけでジャズバンドを組んで演奏していたのを、離れちゃったかつての仲間が目にして、その足で楽器を買いに行って、そしてすぐに演奏に合流する」みたいな場面である。まあ、普通に考えれば「仲間が見ていた演奏」と「彼女たちが合流した演奏」は別物(時間経過している)と考えるのが自然だと思うんだけど、仮にそうじゃない、つまり「仲間が見ていた演奏」と「彼女たちが合流した演奏」が同じだとしても、「この映画の中だったら、まあいいか」みたいな感覚になるなと思う。シーン単体で見るとメチャクチャ変なのだけど、本作全体の流れの中では「まー、そーよね~」ぐらいの受け取り方になるのが面白かった。
で、ラストの演奏シーン。なんか圧巻って感じで素敵だったなぁ。別にジャズのことはよく分からないけど、「楽しそうな雰囲気」は伝わってきたし、演奏はかっこよかった。調べてみると、出演者はちゃんと楽器の演奏をしてるようで(ほぼ全員未経験から特訓したらしい)、映画のストーリーを地で行くような撮影(準備)だったんだろうし、そういう「熱気」みたいなものが最後の演奏シーンには詰め込まれていた感じがした。
というわけで最後に、どうでもいいことを書いて終わろう。
まず、「高橋一生出てるやん」ってなった。ちょっと前に『リリィ・シュシュのすべて』を観た時も「高橋一生出てるやん」ってなったし、それがなんか凄くちょい役みたいな感じだったから、「高橋一生って若い頃はそこまで知名度の高い人じゃなかったんだなぁ」なんて思ったりする。なんかそんなイメージがあんまりないのよね。
あと、「関口、メチャクチャいいな」と思ってたんだけど、エンドロールに「本仮屋ユイカ」の名前があって、「えっ? もしかして関口?」と思って、帰ってから調べたらやっぱり関口だった。マジか。まったく分からんかった。関口、メガネかけた顔の感じも良かったし、キャラクター的にもなかなか絶妙で、目を引く存在だったなぁ。ってか本仮屋ユイカかよ! マジで気づかなかったし、ビックリしたなぁ。
というわけで、大変面白い映画だった。
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