使用時にミスが多発する商品のリスク
商品に対してしっかりと理解できていないまま販売や提供を急ぐと、それを使用する現場が混乱し、普段は起きないようなミスが起きることがあります。そのような状態で使用を続ければ、リスクは高まるばかりです。
取返しのつかないミス
新型コロナワクチンの接種に関して、濃度の薄いワクチンの接種、液の入っていない注射器での接種、ワクチンの原液を希釈するための生理食塩水だけを接種するなど、多数のミスが報道されています。そのような中で、取返しのつかないミスが起きていました。
11歳にファイザー製接種、微熱や腫れ…机上の「2種混合」とワクチン取り違え
読売新聞オンライン(2021/07/29 10:12)
和歌山県海南市は28日、同市内の医療機関で、新型コロナウイルスのワクチンを11歳の児童1人に誤って接種したと発表した。米ファイザー製のワクチンで接種対象年齢は12歳以上。児童には微熱や接種部位の腫れがあるという。
発表によると、26日午前9時頃、ジフテリアと破傷風の2種混合ワクチンの接種を受けるために訪れた児童に対して、誤って接種した。診察室の机の上に2種混合と、新型コロナワクチンの両方が置いてあり、医師が誤って新型コロナワクチンを手に取ったという。
こんなことがあるなんて、驚きました。接種してしまったものは、取り除くことはできません。11歳の子がとても心配です。
沖縄でも、確認不足による接種ミスがありました。
沖縄でワクチン接種ミス ファイザー打った18歳未満の少年にモデルナ 県が謝罪
沖縄タイムスプラス(2021年7月13日 07:28)
沖縄県の玉城デニー知事は12日、県庁で緊急の記者会見し、県の新型コロナウイルス広域ワクチン接種センターで、ワクチン接種のミスがあったと発表した。対象年齢の18歳に満たない少年に米モデルナ製ワクチンを接種した上、少年は過去に米ファイザー製ワクチンを1度打ったことがあった。玉城知事は「ワクチン接種で県民に不安な思いをさせてしまい、深くお詫びする」と謝罪した。
県によると、少年は17歳11か月で、本島中部在住。7月11日午後3時50分ごろ、保護者に付き添われて県のセンターで米モデルナ製ワクチンを接種した。同日午後4時10分ごろ、次回の予約手続きを取る際、対象年齢に達していないことや、6月14日に国外で米ファイザー製の接種歴があることが分かった。
少年は、予診票に「17歳」という自身の年齢や、1回目の接種ではないという趣旨を明記していたが、接種会場における受け付け時や医師の問診時でも見逃していた。
少年は現在、保護者による経過観察を行っている。12日時点で38・5度の発熱があり、熱冷ましを服用して自宅で静養している。
玉城知事は「接種会場における年齢確認や接種歴の確認に不備があった」と説明。再発防止策として、会場スタッフに本人確認や接種歴確認の徹底を指示したという。
リスクとベネフィットも含め、説明や手順などの理解ができていないまま、「とにかく接種」と進めているから、このようなミスが多発するのではないでしょうか。
確認不足による「注射器の使い回し」
2021年6月22日に、厚生労働省健康局健康課予防接種室が地方自治体の衛生主管部(局)宛に出した、「新型コロナ予防接種の間違いの防止について(その2)」が公開されています。
厚労省サイト ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 健康 > 感染症情報 > 新型コロナウイルス感染症について > 新型コロナワクチンについて > 新型コロナワクチンに関する自治体向け通知・事務連絡等
令和3年6月16日までに報告があった新型コロナ予防接種に関する間違い

「血液感染を起こし得る間違い」が23件もあります。確認不足により、注射器の使い回しがあったということでしょう。


これらのミスは、しっかりと共有されているのでしょうか。
繰り返される接種ミス
このお知らせが出た後も、同じようなミスが全国で多発。その中のいくつかを取り上げてみます。
使用済み注射器、再使用か 佐賀・太良町で接種ミス疑い
佐賀新聞LIVE(7/13 7:30)
佐賀県藤津郡太良町は12日、町内の医療機関で実施している新型コロナワクチンの個別接種で、60代女性に使用済み注射器を使った接種ミスの疑いがあると発表した。健康被害は確認されておらず、経過を観察する。
町によると、9日午前10時すぎ、医師が女性の腕に注射針を刺したが、手応えがなかった。薬液が入っていなかったとみられ、当日に別の人に打った使用済みの注射器を使った恐れがある。
ワクチンが入ったままの未使用の注射器が同日、1本余ったため、接種ミスの疑いが生じた。町は注射器の確実な廃棄が行われていなかったとみて、2週間後に抗体の有無を調べる。抗体ができていなかった場合はワクチンを接種する。
町は「こうしたことは今後、起きてはならない。接種マニュアルを再度徹底する」と話す。
接種済みの注射器 1人に誤使用 岡山市の医療機関 健康に問題なし
山陽新聞デジタル(2021年07月13日 12時02分 更新)
岡山市は13日、市内の医療機関で行われた新型コロナウイルスワクチンの接種で、誤って1人に使用済みの注射器を使うミスがあったと発表した。
市によると、12日午後、医師が別の人に使用した空の注射器を60代男性に刺した後に気付き、やり直したという。使用済みと未使用の注射器を近接して置き、溶液量などの確認も不十分だったとしている。現時点で男性の健康状態に問題はなく、経過を観察する。
同市では6月にも同様のミスが起き、市は接種医療機関を対象にしたインターネット会議で再発防止策を通知していた。市保健管理課は「同じようなミスが再び起きて遺憾。今回のケースを医療機関で共有するなど再発防止を徹底したい」としている。
接種済みの注射器を誤使用 浅口の医療機関 健康状態問題なし
山陽新聞デジタル(2021年07月15日 20時51分 更新)
浅口市は15日、市内の医療機関で行われた新型コロナウイルスワクチンの接種で、誤って1人に接種済みの注射器を使うミスがあったと発表した。
市によると、8日、医師が60代女性の腕に注射器を刺した後、ワクチンが入っていないことに気付き、打ち直した。女性の健康状態に問題はなく、経過観察を続けている。
市は、2人続けての接種だったため注射器2本を同じトレーに入れていたことや、注射器の中身を目視で確認していなかったことが原因とみている。
市は14日に医療機関から報告を受けたといい、健康推進課は「今回の事例を医療機関と共有し、再発防止を徹底する。ミスの早急な報告も周知する」としている。
コロナワクチン 静岡市で11人接種ミス 健康被害なし
あなたの静岡新聞(2021.7.17)
静岡市は16日、新型コロナウイルスのワクチンにおいて生理食塩水のみの接種や使用済み注射器の再使用など同日までに11人に接種ミスがあったと発表した。現時点で健康被害は確認されていない。
市によると、接種を受けた人に対するミスは、針と注射器の結合の不具合による接種液の漏れ2人、生理食塩水のみの接種6人、使用済み注射器の再使用1人。打ち手の医療従事者が接種済み注射器を廃棄する際に自身に針刺しした事例は2人を確認した。
該当者にはミスの態様に応じて抗体検査や再接種、血液検査などを実施した。
新型コロナ 茨城・常総 使用済み注射器、施設職員に刺す
(茨城新聞クロスアイ 2021年7月22日(木))
茨城県常総市は21日、新型コロナウイルスのワクチン接種で、使用済みの注射器を誤って別の人に使用した疑いがあると発表した。現時点で健康被害はないという。
市保健推進課によると、20日午後、市内の高齢者施設で、看護師が使用済みの注射器を施設職員1人に誤って刺した。使用済みの注射器はすぐに廃棄するはずだったが、看護師はトレーに置き、接種の際も注射器のワクチン充填(じゅうてん)を確認しなかった。同施設ではこの日、6月採用の新入職員と入所者計5人に接種予定だった。未使用の注射器の数と予定者数が合わず、ミスが発覚した。
同市内では13日にも医療機関で使用済みの注射器を使うミスがあった。市は「接種マニュアルを徹底するよう医療機関などに指導した」としている。
どれも「現時点では健康状態問題なし」などと書いていますが、先のリスクについては触れていません。
厚労省のサイトには、B型肝炎訴訟に関するページもあります。
厚労省サイト ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 健康 > B型肝炎訴訟について(救済対象の方に給付金をお支払いします)
国内のB型肝炎( ウイルス性肝炎)の持続感染者は、110~140万人存在すると推計されています。 このうち、昭和23年から昭和63年までの間に受けた集団予防接種等(予防接種またはツベルクリン反応検査)の際に、注射器(注射針または注射筒)が連続使用されたことが原因でB型肝炎ウイルスに持続感染した方は最大で40万人以上とされています 。
無症候キャリアもいるので、このような可能性もあるのではないでしょうか。そのような可能性について触れずに、わざわざ見出しに、「健康状態問題なし」とつけたりしているのが不自然です。
そのような中で、「にいがた経済新聞」のニュースは、きちんと肝炎のことにも触れていました。
新潟県三条市で発生した新型コロナワクチン接種に係る注射器再使用事故、関係者の血液検査は全員陰性
NIIKEI(2021-07-20)
新潟県三条市は20日、同市内で16日に発生したコロナウイルスワクチン接種における注射器の再使用事故について、関係者へ血液検査を行った結果、全員陰性と判定されたと発表した。
三条市では16日、市内の高齢者施設でのワクチン接種において、看護師が誤って使用済みの注射器を施設利用者の80歳代女性に使用した事故が発生。接種時に誤りに気付き、すぐに注射器を抜いたというが、関係者への血液検査を行った。
検査の対象となったのはワクチン接種を実施した4人で、内1人が使用済み注射器を使われた人。残り3人が、最初に注射器を使った可能性のある人となる。三条市はこの4人に対してHIV、B型肝炎、C型肝炎の血液検査を実施。結果は4人とも陰性だった。
ミスの防止を徹底することが大前提ですが、もし起きてしまったら、リスクに対してできる限りのことをしなければならないと思います。
8月3日に、厚生労働省健康局健康課予防接種室が作成した間違い情報の資料が更新されています。

接種される側も、どのようなときにミスがおきるか知っておくと、未然に防げるミスもあるかもしれません。
