【映画】「悪い夏」感想・レビュー・解説
これはなかなかムチャクチャな映画だったなぁ。すこぶる面白い、というわけではなかったけど、河合優実も良かったし、北村匠海は結構好きだし、伊藤万理華は思いがけず魅力的な感じしたし、結構良かった。
しかし「クズとワルしか出てこない」と話題を呼んだ小説が原作なのだけど、確かにそんな感じである。最初から悪い奴もいるし、闇落ちする奴もいるし、本性を現す奴もいるし、致し方ない奴もいるが、いずれにしても確かに「クズ」と「ワル」だなって感じがする。
市役所の生活保護を担当する部署で働く佐々木は、ケースワーカーとして受給者の元を訪れる。不正受給ではないかチェックし、場合によっては打ち切るためだ。しかし、優しい性格である佐々木は、明らかに怪しい人物にもなかなか強く出られない。ヘルニアで仕事が出来ないと言う山田もその1人。上司に報告すると、それを聞いていた先輩の宮田から「甘すぎる」と指摘される。彼女は正義感の塊のような人で、不正受給をするような人間を毛嫌いしている。
さて、そんな宮田が佐々木にある相談をしてきた。彼女はある方面から、「ケースワーカーの中に、女性受給者の弱みを握って肉体関係を結んでいる奴がいる」という情報を聞きつけていた。それが誰なのかははっきり分からないものの、宮田は勘で、同僚の高野だと目を付けていた。だから、その調査に協力してほしいと佐々木は頼まれたのである。
そしてその高野は、宮田の見立て通り、生活保護受給者である林野を脅し、訪問の度にセックスを強要していた。林野は仕方なく受け入れていたのだが、そんなある日、かつての夜の仕事仲間・莉華にその話をする流れになった。莉華は店のオーナーであり、裏社会で幅を利かせている金本の女で、「ケースワーカーから脅されている」という話を聞いて、金本に相談しようという話になった。
その話を聞いた金本は、そりゃあ良い話だとすぐに計画を考える。その市役所職員から金を脅し取ろうというのではない。金本が送り込むホームレスらの生活保護申請を彼に通させ、中抜きしようというのだ。
かくして彼らは、高野が林野とセックスをする動画を隠し撮りすることにしたのだが……。
というような話です。
僕のスタンスとしては、「河合優実を観に行った」という感じなので、とりあえずは満足という感じ。ただ、じゃあいざこうやって感想を書こうとすると、別に書くことを思いつかないんだよなぁ。僕は映画でも小説でも何でも、「自分の思考が刺激されるか」が良し悪しを判断する1つの判断基準で、そういう観点からすると、この作品は僕の思考を刺激してはくれなかった。
しかし役者の演技はみんな素晴らしかったですね。河合優実と北村匠海は言わずもがなって感じだけど、「死臭すらしそうな表情」をしている木南晴夏とか、「陽気に狂気を織り交ぜている」という印象の窪田正孝、ラストに印象が一変するにも拘らずそれが決して不自然ではない伊藤万理華など、「上手いなぁ」という感じだった。
河合優実は相変わらず、「社会から零れ落ちそう、あるいは既に零れ落ちている」みたいな存在感を放たせたらさすがという感じだし、メインビジュアルでも映し出されている「北村匠海の死んだような目」も印象的だった。
ただストーリーに関しては、「金本みたいな奴が出てくると、正直、『何でもアリ』みたいな印象になっちゃうんだよなぁ」みたいな感覚があって、あまり好きにはなれない。金本みたいな存在って「制約がない」からちょっとつまらないのだ。「制約の範囲内で、どう行動し、どう決断するか」みたいなところに人間性が出るわけで、だから「制約」を感じられない人間にはなかなか興味が持てない。
ただ、金本の存在は、他の登場人物にとっての「制約」になっているという側面もあるわけで、まあ仕方ないか、という感じもする。でもやっぱりなぁ、金本みたいな奴が出てこないで物語が成立する方が、個人的には好みである。
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